希望の党は、衆院立候補者に党が作成した政策協定書に署名捺印をさせています。
それは「希望の党 小池百合子代表殿」宛に出されるもので、「私は、希望の党の公認を受けて衆院選に立候補するに当たり、下記事項を順守すること、… を誓います」として遵守事項の10項目が書かれています。
因みにその9、10は下記です。
『 9、希望の党の公認候補となるに当たり、党に資金提供をすること。
10、選挙期間が終了するまで、希望の党が選挙協力の協定を交わしている政党への批判は一切行わないこと。』
金額を明示しないで資金提供を誓約させ、政党を明示せずに党が選挙協力する政党への批判は行わないことと命じているわけです。この威圧的な文書の何処が政策協定なのかと思わされます。
一旦は希望の党に公認された篠原孝氏がこの屈辱的な「誓約書」に怒って公認を辞退し、無所属で立候補することにしたのはご存じの通りです。
すでに動きだして3か月になる都議会「都民ファーストの会」での指導部のブラックボックス的専横ぶりも顕著なようです。
日刊ゲンダイの記事と、精神科医の片田珠美氏が AERAに寄稿した記事「~ 小池都知事は“傲慢症候群”?」を紹介します。
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まるでヤクザ組織 都民ファーストの会を支配する“鉄の掟”
日刊ゲンダイ 2017年10月8日
「上納金」に「言論規制」――。何だか「山口組」そっくりではないか。音喜多駿都議と上田令子都議の離党で内実がバレた「都民ファーストの会(都F)」。音喜多は5日の会見で「党運営に疑問を抱いている議員は他にもいる」と言い、“組抜け”を考えている議員が他にも大勢いることを示唆したが、さすがは「緑のタヌキ」と揶揄されている親分・小池百合子氏である。批判が拡大しないように先手を打ったようだ。
月21万円の「上納金」や「飲み会禁止令」、SNS、メディアでの発言制限……。離党した2人の暴露で分かったのは、都Fが山口組もビックリの「鉄の掟」で支配されていることだ。中央大学教授の佐々木信夫氏(行政学)はこう言う。
「反社会的組織と単純に比較することはできませんが、都F内の締めつけは異常です。過剰な発言の制限や会合への参加禁止など、他の会派ではまずあり得ません。都議はそれぞれの地域の都民の代表です。会派として、ある程度の統一性は必要ですが、箸の上げ下げまで規制するのは、議会が知事へのチェック機能を果たす『二元代表制』の趣旨に反します。小池知事は自らの能力に自信を持てず、組織が崩壊するのが怖いから過剰な規制をかけるのでしょう」
■2人離党で小池氏の心境は…?
親子の杯を交わしたら裏切りは許さない、ということなのか。改めて恐ろしい女性である。日刊ゲンダイは小池氏を「女ヒトラー」と報じているが、「女毛沢東」「女チャウシェスク」と言っていいかもしれない。とはいえ、側近だった音喜多らの離党に、さすがの小池氏もヘコんでいるかと思ったら、大間違い。「2人は離党したが、新たに(都Fに)入りたいというお願いが来ている」ときた。
「今月1日、都議会民進関係者と都F幹部が秘密裏に会談しています。音喜多都議らの離党を事前に察知し、離党のダメージを広げないために民進都議らに合流を打診した可能性が高いでしょう」(都政関係者)
いやはや、山口組の親分以上の統率力である。
「排除する」と言い放つ小池都知事は“傲慢症候群”?
