2017年10月28日土曜日

28- 被爆者がノーベル平和賞の演説へ/日本の核廃絶決議共同提案国激減

 ノーベル平和賞に決まった非政府組織ICAN核兵器廃絶国際キャンペーン26日、ノルウェー・オスロで1210日に開かれる授賞式にカナダ在住の被爆者サーロー節子さんと、日本国内在住の被爆者2人の計3人が出席すると発表しました。サーローさんはICANのフィン事務局長と共に演説し、記念メダルと賞状を受け取る予定です

 ICANの受賞については、美智子皇后はお誕生日のコメントで、
本当に長いながい年月にわたる広島、長崎の被爆者たちの努力により、核兵器の非人道性、ひと度使用された場合の恐るべき結果等にようやく世界の目が向けられたことには大きな意義があったと思います。そして、それと共に、日本の被爆者の心が、決して戦いの連鎖を作る報復にではなく、常に将来の平和の希求へと向けられてきたことに、世界の目が注がれることを願っています」と述べられました

 しかし官邸はこの受賞に対しては沈黙したままで、2日後になってようやく外務報道官が、日本政府のアプローチとは異なるが、核廃絶というゴールは共有している。国際社会で核軍縮・不拡散に向けた認識が広がることを喜ばしく思う」という何か不満とも思えるコメントをしただけで、日系イギリス人作家のカズオ・イシグロ氏ノーベル文学賞受賞した時に安倍安倍首相が即座にお祝いを述べたのとは対照的でした。

 それには今年7月に採択された核兵器禁止条約制定に向けてICANが重要な役割を果たしたことが受賞理由であるのに対して、日本政府はアメリカの意向を忖度して条約採択の会議に参加しなかったという事情があったからでした

 日本はいつも国連の核兵器禁止決議には賛成しない一方で、その申し訳け的に毎年別の核兵器廃絶決議案を提出してきました。それ自体は別に反対すべきことではないので採択されてきましたが、今年の日本政府提出の核廃絶決議案は、核兵器使用が容認されると読める修正が施されるなど、内容が大幅に後退したため、核兵器禁止条約を推進する国が共同提案国から外れ、共同提案国は昨年の109カ国から70カ国程度に減る見通しとなりました。世界の大勢に背く日本の孤立が浮き彫りになりました。

 ICANに関する東京新聞の記事と日本の核廃絶決議案に関する共同通信の記事を紹介します。
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被爆者が平和賞演説へ カナダ在住サーロー節子さん
東京新聞 2017年10月27日
【ジュネーブ=共同】ノーベル平和賞に決まった非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))は二十六日、ノルウェー・オスロで十二月十日に開かれる授賞式にカナダ在住の被爆者サーロー節子さん(85)と、日本国内在住の被爆者二人の計三人が出席すると発表した。サーローさんはICANのフィン事務局長と共に演説し記念メダルと賞状を受け取る予定。被爆者がノーベル平和賞の授賞式で演説するのは初めてとみられる。
 サーローさんは十三歳の時に広島で被爆。自身の体験を英語で語る活動を続けている。ICANは「二〇〇七年に活動を始めたICANの中心人物」で、核兵器禁止条約制定交渉でも重要な役割を果たしたと強調した。
 他の被爆者二人については日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が人選を進めているとした。
 今回の発表に当たり、フィン氏は「広島と長崎の被爆者は核戦争の恐怖の生き証人だ。世界の指導者は核兵器なき世界という未来への彼らの呼び掛けを傾聴すべきだ」と指摘した。
 サーローさんも「平和賞はわれわれの目標を前進させるための力強い手段となり得る。特にこれまで核兵器禁止条約への署名を拒否している国でそうだ」とコメント。条約に反対する日本政府に対し、署名するよう改めて求めた。

 ノーベル平和賞を巡っては、広島と長崎の二人が被爆者として初めて一五年の授賞式に招待されている。
 一方、ICANで国際運営委員を務める川崎哲(あきら)氏(48)は二十六日、広島市を訪問。松井一実広島市長を表敬訪問し「核兵器を禁止し廃絶するための努力をしてきた被爆者に向けられたものだ」と強調。松井市長は「朗報だ。ありがたい」と歓迎した。


日本の核廃絶決議、支持大幅減か 国連、禁止条約に触れず
共同通信 2017年10月27日
【ニューヨーク共同】国連総会の第1委員会(軍縮)に日本が毎年提案している核兵器廃絶決議案の共同提案国が、昨年の109カ国から70カ国程度に減る見通しとなった。日本外交筋が26日、明らかにした。27日に第1委員会で採決される予定だが、賛成は昨年の167カ国から大幅に減る恐れがある。

 今年の決議案は7月に採択された核兵器禁止条約に言及せず、核兵器使用の非人道性を巡る表現も大幅に後退したことが原因
 第1委員会は26日、各国が提出した決議案採決に向け手続きを開始。核禁止条約を推進したオーストリアやブラジル、南アフリカなどから日本の決議案に厳しい意見が続出した。