2017年6月28日水曜日

「獣医学部、全国展開」で安倍政権がさらに暴走!

 「獣医学部の新設を全国展開する」…それが明白な間違いであることはもはや多言を要しません。
 安倍首相はこれまで「首相・委員長であっても特区諮問会議に自分の恣意を入れる余地などまったくない」と強調していましたが、今回の全国展開宣言を諮問会議に諮った形跡は全くありません。語るに落ちました。
 また、なるほど「特区で導入された結果がよければ全国展開する」のが本来の趣旨ですが、今回の獣医学部新設はもともと獣医師の需要見込み上不要なものを「特区」を利用してむりやりねじ込んだ事案なので、当初から「全国展開」の余地などはありませんでした。しかも「加計学園ありき」で進められたものの結果はまだ何も出ていません(卒業生が就職するのは開設してから6年後、予測ができるのにも数年はかかります)。それをいまの段階で「全国展開」を叫ぶのは全く理屈に合いません。
 首相にとっては加計学園に開設が認められたこと自体が大成功だったという感覚しかないようです。

 ところが首相のこの馬鹿馬鹿しい構想に異を唱える人は政権内には誰もいないということです。
 これまでは安倍首相が癇癪を起こして逆ギレする都度、官邸幹部がフォローしたり、あえて無視したり、メディアを恫喝して黙らせたりして大きな問題になるのを防いできたようなのですが、いまは菅官房長官も自身が更迭されるのを恐れるあまり口出しするのを控えているため、あとはイエスマンばかりになって誰も制止する人はいなくなっているということです。そうなれば安倍首相の暴走は歯止めがなくなります。
 安倍政権は、まずトップが壊れそれを頭にいただく政権も壊れているという末期的状況にあります。
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「獣医学部、全国展開」で安倍政権がさらに暴走!
首相は「頭にきたから言った」、菅官房長官は逆ギレ政策の実行を示唆
Litera 2017年6月27日
 先週24日、安倍首相が「神戸『正論』懇話会」なる産経新聞社サポートの安倍応援団イベントで突如としてぶち上げた「獣医学部の全国展開」。これまでの方針を180度転換するこの宣言は正気の沙汰とは思えないもので、国民を唖然とさせた。
 しかも、翌25日放送の『真相報道バンキシャ!』(日本テレビ)では、獣医学部の全国展開宣言について「安倍首相が周辺に語ったその理由」を紹介したのだ。
「あまりにも批判が続くから頭に来て言ったんだ」
 批判ばかりで頭に来たから全国展開を宣言した──。19日に開いた記者会見では「印象操作のような議論に対して、つい強い口調で反論してしまう」と述べ、疑惑を追及する野党に責任を転嫁した上で反省になっていない反省の言を述べたが、またも安倍首相は「頭に来て」しまったらしい。しかし、「頭に来た」だけで、政策そのものを根本から変える発言をするとは、完全に自分のことを独裁者と勘違いしているとしか思えない。

 しかし、驚くのはまだ早い。昨日、さらなる驚愕の展開が待っていたからだ。今度は菅義偉官房長官が、想像の斜め上をゆく発言を定例会見で口にしたからだ。
「全国で45%近くの私立大学が定員割れする中、獣医科大学全体の応募倍率は15倍ある。引き続き手を挙げる学校がある可能性はあるのではないか」
 なんと、安倍首相が起こした幼稚すぎる逆ギレを、真剣に検討するような発言を行ったのだ

菅官房長官が口にした安倍首相の逆ギレ政策実行の理由
 繰り返すが、獣医学部の全国展開宣言は正気の沙汰ではない。これまで加計学園にかんして指摘されつづけてきたのは、「獣医師は総数としては不足していない」「不足しているのは産業獣医師であって学部新設よりも待遇改善が先決」「そもそも加計学園は石破4条件をクリアしていない」「なぜ京都産業大学を排除する条件が加えられていったのか」という問題だ。
 そこに「総理のご意向」文書の存在や今治市が公開した資料、前川喜平・前文部科学事務次官や現役文科官僚たちの証言によって「加計学園ありき」という疑惑は深まり、さらに現在は萩生田光一官房副長官の直接指示を示すメールや発言録まで飛び出し、もはや安倍官邸の主導が決定的になった

