安倍首相は23日の沖縄戦没者慰霊式に出席したのち、翌24日は都議選の応援には向かわずに神戸に滞在し、神戸ポートピアホテルで神戸「正論」懇談会設立記念の特別講演を行いました。
その中で真っ先に憲法改正に触れ、2020年の施行を目指し、秋の臨時国会で憲法審査会に自民党改正案を示したいという考えを示しました。首相がここまで強い決意を示したのは、加計学園問題や若手議員の不祥事などで、内閣支持率が急落する中、憲法改正という自民党の党是を掲げることで、保守勢力の奮起を促し、結集を呼びかけたいとの思いがある(産経新聞)からといわれます。
いま展開中の都議選の応援にもなかなか出にくい状況のなかで自らを鼓舞しようとしたのかもしれませんが、首相が憲法改正を主張するのは憲法99条の「憲法尊重擁護義務」に明確に違反しています。
また加計学園問題ではあろうことか、「獣医師会からの強い要望を踏まえ、まずは1校だけに限定して特区を認めたが、・・・速やかに全国展開を目指したい」と述べたということです。
全国で獣医学部を新設するなどは獣医師の需要の実態から完全に遊離しています。自分が陥っている窮地にから逃れたいあまり、友人への便宜供与を糊塗するためにそんなことまで言い出すとは正気の沙汰ではありません。
また加計学園獣医学部の新設が、「獣医師会の強い要望に基づいたもの」でないことは、獣医師会が明確に否定していることです。
ここでも安倍氏は公然とウソを述べ立てているわけです。あたかも息をするように・・・
NHKの記事を2本紹介します。
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首相 秋の臨時国会で自民党の憲法改正案示したい考え
NHK NEWS WEB 2017年6月24日
安倍総理大臣は神戸市で講演し、憲法改正をめぐり、「いつまでも発議を怠ることは国会議員として責任放棄のそしりを免れない」と述べ、2020年の施行を目指し、秋の臨時国会で自民党としての改正案を示したいという考えを示しました。
この中で、安倍総理大臣は憲法改正をめぐり、「現在の自衛隊を憲法にしっかりと位置づけ『合憲か、違憲か』といった議論は終わりにしなければならない。いつまでも国民に憲法改正の決定権を行使させない、発議を怠ることは国会議員として責任放棄のそしりを免れない。目標は2020年、新しい憲法が施行される年にしたい」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は自民党の憲法改正推進本部で具体案の取りまとめを目指し議論が行われていることに触れ、「党内論議を加速してもらいたい。ぜひ、来たるべき臨時国会が終わる前に、衆参の憲法審査会に自民党の案を提出したい」と述べ、秋の臨時国会で自民党としての改正案を示したいという考えを示しました。
一方、安倍総理大臣は詰めの交渉が続く、日本とEU=ヨーロッパ連合のEPA=経済連携協定について、「間違いなく自由で公正な経済圏を世界へと広げる起爆剤となる。なんとしても、来月、大枠合意できるように最終的な調整を急がせる」と述べました。
また、来月ドイツで開かれるG20サミットでは、各国首脳との間で保護主義と闘うことを明確に確認したいという考えも示しました。
政府は来月のG20サミットに先立って、ベルギーで日本とEUの首脳会談を行う方向で調整を進めており、この場でEPAの交渉を大枠合意に導くことを目指しています。
首相 獣医学部新設 さらに認める方向で検討
NHK NEWS WEB 2017年6月24日
安倍総理大臣は神戸市で講演し、国家戦略特区での獣医学部の新設について、獣医師会からの要望を踏まえ、まずは1校だけに限定して特区を認めたことが国民の疑念を招く一因となったとして、獣医学部の新設をさらに認める方向で検討を進める考えを示しました。
この中で安倍総理大臣は、国家戦略特区での学校法人「加計学園」の獣医学部新設について、「決定プロセスは適正でなければならない。『私の友人だから認めてくれ』などという訳のわからない意向がまかり通る余地など全くない」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は「半世紀以上守られてきた硬い岩盤に風穴を開けることを優先し、獣医師会からの強い要望を踏まえ、まずは1校だけに限定して特区を認めたが、中途半端な妥協が国民的な疑念を招く一因となった。改革推進の立場からは限定する必要は全くない。速やかに全国展開を目指したい」と述べ、獣医学部の新設をさらに認める方向で検討を進める考えを示しました。
そして、安倍総理大臣は「国民の不信を招く結果となったことは率直に認めなければならない。『築城3年、落城1日』。おごりや緩みがあれば国民の信頼は一瞬で失われてしまう。今後も疑念が示されれば、担当大臣を筆頭に積極的に情報を公開し、しっかりと説明する」と述べました。