2016年12月21日水曜日

19日の宮中午餐会が中止に! +

 19日、皇居に安倍総理大臣や閣僚を招いて行う予定だった恒例の宮中午餐会が、天皇にかぜによる発熱の症状があるために取りやめになりました。
 天皇は今月16日の朝から発熱を伴うかぜの症状が見られ、16日に予定されていた「勤労奉仕団」との面会も取りやめれました。
 これについてある宮内庁担当記者は、「宮内庁内では、この突然の中止は生前退位をめぐる安倍首相の姿勢に、天皇が強いご不満を持たれて、会いたくないとキャンセルされたのではとの見方が広がっている」と語ったということです。
 実際、天皇の「お気持ち表明」によって政府は「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」を作りましたが、それは名称からして天皇のお気持ちから外れたものになっています。そしてそのメンバーを見れば、安倍政権の意向を忖度するような人間だけで、天皇の生前退位については現天皇一代限りの特例法で済まそうとする安倍氏の意向通りの結論を出すことは目に見えています。
 そしてその有識者会議がヒアリングした対象者を見ると、基本的に生前退位に反対するいわゆる日本会議系の人たちが多数を占めていて、天皇が「お気持ち表明」で強く望まれた「恒久的な退位制度」は実現できない仕組みになっています。
 
 その代表的な人間とでも言うべき平川祐弘・東大名誉教授は、ヒアリングに対して
「天皇は日本の歴史上の存在。今の陛下は国民統合の象徴としての責務を国事行為だけではなく『旅』にあると表現され、・・・ご自分で拡大解釈した責務を果たせなくなるといけないから次に引き継ぎたいという個人的なお望みをテレビで発表されたのは異例だ」
と述べ、会議後、記者団に「(天皇が)ご自分で定義された天皇の役割を果たせないから退位したいというのはおかしい」と述べました。
 「天皇制」についての独自の信念に基づいた強烈な極めつけの発言というしかありませんが、この人物をわざわざ指名したのが安倍氏だということです。
 
 また安倍氏のブレーンである八木秀次・麗澤大教授は、2014年の天皇・皇后の “護憲発言” に対して、「宮内庁のマネジメントはどうなっているのか」とかみついたことで知られている人物で、この発言は要するに「天皇・皇后の護憲発言」を公然と批判したことに他なりません。政府はこうした前歴のある人物を平然とヒアリング対象に選んでいるわけです。
 
 こうした作為に満ちた政府のあり方に対して、天皇が強い不快のお気持ちをいだかれたとしても、決して不思議ではありません。
 この「生前退位」のテーマはまだ決着してはいませんが、安倍政権の悪意だけが目立つ経過となっています。
 LITERAの記事を紹介します。
 
+(追記)
 LITERAはまた別の記事※で、雑誌「月刊日本」12月号で毎日新聞編集委員の伊藤智永氏が明かしたエピソードを次のように紹介しています。
「ある有力政治家の話ですが、彼が官邸の総理執務室で安倍さんと生前退位の話をしたら、安倍さんはカーペットに膝をつきながら、『こんな格好までしてね』と言ったらしいのです。ちょっと何て言うか、天皇陛下が被災者の方々に寄り添うお姿を、そういうふうにちゃかしてみせるというのは……。信じがたいですね」
 まさに信じがたいほどの安倍氏の品性の低劣さを示す話です。
 
 日本会議系のメンバーは一方で「万世一系の天皇を日本の元首にする」と主張しながら、その末裔になる現天皇については、彼らのイメージに合わないとして公然と批判したり茶化しているわけで支離滅裂です。「万世一系」と言えば神武天皇に連なるという意味ですが、前記の平川氏に至っては「皇室は天照大神を祖神と仰ぎ」と書いているにもかかわらずに、です。 
     ※ 12月18日 「生前退位で天皇の意向無視した安倍首相が親しい政治家の前で・・・」   
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昼食会を拒否、天皇はやっぱり安倍に激怒していた! 
誕生日会見で生前退位や憲法への姿勢を批判する可能性
LITERA 2016.12.19.
 これは明らかに、天皇の安倍首相に対する怒りの表れだろう。本日19日、天皇と安倍首相らとの宮中午餐(昼食会)が予定されていたのだが、今朝になって、宮内庁がこれを取りやめたことを発表したのである。この昼食会は天皇が皇居に首相や閣僚らを招いてねぎらうという年末の恒例行事。宮内庁は天皇が16日から風邪の症状をみせていることを理由にしているが、現在は微熱といい、また天皇誕生日を前にした記者会見が延期になるという情報は現段階で入ってきていない。
 
宮内庁内では、今日の宮中午餐の突然の中止は、生前退位をめぐる安倍首相の姿勢に、天皇陛下が激怒されて、会いたくないとキャンセルされたのではとの見方が広がっています」(宮内庁担当記者)
 
