国連特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏は、共謀罪の成立に関して日弁連を通じて以下のようなコメントを出しました。
「政府は、テロに対する市民の恐れを利用して成立を押し通した。参院で議論が打ち切られたのは重要な法案を検討、導入するのに適切な方法とはいえない。このような強硬手段は真に民主的な社会では認められない」
また立命館大大学院の松宮孝明教授(刑事法)は、「国会法では特に必要があるときに中間報告を求めることができ、中間報告があった案件は特に緊急を要すると認めたときに本会議で審議ができる。必要性や緊急性の根拠が説明されておらず、成立自体に疑義がある」と、法案成立過程の違法性を指摘しました。
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「民主社会では認められず」 「共謀罪」採決強行に国連報告者
東京新聞 2017年6月22日
「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法について、プライバシー権に関する国連特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏が「成立を強行したことに失望した」とのコメントを、日弁連共謀罪法案対策本部副本部長の海渡雄一弁護士に寄せ、21日、東京都内での日弁連主催の学習会で紹介された。
同氏は法案審議中、プライバシー権の侵害に懸念を示していた。「共謀罪」法は、参院法務委員会での採決を省略する「中間報告」という形で15日に可決、成立。コメントは同日付で、同氏は日弁連を通じて紹介してほしいと希望したという。
コメントでは「政府は、テロに対する市民の恐れを利用して成立を押し通した」と批判。参院で議論が打ち切られた点を「重要な法案を検討、導入するのに適切な方法とはいえない。このような強硬手段は真に民主的な社会では認められない」とした。これまでの指摘に、政府からの回答はないという。
21日に参院議員会館(千代田区)であった学習会には約150人が参加した。立命館大大学院の松宮孝明教授(刑事法)は法案成立過程の違法性を指摘。国会法では「特に必要があるとき」に中間報告を求めることができ、中間報告があった案件は「特に緊急を要すると認めたとき」に本会議で審議ができる。松宮氏は「必要性や緊急性の根拠が説明されておらず、成立自体に疑義がある」と話した。 (山田祐一郎)