2017年10月1日日曜日

ロシアとの軍事衝突を開始したワシントン

 トランプ大統領の出現で、オバマ時代まで続いた『アメリカの戦争狂時代』に終止符が打たれると一瞬でも考えたのは間違いでした。

 元財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者Paul Craig Roberts氏が、ワシントンは「ロシアとの軍事衝突を開始した」とする記事を載せました。
 それはトランプ氏の意向によるというよりも、オバマ氏と同様に、軍安保複合体の意向にはトランプ氏も抗しきれなくなっているというのが真相なのでしょう。

 いずれにしてもそんなトランプ氏に対して、安倍首相が得意然として「思いを100%共有している」とか「協力を惜しまない」と言うのは、好んで日本を窮地に落とし入れようとするものです。
 まことに“活動的な馬鹿より恐ろしいものはない(ゲーテ)”を実感します。

 マスコミに載らない海外記事を紹介します。
 また櫻井ジャーナルも全く同様のことを述べているので併せて紹介します。
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ロシアとの軍事衝突を開始したワシントン
マスコミに載らない海外記事 2017年9月29日
Paul Craig Roberts 2017年9月25日
ロシアは、ワシントンが、対ロシア軍攻撃でISISと協力している証拠を提示している。

ワシントンが指示したある攻撃で、ISISが、29人のロシア憲兵を捕獲しようとした。ところが、ロシア特殊部隊が参入し、その結果、ISISは大打撃を喰らった。

ワシントンが指示した別の攻撃で、ロシアのヴァレリー・アサポフ中将と、二人のロシア人大佐が、協定に違反する攻撃で亡くなった。

遅かれ早かれ、ロシア政府は、ワシントンが、外交を行い、平和を追求し、合意に達することが可能な理性ある政府ではないことに気づくだろう。遅かれ早かれ、ロシア政府は、ワシントンは理性があるどころか、莫大な利益にとりつかれている軍安保複合体に支配されている途方もなく狂った精神病質者集団だと気づくだろう。

言い換えれば、アメリカ政府を支配している強力な既得権益集団にとっては、戦争は利益の中心なのだ。ロシア外交がいくら頑張っても、この事実はいかんともしがたい。

ロシア政府が、一体何を相手にしているのか分かっていないのは不幸なことだ。もしロシア政府が、自分たちの合理性を、ワシントンに投影していなければ、シリアでの戦争は何年も前に終わっていたはずだ。そうではなく、合意がまとまるのを期待して、ロシアは停止・前進/停止策を繰り返し、ロシア介入の衝撃から回復し、紛争を永久に続けるためのシリア分割計画を整える時間を、ワシントンに与えてしまったのだ。合意を期待して無為に過ごした結果、The Sakerが警告している危険が現実となっている。

黒人プロフットボール選手が国歌演奏の際に起立を拒否した抗議は、間の悪いときに起きた。“反米主義”に喰ってかかるトランプ大統領を、熱狂的愛国心を煽り立てるのに利用している軍安保複合体の思うつぼだ。国民が毎回このインチキにひっかかるのは驚くべきことだ。軍安保複合体と連中の売女マスコミが“わが国を攻撃している”連中に対する国民大衆の怒りを作り出している。この怒りは、黒人プロフットボール選手から、ロシアへと向けられることとなろう。

国民を完全に支配した軍安保複合体は、我々全員が死んでしまうまで、無謀なロシア挑発を強化するだろう。

 Paul Craig  Roberts は元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Order.が購入可能。
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中 略
記事原文のurl:


10月14日に「なぜアメリカはロシアとの戦争をはじめたのか」というテーマで話をします
櫻井ジャーナル 2017年9月30日
東京琉球館で10月14日18時(午後6時)から東京琉球館で「なぜアメリカはロシアとの戦争をはじめたのか」というテーマで話をします。予約制とのことですので、興味のある方はあらかじめ下記まで連絡してください。
東京琉球館 住所:東京都豊島区駒込2-17-8 電話:03-5974-1333

アメリカではネオコンや有力メディアを中心にしてロシアに対する偽情報攻撃を展開、経済戦争を仕掛け、外交官を追放、サンフランシスコにあるロシア領事館とワシントンDCやニューヨーク市にある関連施設を閉鎖させ、そのスタッフを追い出しています。

マイク・モレル元CIA副長官は昨年8月にテレビ番組でロシア人やイラン人を殺すと明言し、その後11月から今年2月までの間にロシアの幹部外交官6名が射殺されたり心臓発作などで急死した事実は本ブログでも指摘しました。

9月19日にはアル・ヌスラ(アル・カイダ系武装勢力)が停戦合意に違反し、戦闘縮小地帯をパトロールしていた29名のロシア軍憲兵隊を襲撃、それに対してロシア軍とシリア軍は航空機からの攻撃と特殊部隊によって反撃、襲撃側の戦闘員850名を死亡させ、多くの戦闘車両を破壊したとロシア国防省から発表されました。ロシア側は攻撃の背後にアメリカの情報機関が存在していると明言しています。
アル・カイダとはCIAの訓練を受けた戦闘員の登録リストであり、アル・ヌスラもダーイッシュもアメリカの好戦派が手先として使ってきました。これは本ブログで繰り返し書いてきたことです。CIAとセットになっている特殊部隊も関与しているということでしょう。

22日にはイスラエルの航空機が自国領内からミサイルでダマスカスの空港を攻撃、24日にロシア国防省はダーイッシュの陣地にアメリカ軍の特殊部隊が使う装甲車や装備が写っている衛星写真を公表、その地域をクルド系のSDF(シリア民主軍)が安全に通過していることも明らかにしました。アメリカ軍、クルド、ダーイッシュが同盟関係に入っているとする情報と合致します。

その24日、ダーイッシュの砲撃でロシア軍事顧問団のバレリー・アサポフ中将とふたりの大佐が殺されました。正確な情報がアメリカ側からダーイッシュへ流れていたと見られています。

ロシア政府はこれまでアメリカ軍とロシア軍との衝突を避けようとしてきました。そのためロシア軍は計画している軍事作戦の内容を通告してきたのですが、その情報はアル・ヌスラやダーイッシュへ筒抜けだということでしょう。ハリウッドで成功したアフリカ系俳優、モーガン・フリーマンはアメリカがロシアと戦争状態にあると宣伝していますが、それは事実です。ただ、攻撃を仕掛けているのはロシアでなくアメリカの好戦派ですが。