2017年6月1日木曜日

元TBS支局長の「レイプ事件」を闇に葬るメディア

 元TBSワシントン支局長山口敬之氏は、田崎史郎氏と並んで少し前まではTVに出ずっぱりで盛んに政府を擁護するコメントを発していましたが、ある女性が山口氏に「レイプ」されたことを明らかにしたとたんにTVの画面から姿を消しました。
 29日、「レイプされた」と訴えたジャーナリストの詩織さんが、素顔を明らかにして報道陣に会見しました。
 山口氏には準強姦罪容疑で逮捕状が出て彼が帰国する空港に捜査員が張り込んだのですが、逮捕寸前に「警察のトップの方からストップがかかり」中止になりました。週刊新潮によるとそれを指揮したのが菅官房長官の片腕と言われる警視庁中村格刑事部長当時した。
 逮捕容疑は睡眠剤入りの酒を飲まされ正体不明になった彼女を無理やりホテルに引きずり込んで行った準強姦容疑でした。
 同様の事案では、泥酔状態の教え子に乱暴したとして準強姦罪で逮捕されアテネ、北京両五輪の柔道金メダリスト内柴正人は、懲役5年の実刑を課されています。
 それなのにこの件では官邸と警察の上層部が結託してもみ消しに走った結果、無罪放免状態になっているもので、被害者が勇気をもって告発する会見を行ったにもかかわらず、大手の新聞はほとんど取り上げずに、辛うじて取り上げたTVでも腰の引けた報道になったということです。
 そこには官邸にも警察にもひたすら弱い日本の罪深いメディアの実態が表れています。
 会見で詩織さんは、この国の言論の自由とはなんでしょうか? 法律やメディアは何から何を守ろうとしているのか、と私は問いたいです」と訴えました。
 
 天木直人氏の怒りのブログと日刊ゲンダイ・LITERAの記事を紹介します。
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山口記者暴行疑惑に沈黙する野党と大手メディアを疑
天木直人のブログ 2017年5月31日
 詩織さんの覚悟の衝撃記者会見から一日たって、きのうの日刊スポーツと日刊ゲンダイが大きく書いた。
 あの夕刊フジまで小さいながらも書いた。
 この事件を最初にスクープ報道し、今回の記者会見をセットした週刊新潮は明日発売の最新号で書くだろう。
 ところが、大手新聞で書いたのは東京新聞ぐらいだ。
 なぜこれほど重大な告発を大手新聞は黙殺するのか。
 それよりさらに不可解なのは野党だ。
 国会で取り上げた気配は全く無い。
 この疑惑は、単なる一記者の暴行疑惑ではない。
 安倍首相を持ち上げる情報操作の役割を担っている御用ジャーナリストだ。
 この疑惑は単なる暴行疑惑ではない。
 限りなく強姦に近い卑劣な行為だ。
 詩織さんが記者会見で語ったところによれば、準強姦罪容疑で逮捕状まで用意して、帰国を待ち構えていた捜査員が、「上からの指示」で逮捕できなかったという事件だ。
 詩織さんは、その上司とは当時の警視庁刑事部長だと聞いているとまで証言している。
 最初にこの疑惑を書いた週刊新潮の先週号は、その部長は政権中枢(つまり安倍首相・菅官房長)に近い中村格組織犯罪対策部長らしいとまで書いている。
 おりから共謀罪が強行採決されようとしている時だ。
 おりから加計疑惑問題が大騒ぎになっている時だ。
 前川前文科省事務次官の告発で、行政が安倍政権の下で不公正、不公平に歪められたと追及されている時だ。
 犯罪捜査や立件までもが歪められていたとしたら、究極の国家犯罪だ。
 しかも暴行という犯罪は、究極の女性差別であり人権侵害だ。
 森友・加計疑惑どころの騒ぎではない。
 安倍内閣は即刻吹っ飛ぶ。
 なぜ野党はこんな重大な疑惑を国会で追及しないのか。
 なぜ野党は詩織さんの国会証人喚問を求めないのか。
 国会で追及されれば全国に知れ渡る。
 全国に知れ渡れば、国民の半数を占める女性を敵に回すことになる。
 私はこの詩織さんの記者会見が、このまま黙殺されて終わるのか、安倍内閣の終焉につながるのか、その進展如何で、日本という国の民主度、文化度がわかると思っている。
 日本と日本国民の正体がわかると思っている(了)
元TBS支局長の「レイプ事件」を闇に葬るメディアの大罪
日刊ゲンダイ 2017年5月31日
