安倍政権が14日に成立させた「年金カット法案」は、民進党の試算によると、もしも10年前にこの法律が施行されていれば国民年金では4万円、厚生年金では14万円も現行の年金よりも下がっている計算になります。
実はこの法案が成立する以前に、「特例水準の解消」と「マクロ経済スライドの発動」により、標準世帯の厚生年金は10年前に比べて年間で既に20万円近く減っているのですが、それでもまだ減り方が足りないという訳です。
その一方で社会保険料は2000年度から14年度にかけて、65歳以上の介護保険料は1・7倍にアップし、国民健康保険料も14%上がり、60歳以上の「可処分所得」は10年前と比べ年間42万円も減りました。
ほかに介護保険の自己負担は昨年8月に1割から2割に引き上げられましたが、今度はそれを3割に増やす案が浮上している上に、75歳以上の医療保険料は2~10倍に暴騰しそうだということです。
これだけ締め付けるのは別にに財源がないからではありません。何よりの証拠に国家公務員の給与は民間の2~3倍のレベルですが、それをさらに年収で平均5万1000円増やす改正給与法を今国会で成立させています。声の小さい社会的弱者はいくら圧迫しても良いという訳でしょうか。高齢者よ怒れです。
日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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年金カット法成立 「下流老人」1000万人は死ねばいいのか
日刊ゲンダイ 2016年12月16日
14日、成立した「年金カット法案」。民進党の試算では、国民年金は年間4万円、厚生年金は同14万円も減らされる。塩崎厚労相は苦し紛れに「低年金、低所得の人々にも配慮していく」と釈明しているが、法案成立で “下流老人” が急増するのは間違いない。
実は、すでに年金はかなりカットされている。現在、標準世帯(40年間勤務したサラリーマンの夫と専業主婦)の夫婦が受け取れる厚生年金は月額22万1504円。これは10年前に比べて1割近く少ない。
「特例水準の解消」と「マクロ経済スライドの発動」により、標準世帯の厚生年金は10年前に比べて年間20万円近く減っているのだ。
しかも、年金受給額が減る一方、社会保険料は上がり続けている。2000年度から14年度にかけて、65歳以上の介護保険料は1・7倍にアップ(年3万4932円→5万9664円)。国民健康保険の保険料も14%近く上がった(7万6048円→8万6576円)。
年金暮らしの高齢者の苦境ぶりは総務省「家計調査」でも明らかだ。
60歳以上の「可処分所得」は10年前と比べ、年間41万6000円も減った。生活費を補うために、毎月2万7000円の預貯金を取り崩している。
現在、年金受給者は約4000万人。そのうち約4分の1が生活保護の基準以下で暮らす “隠れ貧困層” とされる。さらなる年金カットで、「老後破産」が増えるのは確実だ。
しかも、安倍政権はまだまだ負担増を進めようとしている。介護保険の自己負担は昨年8月に1割から2割に引き上げられたが、今度は3割に増やす案が浮上している。75歳以上の医療保険料も2~10倍に暴騰しそうだ。
経済ジャーナリストの荻原博子氏が言う。
「年金カット法案は明らかに “老人いじめ” の法律です。夫婦揃って国民年金という世帯は月13万円で爪に火をともすように暮らしています。年間4万円も給付を削減されたら、暮らしはたちまち立ち行かなくなります。政府もそれを分かっているはずなのに、社会保険料をどんどん上げようというのだからどうかしています。さらに19年10月には消費税10%へ引き上げられます。これが高齢者にとって致命傷になりそうです」
安倍政権は老人を見殺しにする一方、今国会で国家公務員の年収を平均5万1000円増やす改正給与法を今国会で成立させている。高齢者は安倍政権に対して怒りの声を上げるべきだ。