2017年10月19日木曜日

安倍自公政権の消費税増税が日本を滅ぼす

 安倍首相の言うところに拠れば、今回の解散は高等教育の無償化を憲法に謳い、消費税を10%に上げた時の増税分を保育や教育費の無償化に振り向けることの是非を国民に問うため、というものでした。
 これについて前文科省事務次官の前川喜平氏は
「教育の無償化のための憲法改正は不必要。対空ミサイル イージス・アショア1基分で学生10万人に給付型奨学金を支給できる。教育無償化の財源を逆進性の高い消費税の増税で賄うべきではない。法人税が引き下げられ大企業の内部留保が何百兆円もある現実について税制全体をどうするか、所得税や相続税についても国民全体で議論すべきである」
と実に明快に述べています。
 まことに 簡にして明、まさに前川氏と安倍氏の格の違いを示すものです。

 経済学者の植草一秀氏は「安倍自公政権の消費税増税が日本を滅ぼす」の記事で、要旨、
今回の総選挙で最重要の経済政策問題は消費税増税であり、このまま自公勢力が過半数を維持すると、201910月に消費税が10%に引き上げられるが、この消費税増税が日本経済を破壊してしまう」。
「消費税が導入されてからこの27年間で変化したのは、法人税が9兆円減り、所得税が4兆円減り、消費税が14兆円増えたことだけで、この消費税が個人消費を厳しく抑制した」
201910月に消費税率が10%に引き上げられれば、日本経済は確実に奈落の底に落ちる」
と述べています。

 逆進性の高い消費税を社会保障費の財源にしている現状は、経済的弱者に給付?される社会保障費に、自分たちが収めた消費税や社会保険料が充てられているということに過ぎません。税の主要な機能である「所得の再分配」が行われていないということです。

 この「消費税ありき」で、その逆進性=不公平税制=を批判して所得税率や法人税率を改定することを、メディアも評論家も学者も誰ひとり言及しないのは本当に不思議なことです。それはつづめて言えば「自分さえよければそれでよい」ということに他なりません。
 まやかしのアベノミクスは論外として、「消費税を主財源にする」ことを前提にしている限り日本経済の回復は望めません。
 それが植草一秀氏が繰り返し主張していることです。
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安倍自公政権の消費税増税が日本を滅ぼす
植草一秀の「知られざる真実」 2017年10月17日
この選挙で自公の与党勢力が過半数を維持すると消費税増税が実行される。
野党が結束しなければならないときに、野党が分断された。そもそも、民進党が消費税増税を主張していたことが大きな間違いである。
これまでの流れを踏まえれば、民進党のなかの「隠れ自公勢力」が民進党を離れて自公勢力の側に合流すれば良いだけであった。つまり、民進党の「水と油」を分離することが必要であった。その上で、共産党を含む強固な野党共闘を構築することが必要であった。

野党共闘の基軸は、戦争法制の廃止と立憲主義の回復であった。
前原氏は民進党内の民主的な論議、民主的な手続きを踏まずに小池国政新党への許されざる合流に突き進んだ。「許されざる合流」という意味は「安倍政治打倒」を旗印に、民進党を丸ごと「呉越同舟」で合流することを進めずに、小池百合子氏の提示する戦争法制肯定、憲法改定を「踏み絵」に使い、これまでの野党共闘路線を独断専行で廃棄しようとしたからである
この結果として、これまでの野党共闘勢力が分離して、選挙が三極の構造になった。
野党共闘勢力にもう少しの時間があれば、より強固な野党共闘体制を構築できたであろうが、時間的な制約から、十分な野党共闘体制を構築できないまま総選挙に突入することになった。それでも、民進党から分離・独立した立憲民主党が短期間に支持を拡大していることは唯一の望ましい変化である。

民進党が主権者の支持を回復するには、民進党の分離・分割が必要不可欠であった。それがようやく進行したわけだが、まだ油断はできない。
今回選挙で無所属で立候補した候補者の一部が、選挙後にこの党に接近して、この党の実権を横取りする可能性があるからだ。だから、今後の変化には十分な警戒が必要である。
そして、民進党が分離・分割されて生まれた、もうひとつの副産物は、希望も立憲民主党も2019年10月の消費税増税に反対の立場を表明したことだ。これは正しいことだが、遅きに失した面もある。

今回の総選挙で最重要の経済政策問題は消費税増税である。このまま自公勢力が過半数を維持すると、2019年10月に消費税が10%に引き上げられる。
この消費税増税が日本経済を破壊してしまうことを警戒しなければならなくなる。この問題はアベノミクスの評価に直結する問題である。
安倍政権は2014年4月に消費税率を5%から8%に引き上げた。そして、この消費税増税で日本経済は深刻な景気後退に転落しているのである。
安倍政権がいま、「いざなぎ景気を超えた」と叫んでいるのは、実はこの歴史事実を隠蔽するためのものなのである。
完全なる虚偽情報、フェイク情報である。安倍政権は大本営情報を流布しているのである。

鉱工業生産統計は日本経済が2014年1月をピークに2016年5月まで、2年半も景気後退を続けたことをはっきりと示している。「いざなぎ超え」というのはまったくの虚偽情報で、今回の景気は「いかさま景気」でしかない。
消費税が導入されたのは1989年度である。この年度の国税収入は549兆円。そして、27年後の2016年度の国税収入は555兆円である。
日本の国税収入は27年前とまったく変わっていない。変わったのは税収の内訳である。
この27年間で変化したのは、法人税が9兆円減り、所得税が4兆円減り、消費税が14兆円増えたことだけなのだ。この消費税が個人消費を厳しく抑制する

2014年以来の日本経済は「消費不況」なのだ。2019年10月に消費税率が10%に引き上げられれば、日本経済は確実に奈落の底に落ちる。
これを決めるのが今回の総選挙なのだ。これを防ぐ方法はひとつしかない。
この総選挙に、すべての主権者が参加して、自公候補を落選させるように、清き一票を投じることだ。投票率が上がり、消費税増税を阻止するための投票が激増すれば選挙結果が激変する。このことに全力を挙げなければならない。