小池・前原両代表が10回も打ち合わせをしたうえで、民進党が解党し希望の党に合流する(基本的に全員が合流できる)と聞けば、相当綿密な打ち合わせの結果小池氏側が妥協して民進党内のリベラル派も受け入れるという合意があったと、誰しもが考えます。
しかしそんな合意は全くなかったのにもかかわらず、前原代表が勝手に衆院の民進党を解党しようとしているために、いわゆる民進党のリベラル派はいま 宙に浮いた状態にあります。前原氏はそういう人たちは無所属で立候補してくれというのですが、政党所属の議員であるか無所属の議員であるかでは決定的な違いがあるので、そんなことを代表の一存で決めてよい筈がありません。
前原氏は28日の両院議員総会では全員が合流できるようにすると綺麗な口を利きましたが、翌29日朝の小池氏との打ち合わせでは彼女に一蹴されたようで、会談は15分で終わりました。
合意が出来ていないのであれば、極右である小池氏が希望の党の公認の条件として「憲法改正」と「安保法制容認」を挙げるのはむしろ筋が通っています。彼女の方が民進党の「烏合の衆」状態を拒否したということで、実際に日本維新の会とはスムーズに連携・すみわけが出来ました。
それにしてもそんな大事な問題に決着をつけないまま「合流」を決めたのですから、前原氏の方に非があるのは明らかです。なにより「安保法制容認」は、民進党がこれまで主張してきた「憲法違反の安保法制」を完全に否定するものなのに、小池氏がそれを党公認の条件として持ち出してきた時点でも、前原氏が何の対応も見せていないのは実に不可解なことです。
彼自身が28日の議員総会でも「憲法違反の安保法制」と明言しているのですからなおさらのことで、もしも建前と本音が違うというのであればそもそも党の代表になるべきではありませんでした。まことに前原氏は交渉能力がゼロの無能で無責任な代表です。
小池新党の登場により、反自民勢力が「原発ゼロ」「消費税増税反対」の2点で結集できると多くの人が期待しましたが、いまや無に帰しました。
小池新党が受け入れを拒否する15人のリストがすでに回っているということです。枝野氏は、合流できない人たちでリベラル新党を作ることを検討しているということなので一刻も早く立ち上げるべきでしょう(リストには野田佳彦、安住淳などの極右メンバーも載っていますがそうした異分子はいずれ淘汰されます)。
常に反自民勢力の統一に腐心している植草一秀氏は、小池氏が新党立上げ会見で、「消費税増税凍結」と「原発ゼロ」を打ち出したことに注目して、「『安倍やめろ!野党共闘』を『消費税増税凍結』『原発ゼロ』を基軸に『政策連合』を構築することはあり得ない選択肢ではない」、「小池国政新党の本格登場により、衆院選構図が激変する可能性が浮上し始めている」と述べました※。
※ 9月28日 小池新党と消費税増税阻止政策連合の可能性(植草一秀氏)
しかし、その後の経過を踏まえ、1日付けのブログでは
「『日本を戦争をする国にするのか、しないのか』について、小池国政新党がその本性をむき出しにし始めた」以上、「日本を戦争にしない国にとどめる」ために「本当の意味の『第三極』勢力を結集して、3分の1以上の議席を確保しなければならない」とし、「そのために必要なことは、民進党の一部議員と他の『戦争をしない国』推進勢力がリベラル新党を創設することである」と述べています。
植草一秀の「知られざる真実」を紹介します。
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牙むき出し小池国政新党失速とリベラル新党創設
植草一秀の「知られざる真実」 2017年10 月1日
(阿修羅 1st Oct 2017 市村 悦延 より転載)
9月29日午後5時より衆議院第一議員会館多目的ホールにおいて、立ち見の参加者も出る状況で「オールジャパン平和と共生」主催 「政治私物化・KKK(かけかくし解散)許さない!」「安倍やめろ!野党共闘で政権奪還!」「9.29衆院総選挙院内緊急総決起集会」が開催された。
第1部 森友・加計疑惑徹底追及-政治私物化を許さない!
第2部 「安倍やめろ!野党共闘」で政権奪還!