「知り得ない力があった」――。29日、安倍首相と昵懇の元TBSワシントン支局長、山口敬之氏(51)に「レイプされた」と訴えたジャーナリストの詩織さん(28)。報道陣に素顔を明らかにして会見した勇気に心から敬服する思いだ。詩織さんが訴えたように、首相と「近しい関係」というだけで司法がゆがめられたのであれば、重大犯罪と言っていい。報道機関であれば、絶対取り上げるべき事件なのに、なぜか、30日の大手紙はダンマリだった。
 30日の朝刊各紙を見ると、比較的大きく取り上げたのは東京新聞だけ。毎日、産経、日経は数行のベタ記事扱い。朝日、読売に至っては一行も触れていなかった。
 朝日、読売両紙に未掲載の理由を問うと、「会見は取材した。その後も取材は継続しています」(朝日広報部)、「取材や編集の経緯は従来お答えしていない」(読売広報部)と回答したが、成人女性が司法記者クラブで素顔を見せて告発したのだ。裏付け取材が必要なのは理解できるが、当時の捜査状況は所轄に確認すればすぐに分かるはずだ。むしろ、これほどの重大案件の裏付け取材にモタついて翌朝の朝刊紙面に入れられないような記者であれば、無能と言われても仕方ない。
■柔道の内柴は「懲役5年」の実刑判決
 山口氏は被害女性との間のメールで、酩酊中に性行為に及んだことを認めている。アテネ、北京両五輪の柔道金メダリスト、内柴正人のケースとほとんど同じと言っていい。内柴も泥酔状態の教え子に乱暴したとして準強姦罪で逮捕され、14年に最高裁で懲役5年の実刑判決が確定している。メディア各社は内柴の逮捕前から、疑惑を大々的に報道していたではないか。ジャーナリストの青木理氏はこう言う。
「不起訴になった事件で、書きにくいというのはわかります。ただ、詩織さんの証言によれば、警視庁の刑事部長が口を挟んで、直前に逮捕を取りやめたという。また、山口氏が北村滋内閣情報官に相談したとみられるメールが誤って新潮社に送られたことも明らかになっている。不透明な警察権力が行使された蓋然性が高いと思います。勘のいいサツ回りの記者なら、うすうす真相は気付いていると思います。警察への遠慮があるのでしょうが、メディアはもっと取材をして、報じるべきでしょう」
 山口氏はフェイスブックで反論しているため、真意は分からないが、被害女性の会見後、こう書き込んでいる。
〈不起訴処分はすでに昨年7月に全ての関係者に伝えられています。私はこの結論を得て、本格的な記者活動を開始しました〉
 しかし、山口氏は不起訴決定が出る前に安倍首相をモデルにした「総理」(初版16年6月9日)を出版している。つまり、不起訴処分が出る前に本格活動を始めているわけで、ツジツマが合わない。“第2の内柴事件” と言われ始めた問題が、闇に葬りさられることがあってはならない。
山口敬之のレイプ告発会見でテレビが見せた弱腰、
安倍応援団は「逮捕ツブしたのはTBS」とデマで官邸擁護
LITERA 2017.05.31
 安倍首相の御用ジャーナリストである山口敬之氏からレイプされたという被害女性・詩織さん(苗字はご家族の意向で非公開)が会見を開いて大きな話題になっているが、この事件は、ジャーナリストによる卑劣なレイプ事件という問題、そして官邸が山口氏の逮捕を握り潰した可能性がある重大疑惑だ。
 現に、詩織さんが会見で語ったように、山口氏には準強姦罪容疑で逮捕状まで発布されていたが、逮捕寸前になぜか捜査打ち切りになっている。しかも、当時の捜査員は「警察のトップの方からストップがかかった」と話していたといい、実際「週刊新潮」(新潮社)の取材によって、捜査打ち切りを指揮したのが当時の警視庁刑事部長であり、“菅官房長官の片腕”として有名な警察官僚・中村格氏であることが判明。さらに「週刊新潮」第二弾の記事では、山口氏の “誤爆メール” によって、山口氏が首相官邸、内閣情報調査室の北村滋内閣情報官に事後対応について直接相談までしていた可能性が浮上している。北村内閣情報官は “安倍首相の右腕” と呼ばれる人物である。
 逮捕状まで出ていた案件を、官邸が自分たちを応援するジャーナリストだからという理由でもみ消す──。もしこれが事実なら、森友や加計学園問題以上の権力による暴挙であり、そうした大きな力が働いている可能性があるなかで、実名と顔を出してまで詩織さんは異議申し立てをしたのだ。
