安倍首相は19日、国会の閉会を受けてNHKで記者会見を行い、NHKはそれを「首相 みずからの姿勢反省 信頼回復に努める」という見出しで報じましたが、その中身はタイトルとはほど遠いものでした。
曰く、
・加計学園獣医学部新設は時代の必要性に応える改革、岩盤規制を打ち破るのが国家戦略特区で、岩盤規制の改革には抵抗勢力が必ず存在するが、私は絶対に屈しない。
・「共謀罪(「テロ等準備罪」)」法の成立は、東京オリンピック・パラリンピックを3年後に控え、テロを未然に防止するため必要だ。法律が来月中旬にも施行されるにあたり適正に運用していく。
という具合で、すでに国会の審議の中で破綻し尽くした内容を何ごともなくまた持ち出して、国民に対してウソ八百を並べ立てるというものでした。
「黒を白という」、「カラスをサギ(鷺)と言いくるめる」という、厚顔無恥のウソツキを評する言葉がありますが、まさにそれの具現であって反省などはクスリにしたくともありません。
精神科医の和田秀樹氏は安倍氏の人間性について、
「安倍首相は一般家庭ではなく政治家の家庭に生まれたので、子どものころから『ウソをついてもかまわない』という教育を受けていたのだと思います。とにかく、その場をごまかせればいいという感覚を持っているのではないかと疑います」と述べています※が、彼がウソを咎められない環境の中で育った結果、「ウソを吐く」ことに熟練し何の良心の呵責も感じなくなっているというということは、他の人たちも言っているところです。
※ 6月18日 安倍政治はウソで塗り固められている
LITERAは安倍首相の記者会見前と会見後に、それぞれ記者会見に関する記事を出しました。
二つの記事を発行順に紹介します。
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本日会見、安倍首相にだまされるな!
加計、森友、共謀罪から学歴詐称まで安倍はこれだけウソをついてきた!
LITERA 2017年6月19日
週末の各社世論調査で、安倍内閣の支持率が軒並み急落している。政権御用新聞の読売新聞ですら12ポイント減の49%と過半数割れ。毎日新聞は36%、日本テレビは39.8%と30%台にまで落ち込んでいる。
支持できない理由としては、各社共通して「安倍首相の人柄を信用できない」というもの。加計学園問題の説明については、8〜9割の人が納得できないとしている。
それも当たり前だろう。加計問題も、森友問題も、疑惑が一層深まるなかなんらまともな説明もしないまま、委員会採決をすっ飛ばしいきなり本会議採決で共謀罪を強行成立させてしまうというとんでもない横暴な手段まで用い、国会を閉じて幕引き、逃げ切りをはかった安倍首相。
安倍首相は本日夕方、記者会見を開き説明するというが、真摯に説明する気があるならば、国会会期を延長し、前川喜平・前文科省事務次官をはじめ関係者を国会に招致し、自らも集中審議に応じればいい。それをせず、自分の都合のいい話を一方的にできる会見での説明という時点で、疑惑解明に本気で取り組む気などさらさらないことがわかる。
記者たちには菅義偉官房長官の会見で食い下がった東京新聞の望月衣塑子記者のような追及をしてほしいところだが、安倍首相が例によって「岩盤規制に穴を開けようとしただけ」などとウソを垂れ流し詭弁を弄するだけなのは、火を見るより明らかだ。
今国会では、自分に都合の悪いところを突かれるたびに、安倍首相が「印象操作」と相手を攻撃する場面が話題になったが、これまで数々のウソ、二枚舌、詭弁、論点スリカエ、捏造、デマで「印象操作」を繰り返してきたのは、当の安倍首相のほうだ。まさに“息するように嘘をつく”その大嘘つきぶりは、もはや病的と言わざるをえない。
本日の会見で安倍首相は、いったい、どんなウソ、詭弁、ごまかしを吐くのか。
本サイトでは開設以来、安倍首相の数えきれないほどの嘘を報じてきたが、あらためてその嘘の手口の数々を以下に再録したい。もう安倍首相の嘘に騙されないために、ぜひご一読いただきたい。
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安倍首相は「反省」などしていない!
嘘、スリカエ、責任転嫁、ごまかし…醜悪すぎる会見内容を徹底検証
LITERA 2017年6月19日
安倍首相が本日18時から記者会見を行ったが、その中身は、本サイトが予想していた通り、嘘、インチキ、話のスリカエ、責任転嫁、ごまかしだらけの、最悪なシロモノだった。
それは冒頭からいきなり始まった。安倍首相は閉会した国会を総括するなかで、こんなことを言い出したのだ。
「建設的議論という言葉からはかけ離れた批判の応酬に終始してしまった。政策とは関係ない議論ばかりに多くの審議時間が割かれてしまった」
「印象操作のような議論に対して、つい強い口調で反応してしまう、そうした私の姿勢が結果として政策論争以外の話を盛り上げてしまった。深く反省している」
ニュース番組などでは「総理『深く反省』」などとテロップを打っていたが、一体この言葉のどこが反省しているというのか。
だいたい建設的議論を阻んだのは、共謀罪で二転三転するでたらめ答弁を続け、中間報告という禁じ手で強行採決をした安倍首相と自民党だろう。
「批判の応酬」になったのもそうだ。お前の妻が国有地の不正な売買にかかわったり「腹心の友」に便宜を図っていた事実があきらかになったのに、真相の追及に対して「妻は私人」だの「職員が勝手にやった」だの、説明責任をハナから放り出して見苦しい開き直りに終始したから、真相解明ができなかったのではないか。
挙げ句、この期に及んでも、そうした追及を「印象操作」だと片づけ、あたかも自分が被害者であるかのように振る舞うのだから開いた口がふさがらない。こういう行いを「印象操作」と呼ぶのだ。
「みんなにチャンス!構想会議」でお友だちにチャンスを狙う?
