2016年12月14日水曜日

「同一労働・同一賃金」を問う裁判が結審へ

 「 ニッポン1億総活躍プラン では、同一労働・同一賃金の実現に踏み込む」
 1月22施政方針演説で、安倍首相「同一労働・同一賃金」の実現を明言しました。そう述べた場合には、先ずは正規・非正規間の賃金や待遇の格差を是正するという意味になります。まことに画期的な方針ですが、労働行政を所管する厚労省に事前相談はなかったということです。もっとも厚労省の了解がとれたからといってどうなるものでもありません。事実霞が関の官僚たちは首相の真意を測りかねたということです。
 いまどき「同一労働・同一賃金」という言葉を知らない人はまずいないし、是非とも実現されるべき理想です。しかしそれを実現するためには、社会についての考え方と日本社会の在り方』に一大変化」を起こさなければなりません。真っ先に企業経営者集団=経済界が大反対しますが、安倍首相にはそれを説得して実現させる自信があったのでしょうか。とてもそうは思えません。むしろそういう問題であるという認識を持っていなかったのだと思います。
 いくら首相が無責任であり口が軽いと言っても、ものには限度というものがあります。
 不思議なことに日本のマスメディアは首相の述べたことについて全く追及をしません。その結果は、まさに首相の言いたい放題の世界になっています。
 残念ながら日本の『政治的』な状況はそんな具合ですが、裁判所にはそれを是正させる権限があります。
 同じ仕事をしているのに正規社員の半分しか収入がないのは、「労働契約法20条に反する」として会社を訴えた非正規労働者たち4人が、15日の結審を控えて12日から東京地裁前で座り込みを始めました(判決は来年3月)。
 原告の訴えが認められれば、非正規労働者2000万人余りにとって朗報になります。果たして正義は行われるのでしょうか。
 田中龍作ジャーナルの記事を紹介します。
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「同一労働・同一賃金」問う裁判 非正規2千万人の希望懸け
田中龍作ジャーナル 2016年12月12日
 アベ首相の唱える「同一労働・同一賃金」が、いかに戯言であるかを示す裁判が15日、結審する。
 同じ仕事をしているのに正規社員の半分しか収入がないのは、「労働契約法20条に反する」として会社を訴えた非正規労働者たちが、今朝から東京地裁前で座り込みを始めた。
 座り込んだのは原告4人。東京メトロの売店で働く非正規労働者だ。地下鉄の売店で正規社員と全く同じ内容の仕事をしている。
 原告は正規労働者と同等の待遇を求めているほか、賃金格差などに対する損害賠償を請求している。
 原告はメトロコマースの売店80数店舗での労働内容、時間を10年に渡って克明に記録しており、それを裁判所に提出した。同じ売店で働く正規社員と非正規社員の仕事内容に変わりがないことを示すためだ。
 だが吉田徹裁判長は弁論準備で「実態より制度」と述べたという。被告であるメトロコマースの主張に沿う見解である。
 原告たちは結審を間近に控えて裁判長に理解を求めるため、師走の寒風にさらされながらも座り続ける。
 非正規労働者は今や全労働者の4割を占めるに至った。原告の訴えが認められれば、非正規労働者2,025万人にとって朗報となる。
 応援に駆けつけた練馬区の女性(60代)は、終身雇用の下、ひとつの会社で42年間働いてきた。子供2人を育てあげた。年金も十分にある。
 彼女は終身雇用が崩れたことを憂う。「(非正規社員は)契約更新のたびにビクビクしなければならない。結婚なんてできやしない。孫も非正規労働者になりそう」。
 12日朝、東京地裁前―
 メトロコマース原告の座り込みを取材していると、「過労死にNO!」と書いたゼッケンをつけた別の原告団がチラシを配っていた。
 専任教員の6分の1しか収入がないのは「労働契約法20条に違反する」として大学を訴えた非常勤講師の男性が、陳述のため入廷した。
 働いてまっとうな賃金を得ることができなければ、ふつうに生活していくことも難しくなる。「雇用崩壊」は「生活崩壊」である。
 「生活崩壊」を東京地裁がどう判断するのか。メトロコマースの非正規社員が「同一労働同一賃金」を求めた裁判の判決は来年3月に言い渡される見通しだ。
~終わり~