 そして、一昨日の会見には、新聞・テレビが全社勢揃いというほどの数の取材陣が殺到。そんなマスコミ記者に向かって、詩織さんは「今回、この件について取り上げてくださったメディアはどのくらいありましたでしょうか?」と語りかけ、「この国の言論の自由とはなんでしょうか? 法律やメディアは何から何を守ろうとしているのか、と私は問いたいです」と述べた。
 誰が、この被害女性をここまで追い込んだのか。その真相を突きとめるためには、官邸の関与が疑われる以上、メディアによる報道が不可欠だ。「言論の自由」をかけて、この不正を暴かなくてはならない。会見を取材した記者ならばそう強く感じたはず──そのように思われた。
 しかし、蓋を開けてみれば、メディアは相も変わらず保身と萎縮の塊でしかなかったのである。
ダンマリのTBSとフジ、弱腰のテレ朝、事件を矮小化した日テレ
 まず、スポーツ紙は日刊スポーツが大きく報じたほか軒並み会見の内容を伝えたが、肝心の大手新聞社は昨日の朝刊で取り上げたのは、毎日新聞と産経新聞がベタ記事で数十行ふれただけで、読売はいわずもがな朝日新聞すらも無視した。
 さらに、テレビのほうは、NHKは無論、民放キー局でも、山口氏の古巣であるTBSの『NEWS23』や『ひるおび!』、コメンテーターとして山口氏を重宝していたフジテレビの『とくダネ!』『直撃LIVEグッディ!』はスルー。フジと同様に山口氏を番組で起用していたテレビ朝日は、29日の『報道ステーション』は報道しなかったが、30日朝の『羽鳥慎一モーニングショー』と『ワイド!スクランブル』は伝え、番組でバラツキがあった。
 唯一、山口氏を起用してこなかった日本テレビは、29日夕の『news every.』にはじまり、夜の『NEWS ZERO』、30日朝の『ZIP!』『スッキリ!!』でも紹介。読売テレビ制作の『情報ライブ ミヤネ屋』までが取り上げた。
 だが、そうやって問題を取り上げた番組も、あきらかな“気遣い”が見て取れた。たとえば『モーニングショー』の場合は、山口氏のプロフィールをVTRで「元TBS記者でジャーナリスト。数々のテレビ番組に出演」とだけ紹介。同番組に出演していた山口氏は、“安倍首相の代弁者” として官邸情報を垂れ流していたが、しかしそのことにふれないばかりか、安倍首相を礼賛した代表作『総理』『暗闘』(幻冬舎)にもふれることはなかった。
  (中 略)
 事実、今回も様々な報道で弁護士や警察OBなど多くの専門家が「逮捕状が出たのに、逮捕されない、捜査がつぶれるというのは異例、聞いたことがない」と、口をそろえている。
 にもかかわらず、日本テレビはこの部分に一切ふれず、捜査つぶしを否定にかかったのだ。
ネットで広がる「TBS圧力」説はまったくのデマ!
 さらにほとんどのマスコミが一切報じていないのが、捜査つぶしへの官邸の関与だ。
    (中 略)
 たしかに山口氏はTBS在職中にその職権をちらつかせて女性と会っており、TBSに説明責任があることは言うまでもない。しかし、TBSが捜査をつぶしたというのはあまりにも「あり得ない」話だ。(中 略)
 TBSが警察から出ている逮捕状にストップをかける力などもっていない。
 むしろ、所轄が逮捕寸前に警視庁刑事部長が指揮して逮捕を潰し、その後、不起訴にもっていった今回の経緯は、よほど大きな力がなければ成し得ないものだ。
 そして、前述したように「菅官房長官の片腕」として知られる当時の警視庁刑事部長・中村格氏本人が、逮捕をストップさせたことを言明しているのだ。さらには、山口氏が今回の報道を「安倍首相の右腕」たる北村内閣情報官に相談していたと思われる“誤爆メール”の存在も明らかになっている。捜査潰しに関与していたのは、明らかに官邸なのである。
 ところが前述したように、ほとんどのマスコミはこの「官邸による捜査潰し」疑惑を避けている。 (中 略)
 共謀罪で権力に都合の悪い人間を恣意的に検挙できるようになる一方、政権に近い人間であればレイプをしても逮捕されない。まさに、法治国家の根幹を揺るがす事態が進行している。メディアと野党はこの問題を徹底的に追及しなければならない。(編集部)