 本サイトで何度も伝えてきたように、安倍首相は「生前退位」の問題で、有識者会議委員やヒアリングメンバーに自分の人脈や日本会議系の極右学者たちを配置、天皇が望む恒久的制度化を否定する流れをつくりだし「一代限りの特別法」で対処する方針を打ち出した。しかも、安倍首相がヒアリング対象者にねじこんだ平川祐弘東大名誉教授は、11月、記者団にたいして「天皇はおかしい」とまで発言した。
 
 天皇、皇后がもともと安倍首相の戦後民主主義を否定する姿勢に危機感を抱いているのは有名な話だが、「生前退位」問題でその亀裂は決定的になったのである。
 実際、先週の「週刊新潮」(新潮社)12月22日号でも、宮内庁関係者によるこんなコメントが掲載されていた。
 
陛下が有識者会議の行方を御憂慮されているのは間違いありません」
陛下は2回目のヒアリングが終わった頃から、いたくご気分を害されている。その後も新聞やテレビで報じられる会議の内容に触れて、ご不満を募らせていらっしゃるのです」
 しかし、だとすると、俄然注目されるのが、誕生日前に設定された明日20日の記者会見だ。こうした安倍政権のやり方について、天皇が否定的反応を示すのではないかと観測されている。
「退位の問題については、宮内庁記者の質問事項にも入っています。陛下が退位の制度について踏み込んで発言され、官邸や有識者会議、ヒアリングメンバーを批判するようなことを口にされるのでは、という観測も流れ、官邸はかなり焦っています」(官邸担当記者)
 
 しかも、天皇が明日の “誕生日会見” で語るのは、こうした「生前退位」をめぐる政権への苦言だけではない可能性も十分にある。というもの、天皇、そして皇后は、これまでも安倍政権の憲法改正や歴史修正の動きに呼応し、そのたびに “反論” を行ってきたからだ。
 たとえば、第二次安倍政権成立から約1年となった2013年末には、天皇は日本国憲法を「平和と民主主義を守るべき、大切なもの」と最大限に評価した上で、わざわざ「知日派の米国人の協力」に言及し、「米国による押しつけ憲法」という安倍首相ら右派の主張を牽制するような発言をした。また、美智子皇后も2013年の誕生日に際し、明治初期に民間で検討された「五日市憲法草案」などの私擬憲法について語り、「市井の人々の間に既に育っていた民権意識を記録するものとして、世界でも珍しい文化遺産ではないか」と、基本的人権の尊重や法の下の平等、言論の自由、信教の自由などが、けっして右派の言うような「押しつけ」などでないことを示唆している。
 さらに皇后は2014年の誕生日に際した文書コメントでも、自ら「A級戦犯」について踏み込んだ発言をした(過去記事参照)のだが、実はその発言の2カ月前には、安倍首相がA級戦犯として処刑された元日本軍人の追悼法要に自民党総裁名で哀悼メッセージを送っていたことが報道されていた。連合国による裁判を「報復」と位置づけ、処刑された全員を「昭和殉難者」として慰霊する法要で、安倍首相は戦犯たちを「自らの魂を賭して祖国の礎となられた」と賞賛したという。
 
 しかし、こうした天皇、皇后の発言を黙って見過ごすわけがない安倍首相は、宮内庁に対しての締め付けを陰に陽に強めていった。とりわけ天皇の誕生日会見に関しては、前述した “護憲発言” のあった13年以降、安倍首相の歴史観や憲法観と対峙するような発言を自重せざるをえなかった
 だが、明日の誕生日会見は、これまでとはまったく状況が異なる。
 実際、例のビデオメッセージでも天皇は何度も「憲法」「象徴」という言葉を口にし、「生前退位」に関してもただ自らの高齢化だけを理由にしたのではなく、「国事行為や、その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには、無理があろうと思われます」と強調。さらには「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました」と締めくくった。
 これは、日本国憲法下で天皇が模索してきた “象徴としての在り方”  を、次世代の皇太子にも引き継がせたいという意思に他ならない。明らかに、天皇の元首化をはじめとし明治憲法的な改憲を目指す安倍自民党に対する疑義だった。
 
 だからこそ、天皇は明日の会見で、「生前退位」に関する心境だけでなく、日本国憲法に対しても、いままで以上に踏み込んだ発言を行う可能性がある。天皇は「普段は穏やかですが、ご自身の信念は頑強と言ってよいほど貫き通す方」(前出・宮内庁記者)という。今日の安倍首相らとの午餐を回避したのは “事前交渉の拒否” と考えることもできる。いずれにせよ、安倍首相は気が気でないだろう。 (編集部)