2017年6月24日土曜日

24- 戦後72年の沖縄「慰霊の日」 20万人超の犠牲者悼む

 沖縄戦の組織的戦闘の終結から72年となる「慰霊の日」を迎え20万人余のみ霊を慰め、世界の恒久平和を誓う「沖縄全戦没者追悼式」が23日午前1150分から、最後の激戦地となった糸満市摩文仁の平和祈念公園で開催されました
 沖縄戦の戦没者らの名を刻む平和の礎には、今年新たに54人が加わり、計24万1468人が刻銘されました。
 追悼式で翁長知事は、米軍専用施設面積の70%が集中する不条理な現実を訴え、日米地位協定の抜本的な見直しや米軍基地整理縮小による過重な基地負担軽減を求めました。

 この日都内でも、当時の体験を聞く会が台東区の浅草公会堂で開かれ、沖縄の地上戦に巻き込まれて両親と兄弟を失った女性が体験を語りました。体験を聞く会は25日まで継続して開かれます。
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島包む祈り 世界平和 誓う
琉球新報2017年6月23日
 沖縄は23日、沖縄戦の組織的戦闘の終結から72年となる「慰霊の日」を迎えた。沖縄戦で犠牲になった20万人余のみ霊を慰め、世界の恒久平和を誓う「沖縄全戦没者追悼式」(県、県議会主催)が23日午前11時50分から、最後の激戦地となった糸満市摩文仁の平和祈念公園で開催された。

 平和祈念公園には早朝から多くの遺族らが訪れ、2017年度に新たに追加刻銘された54人を含む24万1468人の名前が刻まれた「平和の礎」に手を合わせた。県内各地で慰霊祭が開かれ、沖縄は鎮魂の祈りに包まれている。

 追悼式には安倍晋三首相をはじめ、関係4閣僚、衆参両院議長らが参列した。参列者らは正午の時報に合わせて黙とうした。
 追悼式で翁長雄志知事は平和宣言を読み上げ、米軍専用施設面積の70%が集中する不条理な現実を訴え、日米地位協定の抜本的な見直しや米軍基地整理縮小による過重な基地負担軽減を求めた。12日に他界した大田昌秀元知事が平和の礎を建立したことに触れ、平和の尊さを次世代に受け継ぐ決意を語った。

 平和宣言の後、県立宮古高校3年の上原愛音さん(17)が平和の詩「誓い~私達のおばあに寄せて」を朗読した。県遺族会が主催する平和祈願慰霊大行進は午前9時に糸満市役所を出発し、追悼式に合流した。


戦後72年の「慰霊の日」沖縄戦20万人超の犠牲者悼む
沖縄タイムス 2017年6月23日
 戦後72年の「慰霊の日」を迎えた23日、県内では沖縄戦で亡くなった20万人を超える犠牲者を追悼し、恒久平和を希求する祈りに包まれた。
 糸満市摩文仁の平和祈念公園内にある「平和の礎」や、同市米須の「魂魄(こんぱく)の塔」などには、朝早くから多くの戦争体験者や遺族らが訪れ、亡き肉親や友人らの魂を慰めた。子や孫らと一緒に線香や花を手向け、祈りをささげる姿もみられた。

 同公園では、午前11時50分から、沖縄全戦没者追悼式(主催・県、県議会)が執り行われた。安倍晋三首相や衆参両院議長のほか外務、防衛、厚生労働、沖縄担当の関係閣僚らが出席。正午の時報に合わせて黙とうした。
 沖縄には戦後72年たっても、全国の米軍専用施設の約70%が集中し、県民生活や経済活動に影響を及ぼしている。過重な基地負担に抗議し、平穏な暮らしを求める県民の思いに反し、昨年は米軍関係者による凶悪事件や、米軍普天間飛行場所属MV22オスプレイの名護市安部海岸での墜落事故が発生。県民が負担軽減を実感することのないままに、名護市辺野古では県民の民意を顧みず、政府による新基地建設が強行されている。

 沖縄戦では一般県民約9万4千人と、日米軍人・軍属などを合わせて20万人余が亡くなった。敵味方を問わず、沖縄戦の戦没者らの名を刻む平和の礎には、今年新たに54人(県内31人、県外8人、海外15人)が加わり、計24万1468人が刻銘されている


沖縄戦「慰霊の日」 東京で体験を聞く会
NHK NEWS WEB 2017年6月23日
沖縄戦の組織的な戦闘が終結して72年となる23日、都内でも当時の体験を聞く会が開かれ、地上戦に巻き込まれて両親ときょうだいを失った女性が語りました。
これは戦争体験者の証言を残す活動をしている市民のグループが開いたもので、東京・台東区の会場には沖縄戦を体験し、戦後、本土に移り住んだ人たちが招かれました。

このうち静岡県長泉町の山岡芳子(75)は当時3歳でしたが、激しい地上戦に巻き込まれ、両親と兄と妹の4人を失いました。山岡さんは「母の足に砲弾の破片が直撃し、夜、泣きながら『痛いよ』と言っていたが、朝になると息をひきとっていた。そのときの母の声はずっと耳に残っていて、夜は今も部屋を明るくしていないと眠れません」と涙ながらに語りました。
そして山岡さんは「戦争のことは悲しいとか悔しいというより恐ろしくて思い出したくない。同じ体験は若い人たちにしてほしくないです」と語りかけました。
会場を訪れた大学3年の女子学生は「戦争のことに関心をもって学んでいるが、体験した人の言葉は重かったです。未来をつくる私たちの世代でも受け継いでいきたい」と話していました。

沖縄戦の体験を聴く会は、25日まで東京・台東区の浅草公会堂の1階展示ホールで開かれ、沖縄からも戦争を体験した人たちが訪れ、証言することになっています。