 普通ならば、国民の疑念を払拭するために再三口にしてきた「丁寧に説明」とやらを実行すべきだが、安倍首相は子ども並みの癇癪を起こし、その逆ギレを菅官房長官は“実行の余地あり”などと言い出したのである。
 あれだけ「四国に獣医学部がないから」と説明してきたのに、総理の逆ギレに付き合い、今度は「獣医学部は応募倍率が高いから」という理由で門戸を開くと言う……。しかも、菅官房長官は需給バランスだけではなく、石破4条件を加計学園がクリアしていないという批判も完全に無視し、獣医学部新設の全国展開では「4条件に照らして整合的かどうか検討することになる」などともっともらしく発言したのだから、開いた口が塞がらない。

 だが、このことで浮き彫りになったのは、もはや安倍首相の暴走を誰も止められなくなっているという事実だ。
 たしかに、安倍首相はこれまでも同じような逆ギレや開き直りを繰り返してきた。また、批判や厳しい追及を受けない支持者が集まるイベントや御用メディアでは、独裁者丸出しのスローガンとひとりよがりの一方的な政策をまくし立てるということも少なくなかった。
 しかし、そのたびに菅官房長官ら官邸幹部がフォローしたり、あえて無視したり、メディアを恫喝して黙らせたりして、大きな問題になるのを防いできた。それが、今回、安倍首相のバカ丸出し発言に丸乗り、混乱と騒動をさらに大きくするような発言をおこなったことについて、全国紙の官邸担当記者は「安倍首相と菅官房長官ら官邸スタッフとの連携プレーが破綻し、場当たり的になっていることの証明」だと解説する。

官邸幹部も止められない安倍首相の暴走、今秋の改憲案提出も
「そもそも、これまでなら、安倍首相が『全国展開』なんていう馬鹿げたことを言い出すのを、事前に菅官房長官ら官邸幹部が止めていたはずです。ところが加計学園問題では、その菅さんが前川次官に対する謀略や『怪文書』発言で集中砲火を浴び、責任問題に発展してしまった。その結果、菅さんも安倍首相から切られることを恐れて、イエスマンぶりに拍車がかかっているんです。もともと萩生田官房副長官や和泉洋人首相補佐官は安倍首相に言われたことならどんなことでもやるタイプですから、もう本当に安倍首相の暴走を止められる人間がいなくなっている。どんな無茶苦茶なことでも、安倍首相が口にしてしまったら、それを実行するという体制になってしまっているんです」
 もちろん、こうした実態は国民の間にすっかりバレてしまったし、マスコミも以前よりは「赤信号みんなで渡れば怖くない」とばかりに、政権批判報道をやれるようになった。
 しかし、政権側はそんなことはおかまいなしだ。安倍首相は疑惑をごまかすために次から次へとデタラメな政策を口にし、官邸と自民党はそのお言葉があると、「ご意向」を実現するべく、どんな乱暴なことも平気でやり始める。

 たとえば憲法改正についても、前述の「獣医学部、全国展開」を打ち出した「神戸『正論』懇話会」で、安倍首相は自民党独自の憲法改正案を来年の通常国会ではなく、秋の臨時国会に提出する考えを示した。
 具体的な議論がまったく行われていない段階での、性急すぎる計画に自民党内でも驚きの声が上がったが、実際、これも支持率低下に焦った安倍首相の独断で、「国民の間でも支持の多い自衛隊明記の条項を追加する改憲案をぶちあげることで、一発逆転を狙ったもの」(自民党関係者)だという。だが、自民党と官邸は驚いたことに、この発言を受け、わずか2カ月の議論で、改憲案をまとめようと本気で動き始めるらしい
 内閣支持率低下で「いよいよ安倍政権が末期症状か」などといった楽観的な見方もあるが、この調子では、安倍政権が潰れる前に、この国をむちゃくちゃにされてしまうかもしれない。(編集部)