2017年10月4日水曜日

04- 立憲民主党の結成で市民と立憲野党による共闘条件が整った(五十嵐仁氏)

 五十嵐仁・法大名誉教授が「立憲民主党の結成によって市民と立憲野党による共闘の条件が整った」とする記事を発表しました。これまでは「希望の党」を何とか野党の前進に役立てたいという立場から発言されていましたが、ようやく落ち着きのある展開になったという感じです(植草一秀氏も同様の記事を書いておられますが紙面の関係で割愛します)。
 関連するNHKの2本の記事も併せて紹介します。
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「立憲民主党」の結成によって市民と立憲野党による共闘の条件が整った
五十嵐仁の転成仁語 2017年10月3
「待ってました!」という市民の声が聞こえるようです。民進党の枝野幸男代表代行が、新党「立憲民主党」の結成を発表しました。
 ギリギリのところで、間に合ったようです。今か今かと待ちかねていた「正義の味方」が、白馬に乗って駆けつけてきた昔見た映画(「新吾十番勝負」だったかな?)の場面を思い出しました。

 結果的には、これで良かったのではないでしょうか。水と油のような勢力が混在していて、本気の共闘に踏み出せなかった前原代表の民進党でしたから。
 希望の党による選別で「ふるい」にかけられ、安保法と9条改憲に反対できず、市民や立憲野党との約束を守れず、自らの信念や筋を貫くこともできない「不純物」が脱落することになりました。その結果、これまでの主張や立場を変えず信念に従って筋を通そうとするまともな人々によって、立憲主義や民主主義の擁護を党名に掲げた新しい政党が誕生したのです。

 この新党の結成によって、これまで積み重ねられてきた市民と立憲野党との合意や実績が無にならず、今回の総選挙でも生かされ「本気の共闘」が実現する条件が整いました。市民連合などの市民団体と立憲民主党、共産党、社会民主党との間の政策的合意や小選挙区での候補者調整などに、早急に取り組んでいく必要があります。

 枝野さんによる立憲民主党の結成と野党共闘への参加によって、今回の総選挙の構図が固まりました。政党の分布からすれば、①自民・公明・こころ、②希望・維新、③立憲民主・共産・社民の3つの陣営に分かれたように見えます。
 一見すれば三つ巴の構図であり、三国志時代の「天下3分の計」に似通っているように見えます。しかし、理念や政策の面からすれば、安保法を認めて改憲を目指す立場に立つかどうかという点で、大きく二つの勢力に分かれました
 これは野党の分裂ではなく、「保守の分裂」なのです。この「分裂」を活かして保守勢力に手を突っ込んで分断し、安倍首相を孤立させて打倒することが、これからめざすべき目標だということになります。

 このような状況のなかで、小沢さんの自由党が希望の党との連携を模索しているというのが不可解です。安保法に反対し政策合意にも加わって来たこれまでの経緯や主張からすれば、立憲野党との共闘に加わるべきでしょう。
 持論である「オリーブの木」構想にこだわる気持ちは分かりますが、民進党のなだれ込み路線が不発に終わり、希望の党を中心にして野党勢力の結集を図る「希望」が失われてしまった現在、もはやこの構想は潰えたのではないでしょうか。これからは「野党勢力の結集」ではなく「立憲勢力の結集」をめざしてもらいたいものです。
 それとも、身に付いた「保守の虫」が動き出したのでしょうか。小沢さんには、小池さんという「緑のタヌキ」に化かされて晩節を汚すことのないようにしていただきたいと思います。

 立憲民主党の登場によって、これまでポッカリと空いていた中道左派の政治空間を埋める新しい政党が登場したことになります。しかも、反共主義に立たず、市民や共産党との共闘に積極的な姿勢を示しています。
 将来における統一戦線の一翼を担うことのできるリベラル政党が、ついにこの日本でも誕生したことを意味していると言うべきでしょう。立憲民主党が産声を上げた2017年10月2日は、民主連合政府の「パン種」ができた歴史的な日として、いずれ記憶されることになるかもしれません。


自由党の3人を希望の党が公認 小沢氏は無所属で
NHK NEWS WEB 2017年10月3日
希望の党との連携を模索してきた自由党の小沢代表は記者会見し、衆議院選挙への対応をめぐり、自由党の3人の立候補予定者が希望の党から公認されたことなどを受け、党として公認候補は擁立せず、みずからと玉城幹事長は無所属で立候補することを明らかにしました。
自由党の小沢代表は、衆議院選挙で安倍政権と対抗するためには、野党勢力が結集すべきだとして、希望の党との連携を模索してきました。
そして、3日、自由党の3人の立候補予定者が希望の党から公認されたことなどを受けて、小沢氏は、3日、国会内で記者会見し、党として衆議院選挙に公認候補を擁立せず、みずからと玉城幹事長は、無所属で立候補することを明らかにしました。

小沢氏は「野党結集を言い続けてきたイメージとは、ちょっと違う形になったが、野党第1党の民進党と足並みをそろえることになった。私自身が変わるわけではなく、有権者には私自身の考え方と生きざまを判断してもらう」と述べました。


共産 志位委員長「立憲民主党」を歓迎 連携協議へ
NHK NEWS WEB 2017年10月3日
共産党の志位委員長は党本部で講演し、枝野元官房長官らが新党「立憲民主党」を結成したことについて、安全保障関連法に反対する立場から歓迎したいとして、衆議院選挙に向けて連携を協議する考えを示しました。
共産党の志位委員長は、衆議院選挙について、「『自公対希望』というのは、全く偽りの対決構図で、希望の党が自民党の補完勢力であることは明らかだ。本当の対決構図が『自公と補完勢力対市民と野党の共闘』であることに、いささかも変わりはなく、むしろ、一層鋭い形で、構図が浮き彫りになっている」と述べました。

そのうえで志位氏は、枝野元官房長官らが新党「立憲民主党」を結成したことについて、「安保法制反対を貫こうという流れからの動きを心から歓迎する。野党共闘の原点と大義に立ち返って行動する人たちとの協力や連携を追求していきたい」と述べました。
共産党は、衆議院選挙に向けて立憲民主党との連携を強化するため、3日の常任幹部会で、立憲民主党の枝野代表が立候補を予定している衆議院埼玉5区への公認候補の擁立を取り下げることを決めました。
また、共産党の志位委員長は記者会見で「民進党から希望の党に合流した人たちは、これまでの『安保法制廃止』という旗を降ろして容認に変わるという点で、有権者に対し、自分たちの立場を説明できないという矛盾に陥っている」と述べました。

また、志位氏は、希望の党の代表を務める東京都の小池知事について「衆議院選挙に出ても、出なくても、どちらも裏切りになる。出た場合は、『都政を踏み台にした』という強い批判が出るだろうし、出ない場合でも、『本気で国政に取り組む決意があるのか』と問われ、どちらにしても批判は免れない」と述べました。