文科省は、加計学園の獣医学部新設に関して内閣府が早期開学を求める文書が、文科省内で共有されていることを示すメールについて、調査したもののその所在が確認できなかったと報告しました。
当該文書が添付されたメールは、去年9月下旬、文科省内の個人のパソコンだけでなく、一時、共有フォルダーにも登録されていたことがNHKの取材でわかりました。
しかし文科省がメールの有無を調査したのは獣医学部を管轄する専門教育課のパソコンだけで、ほかの部署の共有フォルダーは調べていませんでした。
松野博一文科相は5日の衆院決算行政監視委で、「既に調査で文書は確認できなかった。基本的にメールを含む文書は出所、入手経緯が明らかでない場合には調査しない」と答弁し、再調査を拒否しました。
首相も「文科相が答弁した通りだ」と再調査しない考えを示し、学部新設計画についても「私の意向は入りようがない」として、関与を重ねて否定しました。
首相がぬけぬけと「私の意向は入りようがない」と述べるなどは論外ですが、首相・文科相 共に、たとえ何と言われようとも当該の文書はなかったことにしたいと必死であることが窺えます。たとえ状況が100%クロであっても、絶対にそれは認めないと決心しているというわけです。
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「加計」問題 共有メール再調査を拒否 首相「意向入りようがない」
東京新聞 2017年6月5日
松野博一文部科学相は五日午前の衆院決算行政監視委員会で、安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設計画を巡り、内閣府が早期開学を求める文書が文科省内で共有されていたと指摘されるメールについて、再調査を拒否した。「既に調査で文書は確認できなかった。基本的にメールを含む文書は出所、入手経緯が明らかでない場合には調査しない」と答弁した。
首相も「文科相が答弁した通りだ」と再調査しない考えを示した。学部新設計画についても「私の意向は入りようがない」として、関与を重ねて否定した。
メールの写しは民進党が入手。送信者の同省専門教育課の係長をはじめ、送付先には省内の十人余りの名前とメールアドレスが記されている。文科省の常盤豊高等教育局長は答弁で「同姓同名の職員は実際にいる」と認めた。
民進党の今井雅人氏は、文科省が先月内部調査を行ったのに、再調査しないことを「二重基準」と批判。「記載されている本人に聞けば分かる。新たに文書が存在している可能性が高いものが出てきたのに必要がないと言うから隠蔽(いんぺい)ではないかと言っている」と指摘した。
首相は、トランプ米政権が地球温暖化防止の枠組み「パリ協定」からの離脱を表明したことについて「残念だ」とした上で「引き続き気候変動問題への取り組みの必要性を働き掛け、ともに協力する方法を探求したい」と語った。
決算行政監視委員会は、首相や関係閣僚が出席し、二〇一四、一五年度決算に関する締めくくり総括質疑を行った。
獣医学部新設 文書は共有フォルダーにも 調査は専門教育課だけ
NHK NEWS WEB 2017年6月5日
「加計学園」が計画している獣医学部をめぐり、内閣府と文部科学省とのやり取りを記したとされる文書は、去年9月下旬、文部科学省内の個人のパソコンだけでなく、一時、共有フォルダーにも登録されていたと複数の現役職員が話していることがNHKの取材でわかりました。文部科学省は「文書は確認できなかった」としていますが、調査したのは獣医学部を管轄する専門教育課だけで、ほかの部署の共有フォルダーは調べていませんでした。
国家戦略特区により、学校法人「加計学園」が愛媛県今治市に新設を計画している獣医学部をめぐり、選考の途中で内閣府の幹部が文部科学省に対し「官邸の最高レベルが言っている」などと述べたと記された文書は、今も省内の個人のパソコンに保管されていることがNHKの取材で明らかになっています。
この文書は、去年9月28日の午前10時37分に獣医学部を管轄する専門教育課から、私学行政課など4つの部署の19人の職員にメールで送信されました。
文部科学省ではこの文書を含め一連の文書の内容を共有するため、専門教育課以外の部署の共有フォルダーにも一時、登録されていたと複数の現役職員が話していることがNHKの取材でわかりました。職員の1人は「当時共有フォルダーに文書があったので、同じ課であれば誰もが内容を確認できる状態だった」と証言しています。
文部科学省は一連の文書の存在について先月19日、「共有フォルダーなどを調べた結果、文書の存在は確認できなかった」と発表しましたが、調査したのは担当の専門教育課の共有フォルダーだけで、ほかの部署の共有フォルダーは調べていませんでした。
これについて、文部科学省は「文書が存在するとすれば、専門教育課が作成しているはずで、作成部局を調べれば十分だと考えている」と話しています。
専門家「『行政文書』に該当する可能性が高い」
この問題では、国家戦略特区による選考の過程で文部科学省と内閣府がやり取りしたとされる文書が、公文書や行政文書に当たるかどうかも議論となっています。
これについて、行政文書に詳しい東洋大学の早川和宏教授は「文書が複数の職員に送付されているならば、組織的なやり取りがあったと考えていいので、個人的なメモではなく『行政文書』に該当する可能性が非常に高い」としています。
そのうえで、「現在の法律は役所の人たちの判断で保存期間も決められるため、役所の都合で文書管理が可能となってしまう。政府は国民に対して説明をする責任があり、国民が納得できるような調査をすべきではないか」と指摘しました。
加計学園獣医学部新設めぐり告発状を提出 「文科省の職員が不正に秘匿」
産経ニュース 2017年6月5日
学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の大学獣医学部新設計画をめぐり、「官邸の最高レベルが言っている」などの記載があった文書について、高松市の男性が氏名不詳者に対する公用文書毀棄(きき)罪の告発状を東京地検特捜部に提出したことが5日、分かった。
加計学園は政府の国家戦略特区制度を活用し、愛媛県今治市に岡山理科大の獣医学部新設を計画。民進党が入手した文書には、文科省と特区を担当する内閣府とのやりとりが記録され、内閣府側の発言として「官邸の最高レベルが言っていること」「総理の意向だ」などと記載されていた。
告発状は、文書について、「文科省の氏名不詳の職員が、国会審議のいきさつから文書が存在すること自体、不適切と考慮し不正に秘匿した」としている。