また、安倍首相は「先週も調査結果の発表後に予算委員会の集中審議に出席した」と得意気に胸を張り、「何か指摘があれば、その都度、真摯に説明責任を果たしていく」などと宣言していたが、冗談も休み休み言ってほしい。
「集中審議に出席した」と言っても、たったの3時間。しかも、側近中の側近である萩生田光一官房副長官が獣医学部新設に直接関与していた証拠まで明らかになったのに、それを一切認めようとせず、文科省から出向中の内閣府職員にすべての罪を着せ続けただけだった。
「真摯に説明責任を果たす」というのなら、昭恵夫人や前川喜平・前文部科学事務次官らの証人喚問にすぐに応じればよかったではないか。今からでも、こんな記者会見などではなく会期延長や閉会中審査に応じればいい。
だが、安倍首相はそういう説明責任への具体的な姿勢は口が裂けても口にしなかった。かわりに、連呼したのが、例の「岩盤規制」だった。加計学園だけに獣医学部新設させたことを「岩盤規制の改革」だと主張し、民進党を“抵抗勢力”呼ばわり。「既得権と手を結ぶことも決してない」「私は絶対に屈しません」「今後も総理の私が先頭に立ってドリルの刃となってあらゆる岩盤規制を打ち破っていく」と宣言したのだ。
しかし、これらがまったくの嘘だというのは、内閣府の文科省に対する圧力文書や京都産業大学外しの経緯でとっくに明らかになっている。その説明すらせずに、空疎なスローガンをいくら連発しても「これからも私物化していくんでヨロシク」という宣言にしか聞こえない。
しかも、安倍首相はいつものパターンで、自分の責任を棚上げしたあとは、「有効求人倍率はバブル期以上」「長年、実現してこなかった返還不要の給付型奨学金制度を創設する法律も成立」などと成果のアピールに勤しんだ。
しかし、有効求人倍率が高いのは人口減で求職者が減っているのと、非正規社員が増えているせい。個人消費も実質賃金も上がっておらず、これで景気回復を謳うのはまったくのフェイクだ。給付型奨学金もまた世界的に見れば当然の話で、安倍首相は会見で「どんなに貧しい家庭に育っても高校にも大学にも進学できるように」などと宣ったが、高校の授業料無償化制度を廃止した当人がよく言うよ、と突っ込まざるを得ない。
おまけに、安倍首相はこの夏から「みんなにチャンス!構想会議」というワケのわからない有識者会議を立ち上げるとし、相も変わらず「改革者」虚像を自ら振りまいたのだ。おそらく、かなりの数の国民が、「それって、また自分のお友だちにチャンスを与えるんだろ」と突っ込んだのではないか。
安倍首相を追及しなかったマスコミ 質問者はあらかじめ決まっていた?
しかも、きょうの会見でもうひとつ、怒りが湧き上がってきたのは、マスコミの姿勢だった。
実は、会見前は一縷の望みを抱いていた。先日の菅義偉官房長官の会見のように、今回ばかりは記者が質問で安倍首相のインチキを徹底追及してくれるのではないか、と。実際、加計学園問題のみならず、共謀罪法案を中間報告で押し通すという暴力的な国会運営など、いくらでも追及の材料はあった。
だが、質疑応答でも、森友・加計学園問題や共謀罪について安倍首相は淡々とあらかじめ用意されたであろう回答を読み上げるだけ。何度も食い下がるような質問はなく、東京都議選や自民党人事、内閣改造、日露関係といった「国民の疑問」とは遠くかけ離れたテーマばかり。しかも、安倍首相は共謀罪の質問に対し、「一般の方が処罰の対象となることはない」と、国会議論とは食い違う大嘘まで吐いたのに、それを追及する声はひとつも出なかった。
また、質問者も、幹事社である毎日新聞とTBS以外で、指名されたのはロイター、NHK、日本経済新聞、フジテレビのみ。菅官房長官を追い詰めた東京新聞社会部の望月衣塑子記者も会見場にいたようだが、どうやらあらかじめ質問者は決まっていたのだろう。
共謀罪法案をはじめロクに国会中継しないNHKはきょうの会見を生中継し、スタジオでは岩田明子記者が解説という名の擁護を垂れ流したが、それも全部シナリオ通り。都合の悪い質問をあらかじめ排除する安倍首相は、批判的な記者を締め出すトランプ大統領と同じだが、日本が絶望的なのは、記者側がそれを受け入れ“共謀”していることだ。
そういう意味では、今回の会見は何から何まで茶番だったといえるだろう。向けられた疑惑の目に向かい合わないばかりか、「建設的議論ができなかったのは印象操作をする野党のせい」などと真っ赤な嘘で他人のせいにしつづける安倍首相。それをきちんと追及することもできず、シナリオ通りにその言い分を垂れ流すマスコミ。
各社世論調査の支持率低下、さらにほとんどの調査で不支持の理由のトップが「首相が信頼できない」だったことをみてもわかるように、国民はこの間の安倍政治と安倍首相の不正に対してこれまでになく不信感を強めている。
しかし、こんなことを許していたら、いつのまにか、安倍政権はその狡猾な情報操作によって、支持率を復活させ、私物化と不正を繰り返すだろう。そうならないためにも、マスコミは今度こそ安倍官邸に尻尾をふる体質を断ち切って、国民の側に立った報道をすべきではないのか。(編集部)