「九条の会」は2日、東京の杉並公会堂で憲法施行70年講演会を開きました。 安倍首相が憲法9条を改正して自衛隊の存在を明記することを目指す考えを示したことに対して、弁護士や憲法学者などが反対を訴えました。
約1100人が集まった会場からは大きな拍手や「そうだ」という声が上がり、安倍改憲を許さない決意を固める場となりました。
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安倍改憲許さぬ決意 「九条の会」憲法施行70年で講演会
呼びかけ人・世話人発言
しんぶん赤旗 2017年6月3日
安倍晋三首相による5月3日の改憲発言が大問題となるなか、「九条の会」は2日、東京都内で日本国憲法施行70年を記念する講演会を開きました。講演会では、呼びかけ人や世話人が、「九条の会」創立時の呼びかけ人の言葉を引用し、「9条改憲は絶対に許さない」という発言が続きました。発言には、会場の参加者から大きな拍手や「そうだ」という声がかけられ、安倍改憲を許さない決意を固める場となりました。
呼びかけ人で作家の澤地久枝さんは、呼びかけ人の加藤周一、小田実両氏(故人)の「一人ひとりの活動が世界を変えていく」という言葉を引用し、改憲反対で「今日から、明日から頑張りましょう」と訴えました。
続いて9人の世話人が発言。愛敬浩二名古屋大教授(憲法学)は、呼びかけ人の奥平康弘氏(故人)が生前の交流の中で「僕は連戦連敗だ」と語った思い出を紹介しつつ、「連戦連敗だが、たたかいがあったからこそ9条は残っている。たたかいの力に確信を持とう」と呼びかけました。
弁護士で日弁連憲法問題対策本部副本部長の伊藤真氏は、安倍首相の自衛隊9条明記論に、「戦争法のある自衛隊を憲法に書けば海外で戦争する自衛隊を憲法に位置付けることになる」と述べ、何も変わらないという議論にごまかされてはならないと述べました。
ドイツ文学翻訳家の池田香代子氏や元朝日新聞記者の伊藤千尋氏が沖縄のたたかいに学び「私たちはあきらめない」「安倍独裁政権を退場させよう」と呼びかけると、参加者は大きな拍手で応えました。
経済評論家の内橋克人氏など5人の同会世話人も発言。同会事務局長の小森陽一東大教授が司会を務めました。
「九条の会」が講演会 首相の憲法改正発言に反対訴え
NHK NEWS WEB 2017年6月3日
憲法9条を守ろうと呼びかけている団体が、2日夜、都内で講演会を開き、安倍総理大臣が憲法9条を改正して自衛隊の存在を明記することを目指す考えを示したことに対して、弁護士や憲法学者などが反対を訴えました。
憲法9条を守ろうと呼びかけている「九条の会」は、2日夜、東京・杉並区で講演会を開き、およそ1100人が参加しました。
憲法改正をめぐって、安倍総理大臣は年内に自民党としての案をまとめたいとしたうえで、「自衛隊が違憲かどうかという議論に終止符を打つのは私たちの世代の責任だ」として、憲法9条を改正して自衛隊の存在を明記することを目指す考えを示しています。
講演会で伊藤真弁護士は「安全保障関連法が成立した今、自衛隊を憲法9条に明記すると、集団的自衛権によって海外で武力を行使する存在として固定化される」などと訴えました。
また、憲法が専門で日本体育大学の清水雅彦教授は「憲法は国家権力を縛るもので、縛られる側が規制を緩めるような発言をすることは許されない」と述べました。
参加した64歳の女性は「憲法9条は日本が世界に向けて誇れるものなので、今後も守っていくために周りの人たちとも話し合っていきたい」と話していました。
九条の会講演会 首相9条改正案「国民への挑戦」
毎日新聞 2017年6月2日
憲法改正に反対する「九条の会」は2日、東京都杉並区の杉並公会堂で憲法施行70年講演会を開き、約1100人が参加した。今年の憲法記念日(5月3日)に安倍晋三首相が9条改正を目指すと表明したことに対し、登壇した世話人らは「主権者である国民への大きな挑戦だ」などと訴えた。
世話人のリレートークで、早稲田大の浅倉むつ子教授は「女性の活躍や女性が輝く社会、それによって経済発展を願うなら、まず平和と平等を私たちに保障してほしい」と述べ、ドイツ文学翻訳家の池田香代子さんは「沖縄、原発問題、憲法9条のいずれもあきらめてはいけない」と呼びかけた。
九条の会は2004年、評論家の故加藤周一さんや作家の澤地久枝さんらが呼びかけ人となって発足。昨年9月に有識者12人の「世話人会」ができ、各地の講演会などを通して草の根からの護憲運動に取り組んでいる。【沢田石洋史】