片田珠美 AERA dot. 2017年10月3日
先月28日、衆議院が解散された。その3日前、安倍晋三首相が解散を表明する直前に、突如、「希望の党」結成と自らの代表就任を表明する記者会見を開き、話題をさらった小池百合子東京都知事。都民だけでなく日本中の有権者に衝撃を与え、今もなお、野党の議員を翻弄し、選挙の構図を激変させ続けている小池氏の言動について、著書『オレ様化する人たち――あなたの隣の傲慢症候群』(朝日新聞出版刊)の著者で精神科医の片田珠美さんが分析、寄稿した
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新党「希望の党」代表の小池百合子東京都知事は、民進党の立候補予定者の公認基準として憲法改正と安保法制への姿勢を挙げ、「リベラル派は排除する」と明言した。思想・信条の違いで公認しないのは、政治家として誤っていないだろう。しかし、そこに「排除」という言葉を使うことに小池氏の傲慢さがあるように筆者の目には映る。傲慢人間にありがちな次の3つの特徴が小池氏には認められるからだ。
●自分自身の過大評価
●強い特権意識
●想像力と共感の欠如
まず、小池氏は自分自身の経歴と人気を“過大評価”している。たしかに、女性初の防衛大臣や東京都知事などを歴任してきた華麗な経歴は素晴らしいが、「政界渡り鳥」の異名を持つほどさまざまな政党を渡り歩き、時の権力者の傍らに寄り添うことによって役職を得たように見えなくもない。それを可能にしたのは、ここぞという時の勝負勘と度胸であり、天性の勝負師と言える。
もっとも、政治家として何かをやり遂げた実績がそれほどあるわけではない。築地市場から豊洲新市場への移転延期にしても、一層混乱を招き、東京五輪の準備にも悪影響を及ぼしたように見え、都政で実績を残したとは言いがたい。
人気があるのも、大衆の注目と支持を集めるにはどうすればいいかを小池氏が第一に考えて行動するからだろう。また、小池氏は敵をつくって攻撃する天才であり、彼女が敵とみなす相手を容赦なく叩きのめすのを大衆が見てカタルシスを覚えることも人気の一因と考えられる。
“強い特権意識”も、小池氏には認められる。「自分は特別な人間だから、少々のことは許される」と思い込んでいるからこそ、他の政治家がやってきたことを平気でリセットしたり、思想信条の違う政治家を非情に排除したりするのだろう。
こうした特権意識を抱くのも当然と思えるほど、小池氏の経歴は立派で、人気もあるが、それが“想像力と共感の欠如”につながっていることは否定しがたい。こういうタイプは、自分自身の言動が相手にどんな影響を与え、どんな反応を引き起こすのか、想像できない。また、相手の気持ちを認識しようとせず、痛みに共感できない。
だからこそ、リセットも排除もためらいなくやってのけるのだろうが、それがしばしば怒りや反感を買う。たとえば、小池都政に翻弄されて心底憤っている市場関係者が少なくないようだが、こういう方たちの心情を小池氏はどう考えているのだろうか。
政治家であると同時に神経科医でもあった、イギリスのデービッド・オーエン元外相・厚生相は、「傲慢症候群」という概念を提唱している。オーエンが挙げている「傲慢症候群」14症状のうち、筆者が小池氏に該当すると思うのは、少なくとも次の10症状である。
(1)自己陶酔の傾向があり、「この世は基本的に権力をふるって栄華を極める劇場のようなものだ」と思うことがある。
(2)何かするときは、まずは自分がよく映るようにしたい。何よりも自己イメージを高めたい。
(3)イメージや外見が非常に気になる。
(4)話しているうちに気が高ぶり、自分がまるで偉大な指導者であるかのような態度をとる。
(5)自分の判断を過信しており、他人の助言や批判を見下す傾向がある。
(6)自分の能力を過信しており、「私には無限に近い能力があるのではないか」とさえ思う。
(7)「私の正しさはいずれ歴史か神が立証してくれる」という揺るぎない信念。
(8)せわしなく、むこうみずで衝動的。
(9)大きなビジョンに気をとられがち。「私がやろうとしていることは道義的に正しいので、実用性やコスト、あるいは望み通りの結果が得られない可能性について考慮する必要性はない」と思い込んでいるため。
(10)政策や計画を実行する際に、いわゆる「傲慢な無能」が出てしまう。
まず、(1)については連日繰り広げられる「小池劇場」を、(2)と(3)については、小池氏のイメージへの強いこだわりを見ればわかるだろう。さらに、(4)についても、連日の会見を見れば明らかである。
小池氏が簡単にリセットするのも、(5)他人の助言や批判を見下す傾向があるからだろう。リセットと言えば聞こえはいいが、要するにちゃぶ台返しである。また、国政政党の代表と都知事を兼任できると主張するのも、(6)自分の能力を過信しているからだと言える。
何よりも、(7)「私の正しさはいずれ歴史か神が立証してくれる」という揺るぎない信念が、小池氏にはあるように見える。この信念は、日本初の女性宰相になるためなら何でもするという姿勢に表れているのではないだろうか。
「走りながら考える」と評される小池氏は、その実行力とスピードが高く評価されているが、裏返せば、(8)せわしなく、むこうみずで衝動的ということにほかならない。(9)と(10)については、築地市場の移転をめぐって、むしろ混乱を招いたことを振り返れば、明らかである。
このように、小池氏には「傲慢症候群」の症状がいくつも認められる。小池氏は、衆院選で過半数の候補者を擁立し、政権交代を目指す考えを示したが、「傲慢症候群」の政治家は独裁的な手法に走りやすいので、「希望の党」が政権をとったら、排除がさらに強まるのではないかと危惧せずにはいられない。(寄稿/精神科医・片田珠美)