2017年10月9日月曜日

09- 安倍首相と小池代表はやはり同類項 党首討論会

日本のこころ」は言うまでもなく、「日本維新の会」が自民党の補完勢力であることは既に明らかですが、7ニコニコ生放送で行われた党首討論で、安倍首相の意見に追随し「共闘」する「希望の党」の小池代表の姿が浮き彫りになりました。
 LITERAがニコ生で行われた党首討論の様子を報じ、安倍首相のデタラメ発言に追随する小池代表の発言を紹介しています。

 それとは別に浜矩子・同志社大学教授は小池氏のことをいきなり「グリーンモンスター」と呼び、「ネオコンの行き着く先は国粋主義で、その意味でグリーンモンスターとアホノミクスの大将は非常に似ていますが、前者の方が粘り腰がありそうなので、パワーアップバージョンの国家主義者に一段の警戒が必要だ」としています。

 LITERAと日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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安倍首相と小池百合子はやっぱりお仲間!  ニコ生で、
安倍「小池さんとまったく同じ意見」 小池「安倍政権との違いは受動喫煙」
LITERA 2017年10月8日
 10日の衆院選公示を前にして初となる党首討論が昨晩、ニコニコ生放送でおこなわれた。さっそくテレビのニュース番組では、討論終了後の写真撮影で記者から握手をリクエストされて手を差し出した小池百合子・希望の党代表に対し、安倍晋三・自民党総裁が一時拒否したことが伝えられている。
 安倍政権に対して「政権選択選挙」「安倍政権退陣」を強調する小池代表  報道は“安倍vs.小池”という対立構図をつくり出すことに躍起になっているが、しかし、実際の討論はそうした構図とはまったく違う光景が繰り広げられた。安倍首相の意見に追随し「共闘」する小池代表の姿が浮き彫りになったのだ。

 たとえば、メインテーマのひとつとなった「憲法改正」について。国民からの直接の批判を恐れて街宣日程さえ非公表という前代未聞の「トンズラ総理」となっている安倍首相は、その街宣でも一切、憲法改正には言及していない。だが、ネトウヨのサポートが得られるネット討論とあって、安倍首相は9条改憲について、意気揚々とこのように語った。
「朝日新聞の調査で、憲法学者のアンケート、自衛隊は合憲と言い切っている学者は2割にしかすぎない。7割以上は違憲の疑いがあると言っている。ですから、教科書にもその記述があり、自衛隊員の子どもたちはその教科書で学んでいるという現実があります」
「ほとんどの教科書にそういう論争が載っているのは事実です。一生懸命がんばっている自衛隊諸君の子どもたちもそこで学んでいる。『お父さん憲法違反なの?』と言われた自衛官、私は彼から直接話を聞きました。たいへん悲しい思いになった、こんなに一生懸命がんばっているのに。その状況を変えていく責任がある」

 憲法学者の大半が違憲と言い、教科書にもその記載がある状況を打開するためには、9条に新たに3項を設けて「自衛隊の明記」をおこなうべきだ。──今年になって主張しはじめた「3項加憲」論をここでも振りかざした安倍首相だが、この説明ははっきり言って嘘だらけだ。

安倍も小池も改憲根拠に嘘データを並べ、突っ込まれるとそろって共産党叩き
 まず、当の朝日新聞によれば、直近でおこなった憲法学者への調査(2015年6月)では、「憲法違反にあたる」と答えたのは41%で「7割以上」とはならない。ちなみに1991年におこなった同様の調査で「違憲」と答えたのは78%だった。安倍首相の「7割以上」というのは、いまから26年も前のデータなのだ。
 さらに、教科書の話も同じだ。自衛隊と憲法の関係について紹介している中学校公民の教科書では、どの教科書も「政府は、自衛のための必要最小限の実力を持つことを憲法は禁止していないと解釈している」と記載。違憲という議論があることについてもふれているが、「違憲」と明確に書いている教科書は一社もない。現に、文部科学省も「違憲であると断定的に書いている教科書はない」と回答している(しんぶん赤旗2017年5月13日付)。

 だいたい、もし万が一「お前の父ちゃんの職場は違憲」といういじめが学校で起こっているとしたら、親の職業で差別をするその状況こそを変えるべきで、教科書の記載、ましてや憲法を変えるというのは、あまりに飛躍的すぎる。むしろ、安倍首相が主張する幻想の「伝統的家族」復活のほうこそ、一人親家庭など規範からはずれる家族や子どもを差別しいじめを誘発するので、すぐにでもやめたほうがいい。
 こうやって嘘や誇張した話を並び立てるのは安倍首相の常套手段であり、それこそ批判をしければならない。しかし、その安倍首相と「対立」しているとされる小池代表は、どう出たか。

 小池代表はドイツを例に「憲法改正は世界では当たり前のこと」と述べ、9条改正も「避けられない部分」とし、「自衛隊は国民的な意識の共有があってこそ、さらに士気が高まるもの」と安倍首相の主張を後押ししたのである。
 また、安倍首相が言い出した「3項加憲」について、共産党の志位和夫委員長は「2項の制約が及ばなくなり、海外での無制限の武力行使が可能になるのでは」と投げかけたが、安倍首相は「共産党は自衛隊を違憲と言っている」「無責任」と批判。安倍首相は共産党が猛バッシングをはじめると、日本のこころの中野正志代表や、松井一郎・日本維新の会代表がこれにつづいた
 9条改正にどんな問題があるかを議論すべきなのに、なぜか共産党の姿勢だけに焦点を当てる。その異常な状況で「共産党叩き」の急先鋒となったのは、やはり小池代表だ。小池代表は「93年、北朝鮮情勢が厳しいときに自社さ政権で社会党が一夜にして立場を変えた。志位さんも同じことになるのでは」と言い、「無責任」と責め立てたのである。

