9条改憲「性急すぎる」 自民全体会合で異論も
東京新聞 2017年6月21日
自民党の憲法改正推進本部(本部長・保岡興治元法相)は二十一日午前、党所属の全議員を対象とした全体会合を党本部で開いた。安倍晋三首相(党総裁)が五月三日に提起した憲法に自衛隊を明記する案を巡り意見交換した。参加議員からは首相提案を受け入れる意見が出される一方、時間をかけた議論や戦力不保持などを規定した九条二項の削除を求める声もあった。
保岡氏は冒頭、「いよいよ憲法のどの部分を、どのように改正するか具体的な案を(国会の)憲法審査会に提案し、議論を進める段階に入った」と党の改憲案づくりを急ぐ考えを強調。遅くとも年内をめどに党改憲案をまとめる方針を説明した。首相が自身の改憲提案を説明する機会を検討していることも紹介した。
会合には五十人程度が出席。戦争放棄を規定した九条一項と二項を維持して自衛隊の存在を明記する首相提案に対し、佐藤正久参院議員は「九条一、二項をそのままにして、九条の二として自衛隊を位置付けるのが実現可能な選択肢だと思う」と支持を表明した。
石破茂元幹事長は「三項に自衛隊の明記はあり得ると思うが、交戦権とは何かについて答えを出さなければ自衛官は一体どうなるのか」と指摘。二〇一二年の党改憲草案について「何のために草案をつくったのかを説明する機会をつくってほしい」と訴えた。
このほか「八月に一定の結論を出すのは、あまりにも性急すぎる」と発言した議員もいた。
保岡氏は終了後、記者団に「二項を変えるという方向で改正案をまとめるとすれば、出口の発議で大きな荷物になる。絶対に(議論の)期限を区切るなという強硬な意見ではなかった」と話した。
推進本部は八月まで会合を開く。九条改憲に加え、大学など高等教育までの無償化や、大災害などの発生時に国会議員の任期を延長できるようにする緊急事態条項の新設、一票の格差と参院選挙区の合区解消を中心に議論する。