2016年12月28日水曜日

恒例の天皇の「新年の感想」発表を取りやめると宮内庁

 宮内庁の西村泰彦次長は26日の定例記者会見で、天皇の新年に当たってのご感想の発表を、来年から取りやめると発表しました。
 この「新年に当たっての感想」の発表は、平成天皇が即位されてからずっと継続してきたのですが、西村次長によれば、「年末年始は天皇誕生日や新年の祝賀など恒例の行事が多く、・・・高齢の陛下には負担が大きいと判断。陛下の了解を得た上で取りやめを決めた」ということです。
 
 ご高齢の天皇にとってはどの公務もそれぞれご苦労がおありになると思いますが、国民との接点を絶えず求められて、即位以来多分ご自分で望まれてずっと継続されてきたことを、宮内庁が真っ先に取りやめにするのは解せません。
 予定に織り込まれているものなので、事前に原稿を準備されて発表することが、他のご公務よりも取り立てて過重であるとはとても思えません。
 
 元外交官の天木直人氏は、これは「安倍政権によって強引に宮内庁に送り込まれた西村次長による天皇陛下の口封じである。弱者に寄り添い、平和を訴えられる天皇陛下のお言葉が繰り返されると、安倍首相の暴政がますます目立つことになる。できるだけその機会を減らせという安倍首相の意向を忠実に実施したということではないか」、と述べています。
 
 天皇の生前退位問題では、日本会議系の人たちが公然と天皇を批判して国民を驚かせていますが、安倍政権は遂にこうしたことまでするようになりました。
 
9月27日 官邸、宮内庁にてこ入れ お気持ち表明で同庁に不満
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西村宮内庁次長の初仕事は天皇陛下の口封じだったということだ
天木直人 2016年12月27日
 きょう12月27日の各紙が一斉に報じている。
 宮内庁はきのう12月26日、天皇陛下が毎年元旦に公表してこられた、新年にあたっての「ご感想」(年頭所感)を取りやめると発表したと。
 天皇陛下の負担軽減が目的であると。
 この事について西村康彦宮内庁次長は、26日の定例記者会見で、次のように述べたという。
 「ご年齢を考えた結果」だと。「ご理解をお願いしたい」と。
 しかし、年頭所感を元旦に公表することは、天皇陛下の公務の中でも最も重要な公務のひとつだ。
 1990年から続けられてきたものだ。
 それが、なぜ、2017年の元旦に限って取りやめになったのか。
 
 西村次長が語るその理由は、こうだ。
 12月23日の誕生日の記者会見で天皇陛下のお気持ちは伝えられた。
 1月2日の新年一般参賀でもお言葉を述べられる。
 年頭所感を取りやめても、天皇陛下のお気持ちは十分に国民に伝わっているはずだといわんばかりだ。
 これを聞いて私は間違いないと思った。これは天皇陛下に対する口封じではないのかと。
 弱者に寄り添い、平和を訴えられる天皇陛下のお言葉が繰り返されると、安倍首相の暴政がますます目立つことになる。できるだけその機会を減らせ。
 そういう安倍首相の意向を、西村次長が忠実に実施したということではないのか。
 
 そこで思いだされるのが、9月の宮内庁人事だ。
 9月、風間宮内庁長官(当時)ほか宮内庁幹部人事が定期異動を前倒しする形で断行された。
 その時写真週刊誌「FLASH」が書いた。
 これは「陛下のご意向に抗う安倍総理の宮内庁『官邸直送』不敬人事」だと。
 すなわち天皇陛下の生前退位についてNHKがスクープ報道した事に驚いた官邸が、その責任を取らるべく、風岡典之宮内庁長官を更迭し、山本信一郎次長を昇格させた。そしてその次長職の後任に送り込まれたのが警察官僚の西村泰彦・内閣危機管理監(61)だった。同じく警察官僚で内閣官房副長官をしている杉田 和博氏の下で警察官僚による宮内庁の監視・統制が徹底されたのだ。
 しかも安倍・菅暴政コンビはその西村次長を、すかさず事務次官会議のメンバーにさせて、内閣との一体化を強化している。
 これらの事を思い起こせば、すべてに合点が行く。
 
 これは安倍・菅政権が宮内庁を完全支配下に置くために送り込んだ西村宮内庁次長の、天皇陛下口封じという初仕事に違いない。
 安倍首相の増長ここに極まれりである。
 メディアはこのことを書かなくてはいけない。国民に知らせなければいけない(了)
 
 
天皇陛下、新年の感想取りやめ 年末年始の負担軽減で 宮内庁
時事通信 2016年12月26日
 宮内庁の西村泰彦次長は26日の定例記者会見で、23日に83歳の誕生日を迎えられた天皇陛下の負担軽減のため、新年に当たっての感想の発表を、来年から取りやめると発表した。
 陛下は即位以降毎年、年頭に当たっての感想を宮内庁を通じて文書で発表していた。西村次長によると、年末年始は天皇誕生日や新年の祝賀など恒例の行事が多く、新年の感想以外に記者会見や一般参賀のあいさつの原稿なども準備する必要があるため、高齢の陛下には負担が大きいと判断。陛下の了解を得た上で取りやめを決めたという。
 天皇、皇后両陛下が昨年詠んだ和歌の発表や、1月2日の一般参賀など恒例の行事は例年通り行う。西村次長は「宮内庁としては陛下のご年齢に応じた公務のあり方を常に検討しており、今回もその一環」としている。