安倍政権との違いを問われた小池百合子の回答は「受動喫煙」
 無論、この小池代表によるアシストに気分をよくしたのは安倍首相だ。安倍首相は共産党を「無責任」と言い放ったあと、すかさず手を挙げて「小池さんとまったく同じ意見」とつづけた。
 さらに、立憲民主党の枝野幸男代表が、小池代表がもち出したドイツの憲法改正について“内容は手続き的なものばかり”であることを指摘し、一方、自民党の憲法改正草案では「臨時国会は要求から20日以内に召集」としていながら今回、それに応じなかった二枚舌的態度を問いただしたが、安倍首相は「手続き論よりも国民の安全を担う自衛隊の職務、命がけで日本人の命を守るんですよ、志位さん」などとまた矛先を共産党に戻したのだ。

 ドイツの憲法改正を引き合いに出した小池代表こそ、この「手続き論よりも」という安倍首相の発言に疑義を呈するべきだが、もちろん小池代表はそんなことはしない。他方、「憲法改正」や「原発再稼働の容認」といった小池代表の姿勢について、志位委員長から“自民党と同じでは”と疑問が出ると、小池代表は「私は安倍政権で防衛大臣に任命された」とし、安全保障政策で安倍首相と「違いはない」と発言。そして、こう言ってのけたのだ。
「何が違うかと言うと、しがらみがないということであります。新しい党であります。受動喫煙について考えていただきたいと思います」
 安倍政権との違いを問われて出てきた回答が「受動喫煙」。ようするに、安倍政権と小池新党の違いとは「受動喫煙防止」政策くらいしかないということなのだ。
「政権選択選挙」「安倍政権退陣」と謳いながら、そのじつ、政策は同じ。その上、一緒になって他党叩きに精を出す──。すでに希望の党は「第二自民党」であり、国会でも同じ態度に出るのはたしかだ。いや、ワイドショーなどでは「小池氏は安倍退陣に追い込んで次の首相と手を組むのでは」などと解説されているが、こうした姿勢を見せつけられると、小池代表と安倍首相と手を携えて改憲に乗り出すとしか思えない。
 きょうも13時より党首討論会がおこなわれるが、またも小池代表は安倍首相のアシスト役に回るのか。注視したい。 (編集部)


安倍首相の土俵に乗ってはいけない 総選挙「本当の争点」
浜矩子 日刊ゲンダイ 2017年10月8日
 今度の総選挙は当初、安倍首相のご都合主義解散への賛否と、それを自ら「国難突破解散」と名付けたことが最大の焦点でした。もちろん、安倍首相という「国難」を突破するという意味ではその通りなのですが、そこへ「希望の党」なる不気味な存在が出てきて、どうも有権者がまともな選択をできないような異様な与野党対決の構図になってしまった、というのが現状ではないでしょうか。アホノミクスの皿も小池さん(希望の党代表)の皿も、いずれも“毒皿”という感じですからね。

 さすがに枝野さんがリベラルの旗を掲げた新党を結成したので、多少は逃げ道というか、正常な受け皿ができたと思っています。

 小池新党の不気味さというのは見ての通りですが、「旧民主党系を排除する」「安保法制と改憲に賛成」「改革保守」などと言って、要は「保守」であることを前面に出しています。「リアルな外交安全保障」という表現も使っていました。極めてネオコン的な色彩が濃い。ネオコンの行き着く先は国粋主義です。その意味でグリーンモンスターとアホノミクスの大将は非常に似ていますが、前者の方が「粘り腰」がありそう。パワーアップバージョンの国家主義者に、どうも一段と警戒が必要そうです。

 実際、安倍さんと小池さんの発言には共通点が多い。両者が連携してしまう可能性もあり、そこに維新が加わったら、国家主義の大同団結ができあがってしまう。大政翼賛会ですね。だから“本当の”野党が本当に頑張らなければいけないと思います。

■「国難」を突破できるのか
 こうした状況を踏まえた上で言いたいのは、争点をどう展開していくのかということです。安倍首相の言う消費税の使い道の変更や少子高齢化などは、すべてが後付け。北朝鮮の危機対応にしても、だったら選挙をやっている場合じゃないということにもなる。

 ですから、“本当の” 野党は安倍さんが設定する議論の土俵に乗らないで、今、この国が直面している「本当の問題」を争点として打ち出していくべきだと思う。それができれば面白い戦いになる。

 本当の野党が着眼すべき「本当の問題」とは、何か。それは、まさしく国難突破です。国粋主義化という名の国難から国民を守り切れるか、ということです。「国民の上に国家を置く」ことを目指しているのがチームアホノミクスグリーンモンスター軍団からも同じ香りがプンプンしてくる。チームアホノミクスは財政節度の放棄を正当化する方向に向かっています。その行き着く先は、日銀による財政ファイナンスの制度化です。そうなれば「経済ファシズム体制」の完成です。そんなことを許してはいけないという観点から、切り込んでいく必要がある。
「人づくり革命」も国家のために国民を使うという考え方ですから、こうしたテーマを「本当の問題」としてうまく議論のテーブルに乗せられるといい。グリーンモンスター軍団からも、その辺についてのスタンスを引っ張り出せるといいですね。緑の衣の陰にどんな鎧が隠れているのか、打倒アホノミクスのついでに暴くことができれば楽しい。

 浜矩子 同志社大学教授
1952年、東京生まれ。一橋大経済学部卒業後、三菱総研に入社し英国駐在員事務所長、主席研究員を経て、2002年から現職。「2015年日本経済景気大失速の年になる!」(東洋経済新報社、共著)、「国民なき経済成長」(角川新書)など著書多数。