の構成で、極めて有意義な問題意識の共有、衆院総選挙に向けての主権者の側の基本戦略、基本戦術を確認することができた。
参集下さった主権者のみなさま、集会開催にご尽力くださった多くの関係者のみなさまに心から感謝の意を表したい。
集会の模様は、オールジャパン平和と共生顧問でもある岩上安身氏が代表を務めておられるIWJ、ユープラン三輪様、Thinkbox大野様、ご講演者でもある黒川敦彦様のグループの4者によって動画配信、録画配信を賜った。記して厚く感謝申し上げたい。
ユープランさまはすでに全体録画を配信くださっているので、ご高覧賜りたい。
20170929 UPLAN 「政治私物化・KKK(かけかくし解散)を許さない!」「安倍やめろ!野党共闘で政権奪還!」 衆院総選挙院内緊急総決起集会
他の動画配信についても改めてご紹介させていただく予定である。
集会では、オールジャパン平和と共生の最高顧問である元日本医師会会長の原中勝征氏による開会挨拶で封切られ、続いて同じく最高顧問で元内閣総理大臣の鳩山友紀夫氏からのメッセージが代読された。
第1部では4名の講師による極めて示唆に富むご高話が開示された。
10月10日公示、10月22日投票の今回の衆院総選挙。
第一のテーマは、「政治私物化、もりかけ隠しの安倍政治に終止符を打つこと」である。
しかし、同時に、私たちは「戦争と弱肉強食」の政治に終止符を打ち、「平和と共生」の政治を確立しなければならない。これが今回衆院総選挙の第二のテーマである。
小池国政新党が創設され、安倍政治を終焉させる可能性が浮上している。これはこれで極めて重要なことであるが、小池国政新党が拙速にその本性を表わし始めたことに対する最大の注視が必要である。
オールジャパン平和と共生は、反戦・反核・反貧困 の三つの最重要テーマを掲げて、この政策論点を基軸に、主権者が支援する候補者を各選挙区にただ一人選定してゆくことを提唱しているが、その第一のテーマである「反戦」について、小池国政新党が重大な行動を示し始めた。それは、憲法改定・戦争法肯定を民進党出身者への公認付与の条件に掲げ、一部候補者の公認拒絶に動いていることである。
これまでの野党共闘の枠組みは「戦争法制廃止」を基軸にするものであった。民進党はこの点を確認の上、野党4党共闘を成立させてきた。その根幹にかかわる「戦争法制肯定」を公認付与の条件に掲げることが鮮明になりつつある。
こうなると、これまでの経緯を踏まえると、民進党候補者は基本的にすべて、希望の党からの衆院選出馬を固辞しなければならないことになる。この問題が新たに浮上している。
総決起集会でオールジャパン平和と共生顧問の梓澤和幸弁護士は、「究極の対米従属政策が憲法改定=9条改定であり、その是非こそが今次衆院総選挙の最大の争点である」と指摘された。
私はかねてより、日本を支配する支配者は、自公と第二自公による二大政党体制への移行を狙っており、それが自公と小池国政新党による二大政党体制であることを指摘してきた。
これを私は「二党独裁体制」と指摘してきた。
小池国政新党が拙速にその本性をむき出しにする行動を示し始めたことで、この点がにわかに鮮明になりつつある。
原発ゼロ、消費税増税凍結という、極めて重要な政策を提示し、民進党が示していない重要施策が提示されたことに注目はしなければならないが、他方において、最も重要なもうひとつのテーマである、「日本を戦争をする国にするのか、しないのか」について、小池国政新党がその本性をむき出しにし始めたのである。
結論を示せば、この衆院選で自公と第二自公である小池国政新党が衆院3分の2議席を確保すれば、必ず憲法改悪に進むことになる。日本を「戦争をしない国」にとどめるには、これを阻止しなければならない。つまり、「日本を戦争にしない国」にとどめる、本当の意味の「第三極」勢力を結集して、3分の1以上の議席を確保しなければならない。
そのために必要なことは、民進党の一部議員と他の「戦争をしない国」推進勢力がリベラル新党を創設することである。
このリベラル新党と共産党が完全なる選挙共闘を構築して、主権者に「戦争をしない日本存続」の選択肢を提供する必要がある。
焦点は民進党の100億円の政党交付金である。民進党のこの政党交付金は主権者から配給された資金である。これを議員数で除して、各議員に配分するべきだ。「戦争をしない国」の政策公約を堅持して小池国政新党に移籍しない者にこの政党交付金を配分する必要がある。
反戦・反核・反貧困の旗を掲げる、本当の意味の第三極政党を創設して、日本の主権者に適正な選択肢を提供する体制を構築することが喫緊の課題になっている。
