衆議院憲法審査会は8日、各党が、天皇制などをテーマに、安定的な皇位継承の在り方などをめぐって議論を行いました。
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「天皇元首」自民が提案 衆院憲法審 民・共・社は反対
東京新聞 2017年6月8日 夕刊
衆院憲法審査会は八日午前、天皇制をテーマに意見交換した。冒頭の意見表明で、自民党の根本匠氏が「天皇を憲法上、元首と位置づけることもあり得る」と発言したのに対し、民進、共産、社民各党が反対したほか、自民党の別の委員からも慎重な意見が出た。
自民党は改憲草案で天皇を「日本国の元首」と明記している。憲法審で根本氏は、天皇が外国の大使らの接受など「国を代表する職責」を有しているとして、「国家及び国民統合の象徴としての地位を元首と考え」て憲法に明記する可能性に言及。議論を求めた。
被災地訪問などの天皇の「公的行為」と、国旗、国歌についても党改憲草案と同様、憲法上明確に位置づけることを求めた。
民進党の岸本周平氏は「行政権を保持していない天皇を、あえて憲法で元首と規定することは誤解を招く恐れがある」と指摘。共産党の赤嶺政賢氏は「天皇ハ国ノ元首」と定めた旧憲法が戦争につながったことに触れ「(天皇を元首と位置づける改憲は)国民主権の原則と相いれない」と訴えた。社民党の照屋寛徳氏も、天皇の神格化を目指すものなどとして批判した。
一方、自由討論で、自民党の船田元氏と土屋正忠氏は「元首という表現はふさわしくない」などと慎重な考えを示した。公明党の太田昭宏氏も「(天皇は)元首にすべきでない」と話した。
衆議院憲法審査会 天皇制をテーマに各党が議論
NHK NEWS WEB 2017年6月8日
天皇陛下の退位に向けた特例法案が、9日に成立する運びとなっている中、衆議院憲法審査会では8日、各党が、天皇制などをテーマに、安定的な皇位継承の在り方などをめぐって議論を行いました。
天皇陛下の退位に向けた特例法案は7日、参議院の特別委員会で可決され、9日の参議院本会議で可決・成立する運びとなっています。
こうした中、衆議院憲法審査会は8日、天皇を規定している憲法第一章をテーマに、各党の意見表明などを行いました。
この中で、自民党は、「象徴天皇制は重要な憲法上の原則だ。皇位継承の在り方は簡単に結論が出る問題ではないが、象徴天皇制の維持にとって重要な問題であり、真摯(しんし)な議論を重ねていく必要がある」と述べました。
民進党は、「皇位の安定的継承のため旧宮家の皇族復帰を進めるべきという意見もあるが、非現実的だ。皇位継承資格を女性や女系の皇族に拡大することについて、国民的な議論を喚起すべきだ」と述べました。
公明党は、「安定した皇位継承のための制度の構築は重要な課題だが、拙速な議論を慎み、一定の時間軸の中で、国民の意識や皇室の状況なども見極め、国民の合意を形成していくことが適切だ」と述べました。
共産党は、「自民党の憲法改正草案では、天皇を『元首』と定めているが、国民主権の原則とは相いれない。また、『天皇は公的な行為を行う』としているが、天皇を国政に関与させてどうするのか」と述べました。
日本維新の会は、「女性皇族のご結婚などに伴う皇籍離脱で皇位継承資格者の確保が難しくなると考えられ、国会で早急に協議すべきだ。ただ、男系による皇位継承をゆるがせにする検討は避けるべきだ」と述べました。
社民党は、「天皇を元首とすることは、天皇の神格化と天皇を中心とした国づくりを目指すものだと強く批判せざるをえない。また、天皇の『公的行為』の拡大は天皇の政治利用を加速させる」と述べました。
これに先立って開かれた審査会の幹事会で、自民党の古屋選挙対策委員長は、先に、改正項目を絞り込む際に多数決で決めることもありえるという認識を示したことに触れ、「個人的な発言だ」と釈明しました。