加計学園疑惑に対して安倍首相は、「国家戦略特区」を利用して岩盤規制にドリルで穴を明けたと豪語していますが、どれは全くの虚偽で、その実態は首相の「腹心」の友の加計氏に莫大な便益が供与されただけです。
獣医学部を「新設」する合理的な根拠は何もなく、学部を新設する条件とされている「新たな分野の研究や教育」が期待される余地はありません。
獣医学部を「新設」する合理的な根拠は何もなく、学部を新設する条件とされている「新たな分野の研究や教育」が期待される余地はありません。
加計学園の獣医学部新設を審議する大学設置審議会は、かねてから「学生の定員が160人と、全国平均の約3倍で、施設規模に比べても大きすぎる」、「教員の多くが、他大学を定年退職した元教授や、大学を卒業したばかりの若手」で問題があるとしてきましたが、6月5日に現地に赴き「実地審査」に乗り出す方針を固めました。
実地審査は問題があるケースで行われるもので、世間的に注目を集めている問題だけに審議会も簡単にOKは出さないだろうと見られています。
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加計学園「開学不能」の可能性…文科省審議会が現地調査
日刊ゲンダイ 2017年6月2日
「総理のご意向」が働き、開学へ急ピッチで進んできた学校法人「加計学園」の獣医学部。ところが、開学が白紙になる可能性が出てきた。認可の可否を判断する文部科学省の「大学設置・学校法人審議会」が、「教育の質」に疑問を持ち始めているのだ。8月に認可判断を控えた審議会は6月5日、現地に赴き「実地審査」に乗り出す方針を固めた。
実地審査とは、審議会の「専門委員会」が、学部の健全な運営が可能か否か、関係者から聞き取り調査などを実施するものだ。書類審査だけでは、認可の可否判断が難しい場合に実施されるという。
「実地審査で専門委員から疑問の声が出れば、さすがに審議会は無視することはできません。すでに委員からは『教員の多くが、他大学を定年退職した元教授や、大学を卒業したばかりの若手』『定員枠が160人と、全国平均の約3倍で大きすぎるのでは』と、教育の質について疑問視する声が上がっているといいます。世間的に注目を集めている問題だけに、委員も慎重になっており、審議会も簡単に “お墨付き” を与えるわけにはいかないでしょう」(地元関係者)
もともと、来年2018年4月の開学は無理スジだとみられていた。松野博一文科相も昨年秋、「(18年4月開学は)必要な準備が整わないのではないか」と指摘していた。その不安が的中する可能性が高まっているわけだ。
■銀行から融資引っぱる“錬金術”も無理
その上、加計学園の獣医学部は、経営上の不安も取り沙汰されている。1日発売の「週刊新潮」によると、6年制の獣医学部の年間授業料収入は約20億円。これに対し、費用は年間30億円にも上るという。
これでは、毎年10億円もの赤字を垂れ流すことになり、早晩、経営が行き詰まるのは目に見えている。当然、審議会は経営上の健全性も厳しく審査するはずだ。
加計学園は、無償で手に入れた37億円相当の学校用地を担保に入れ、金融機関から巨額の融資を引っぱる――こんな“錬金術”を考えていたのかもしれないが、それも難しいという。今治市企画課の担当職員はこう言う。
「市と加計学園の契約では、18年の開学から、6学年全てに学生が入学するまでの6年間は、文科省が運営状況の審査を実施します。その間、加計学園は今治市が無償譲渡した土地を担保に入れることを契約で禁じられています。24年以降は、担保に入れることが可能になりますが、獣医学部の経営が立ち行かなくなった場合、市が土地の所有権を剥奪する取り決めになっています」
つまり、金融機関が土地を担保に取っても、経営が逼迫すれば、市が土地の所有権を回収してしまう。そんな“取りっぱぐれ必至”のリスクを背負ってカネを貸す金融機関があるとは思えない。
こんな状況で審議会は認可を下すのか。「総理のご意向」を忖度して認可すれば、国民の批判が審議会に向くのは確実だ。