民進党、自由党はこれまで戦争法制廃止を軸に共産党を含む野党4党での共闘体制を築いてきた。その民進党と自由党議員が「安倍やめろ!野党共闘」として小池国政新党に合流し、新たに原発ゼロ、消費税増税凍結の方針を掲げるなら、それは意味のあることと判断した。しかし、小池国政新党が、戦争法制を肯定し、日本を「戦争をする国」にするための憲法改悪を肯定するかどうかを公認付与の条件に掲げるなら、根本が覆る。
小池国政新党は下記の民進党議員を拒絶しているとの情報がある。
菅直人、手塚仁雄、櫛渕万里、長妻昭、海江田万里、初鹿明博、野田佳彦、安住淳、
岡田克也、辻元清美、赤松広隆、近藤昭一、枝野幸男、阿部知子、篠原孝
これでは、民進党両院議員総会後に前原誠司代表が示した全員合流とはまったく異なることになる。
最大の問題は、民進党、自由党がこれまで戦争法制廃止を求める野党共闘に参画してきたことと戦争法制肯定日本を名実ともに戦争をする国に改変する憲法改定への同意を新党による公認付与の条件とすることとの間の根本的な矛盾にある。
民進党の多数議員は戦争法制廃止を公約とし、日本を名実ともに戦争をする国に改変する憲法改定を拒絶してきたのではないのか。
議員であり続けるためには選挙で当選することが必要不可欠であるから、本音の部分を隠蔽して、まずは小池国政新党に潜り込んで、当選したあかつきに小池国政新党の内部から変革に進むという「トロイの木馬戦術」があってもよいと考えるが、新党創設の入り口の部分で、こうした露骨な「踏み絵」方式が用いられるのであれば、それに対応した戦術構築が必要になる。
オールジャパン平和と共生では、総選挙立候補予定者に戦争法制原発消費税についての公開質問状を送付する予定である。
野党共闘が崩壊する場合、ひとつの選挙区に自公候補小池国政新党候補反自公・小池国政新党候補の三名が立候補するケースが浮上する。
このとき、反自公・小池国政新党候補が戦争法制廃止・原発稼動即時ゼロ・消費税増税凍結ないし減税の公約を提示するなら、この候補者が最適候補ということになる。
小池国政新党が、戦争法制肯定・日本を名実ともに戦争をする国に改変する憲法改悪を候補者の要件に据えて、立候補者がその公約を明示するなら、この候補者はオールジャパン平和と共生の支援候補者にはなり得ない。
なぜなら、選挙後に、自公と小池国政新党が憲法改悪に進む可能性が高まるからである。
民進党は代表戦の過程で、党内に二つの政党が同居していることを確認したはずだ。
戦争法制を容認し、原発稼動を容認し、消費税増税を推進する勢力と戦争法制を拒絶し、原発稼動を拒絶し、消費税増税を凍結する勢力が並存している状況が明らかになった。
この段階で円満な分党に進むべきであった。
ところが、その手続きを踏まず、前原新代表が、全員合流を確認しないまま、合流話が噴出して、現在の状況を招いている。
小池国政新党がその本性を露わにする「踏み絵方式」を前面に押し立て始めたため、事態が急変している。
この事態急変に対応して、本当の意味の「第三極政党」を創設する重要性が一気に高まっている。
自公と第二自公が創設されても、基本政策は本質において変わらない。
日本の主権者の大多数が、その基本政策に賛同するなら、この二つの勢力が二大政党体制を構築しても、何の問題もない。それが民意を正確に表す政治体制になるからだ。
しかし、日本の主権者の多数が、その基本政策には賛同しないということになると話はまったく変わってくる。
戦争法制に反対し、日本を名実ともに戦争をする国に改変する憲法改悪を許さない。原発稼動を許さない 消費税増税を許さず、消費税廃止を目指す ことを明確に政策公約に掲げる新しい政党が誕生すれば、大きな力を結集する可能性が生まれる。
本来は現在の共産党も合流して、リベラル勢力の結集を図るのが望ましいが、それが無理なら、共産党とこのリベラル新党が万全の選挙共闘体制を構築すればよい。
自公と小池国政新党と、このリベラル勢力がそれぞれ一人ずつ、一つの選挙区に候補者を立てるなら、多くの選挙区で、自公と第二自公が票を食い合い、リベラル勢力候補が勝利する可能性が生まれてくるはずである。
これが進行すると、自公と第二自公が合流するか、統一候補を選定するという動きに変わる。そうなると、日本の二大政党体制は対米従属二党による二大政党体制ではなく保革二党による二大政党体制に移行することになる。これが望ましい日本の二大政党体制である。
小池国政新党がその本性をむき出しにし始めたことにより、今次衆院総選挙に向けての基本戦術を抜本的に修正する必要が生まれている。民進党の衆院選立候補予定者は行動を抜本的に見直す必要がある。