2016年12月11日日曜日

11- 日本生まれのタイ少年に「強制退去」は冷酷すぎる

 6日、日本に不法滞在していたタイ人の女性から生れて現在高校2年になっている男子に、強制退去処分の二審判決が下されました。母親に対しては今年6月地裁で退去処分が出されたため、高校生は現在は支援者宅で生活していますが、日本生まれで日本育ちのためタイ語の読み書きができません。
 それなのに本人の意思に反して母親の国に「行け」という判決が出されたもので、法律というのはこんなに無情なものなのかという思いになります。
 
 この件について萩原一彦氏がツイッターで、法の精神に照らして間違っていると主張しています。
 それはとても納得できるもので、そうであって欲しいものです。
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退去強制取り消し訴訟 タイ少年在留、控訴審も認めず
毎日新聞2016年12月6日 
 不法滞在していたタイ人女性(44)の子で、日本で生まれ育った甲府市の高校2年男子、ウォン・ウティナンさん(16)が国に退去強制処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は6日、訴えを退けた1審・東京地裁判決を支持し控訴を棄却した。小林昭彦裁判長は「原告が地域社会に根付いていたとは言えない。処分は適法だった」と指摘した。母親は1審判決後に帰国しており、ウティナンさんは1人で裁判を続けていた。 
 判決などによると、母親は1995年に入国。ウティナンさんは母とタイ人の父の間に生まれた。日本を出たことがなくタイ語の読み書きはできない。 
 
 地裁は今年6月の判決で「母親は不法就労を続けており悪質」と請求を棄却する一方、ウティナンさんについて「国内生活に順応しており、母親に代わる支援態勢が築かれれば、在留特別許可が再検討される余地がある」と付言していた。母親は9月に帰国し、ウティナンさんは支援者宅に身を寄せていたが、高裁は判決で1審の付言には触れなかった。 
 
 判決後に記者会見したウティナンさんは「悔しいし悲しい。僕は最後まで日本にいたい」と話した。今後は在留特別許可の再審査請求を含め、日本で暮らせる道を検討する。 
 母親とウティナンさんは2013年8月、在留特別許可を求めて東京入国管理局に出頭したが、約1年後に退去強制命令を受けた。 【伊藤直孝】 
 
 
日本で生まれタイの少年「帰国命令」はヒドイ
萩原 一彦氏ツイッター 2016年12月7日 
(「晴耕雨読」より転載)   
萩原 一彦氏ツイッター 2016年12月7日
 
 日本で生まれて日本しか知らないタイ人の少年への「帰国命令」だけど、
1  まず、本人に責任のないことで罰を与えようとする態度は、法の精神にも反している。
   責任のない人に罪を着せることはできない。
   不法移民をしたのは親だから、じゃ、親だけタイに返せばいいかってとそうでもない。
2 親だけタイに返したら、未成年の子供を面倒見る人がいなくなる。
   親には子供の面倒をみる責任を果たさせなければならない。
   だから、子供が成人して日本でやっていけるようになるまで親をタイに返してはいけない。
   親に親の責任を果たさせるのが法の精神てものだと思う。
3 この子が成人して、自分で決められるようになった時に、国籍を選ばせるというのが筋だと思う。
    日本は、この人が日本国籍を取ると決めたら国籍を与えるのが筋だと思う。
    だって日本文化しか知らないんだから。
    その時タイ国籍を放棄させるのは(個人的には二重国籍でいいと思うけど)構わないと思う。
4  もし、今、強制的にタイに還すなら、日本はこの人がちゃんとタイ社会に順応して暮らすことができるように帰国後も支援すべきだと思う。
    それが人道ってもんじゃない? 
 
  日本は人権に色々問題のある国だけど、こういう人を救えるかどうかで世界の中で日本の「人道」に関する評価が決まると思う。
  どこの国でも不法移民は入り口で止めることぐらいしか有効な手段がないというのも現実だと思う。
  入ってしまったらなかなか補足できないし、それだけの人員もいない。
  入管に大量に人を雇って不法移民摘発をやらせる金があるなら、もう入ってしまって日本の労働力になってる人に永住権を与えた方がいい。
後 略