自民党が行った全国47都道府県の選挙区と全比例区の選挙情勢調査で、「100議席前後減る可能性が濃厚」という驚くべき結果となり、官邸は勿論、自民党内に衝撃が走ったということです(AERA dot.)。自民が大幅に票を減らすことは予想されていましたが、まさかこれほど減るとは誰も思っていなかったのではないでしょうか。
自民党が小池百合子氏の出馬を促して叩く作戦なのではないかという穿った見方もありますが、「バンドワゴン効果」=優勢を伝えることで「勝ち馬」に乗らせて勝利する作戦 を目指す方が自然だからそれも俄かには信じられません。
NHKの直近の世論調査では、内閣支持率が37%に再び急落しました。7月時点の過去最低値(35%)とほとんど変わりません。
また福島県内の直近の世論調査では内閣支持率は実に27・8%で、過去最低でした。
森友加計学園疑惑隠しで急落した内閣支持率が、安倍首相の殊勝げな態度と「北朝鮮危機」を大宣伝する中で何とか盛り返したのをいいことに、安倍内閣は国会での丁寧な説明という約束を反故にして、党利党略・個利個略の国会冒頭解散に踏み切りました。しかしそれを見透かした国民は許していません。
結果的に内閣支持率が史上最低に向かう中で衆院選が行われることになりました。自業自得とはいえ、安倍首相の当初の目論見とは全く裏腹の成り行きです。(^○^)
首相は街頭演説の中で盛んに「正々堂々と愚直に政策を訴える」と述べていますが、余りにも実態から遊離した空虚な言葉なので国民は違和感を持つだけです。
自民党が単独で100人を落とせば、さすがに安倍首相は退陣せざるを得ません。自民党幹部自身は「末期に近い状態」と語っているということです。
それとの関連は不明ですが、自由党の小沢代表は3日に記者会見し、「希望の党代表の小池氏は今回の衆議院選挙にみずから立って訴えるのが自然だ」と、立候補すべきだという考えを示しました(NHK)。
それとは別に希望の党が150議席を取れば安倍首相は退陣せざるを得ないという見方がある(AERA dot.)ので併せて紹介します。
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「自民党単独で100議席減」と情勢調査
安倍首相退陣が現実味、どうする小池都知事?
村上新太郎 AERA dot. 2017年10月3日
(週刊朝日 オンライン限定記事)
「やっぱり安倍首相の退陣は避けられないかも……」。
10月2日午後、官邸・自民党内に衝撃が走ったという。全国47都道府県の選挙区、比例区の情勢調査で「自民党単独100議席前後減の可能性濃厚」という信じられない数字が上がってきたためだ。
新聞各紙(3日付)では民進党左派の離反による「立憲民主党」結成で、「自民・公明」VS「希望・維新」VS「民進リベラル系新党・共産・社民」の3極が争う構図になり、安倍政権に対する批判票が分散されるので、「自民党有利」と解説している。
しかし、その実態は「森友、加計疑惑のイメージがこびりついた安倍さんでは駄目だ」(自民党ベテラン議員)という厳しい空気だという。
ある現職閣僚は「与党で過半数どころではない。自民単独で100を落とせば、安倍首相は即退陣表明だ」と明言。自民党幹部は「不謹慎な言い方だが、末期に近い状態」と自虐的に評した。
自民党の竹下亘総務会長は解散当日の9月28日、本誌に対し「小池百合子都知事が希望の党代表に就任したので、9月末から10月頭と公示前の10月6~8日の2回に分けて、過去最大規模の世論調査を行い、情勢を精査したい」と語った。
9月末の大規模調査は見送られたというが、自民党は世論調査会社3社と契約していることもあり、「常時、サンプル数の差異はあるが毎週調査を実施している」(自民選対関係者)という。
今回の「100減」はそうした情勢調査の上に、全国47都道府県連や各県警などの情報機関や分析を積み上げたもので、自民党幹部は「小池氏による『排除の論理』で、うちに潮目が変わったとの感触を得ていた。しかし、結果はまさかの数字。地方でここまで自民の印象が悪いとは想像できなかった。93年の政権交代時、大惨敗した7月の都議選がまた再現されてしまう。本当にまずい」と強い危機感をにじませた。
公示前の今週末には過去最大規模の調査が行われるという。
閣僚経験者は本誌に「自民党が圧勝した過去2回と比べて厳しいことは間違いない。野党の動きはなんとも言いようがない」と述べた。
官邸と自民党では安倍退陣を前提とした対処法が早くも協議され始めたという。
予測された数字通りであれば、公明党(現有35議席)とあわせ、与党単独過半数を割れとなる。そうなれば、政権交代が現実のものとなるが、小池都知事は今のところ(3日現在)、メディア各社のインタビューでは出馬を否定している。
「与党単独過半数微妙なギリギリの数字になった場合の連立をどうするか。小池氏が出馬しない場合、首班指名投票の際に反安倍勢力が石破茂元幹事長で固まり、石破氏に票が流れるのではないか。安倍首相が退陣すれば、周辺は全員干され、党内政治が大きく変わるだろう」(別の自民党幹部)と強い警戒感を抱いている。
政治アナリスト、伊藤惇夫氏はこう分析する。
「小池氏が政権交代を目指すと明言している以上、希望の党が過半数を取った場合、現実問題として希望の総理候補は小池氏以外見当たらない。小池氏の口癖は『イッシュ・アッラー(神の思し召し)』。つまり昨日、言ったこと(出馬しない)と今日は違うということもあり得る」
3日午後にも衆院選で擁立する第1次公認候補者を発表する予定の希望の党。小池氏の動向からいよいよ目が離せなくなった。
いみじくも、自民大惨敗の予測が駆け巡った2日午後、安倍首相は公明党の山口那津男代表と並び、盟友の太田昭宏前代表の地盤である東京・北区で自公共闘をアピールした。
「官邸も情報は共有している」(自民党幹部)というが、その胸中はいかばかりか…。
(本誌・村上新太郎)
自由 小沢代表 「小池知事は衆院選に立候補すべき」
NHK NEWS WEB 2017年10月3日
自由党の小沢代表は、国会内で記者会見し、希望の党の代表を務める東京都の小池知事について「国民の前にみずから立って訴えるのが自然だ」と述べ、今回の衆議院選挙に立候補すべきだという考えを示しました。
この中で自由党の小沢代表は、希望の党の代表を務める東京都の小池知事について「非常に政治感覚の優れた、たいへん国民の皆さんに対するパフォーマンスに優れた人物だ。親しく付き合ったわけではないので、それ以上の評価はない」と述べました。
そのうえで小沢氏は、「誰が総理大臣になるかわからないままでは選挙戦にならない。小池氏本人の真意を計りかねているが、希望の党の代表は小池氏であり、できればきちんと国民の前にみずから立って訴えるのが自然だ」と述べ、小池氏は、今回の衆議院選挙に立候補すべきだという考えを示しました。
小池新党が150議席取れば、安倍首相は退陣
石破茂、野田聖子氏に分断工作も
村上新太郎 AERA dot. 2017年10月3日
※週刊朝日 2017年10月13日号
解散という安倍晋三首相の“禁じ手”が完全に裏目に出ている自民党。
「50議席以上減かも」(自民党議員)というのが、現状の相場だ。
政治アナリストの伊藤惇夫氏はこう言う。
「希望の党が150議席以上取れば、自民党単独過半数割れとなり、安倍首相の3選は完全になくなる。そうなれば、政局になるので、安倍さんは退陣というシナリオもある」
首都圏選出の「魔の2回生」衆院議員は本誌にこうこぼした。
「正直、こんなタイミングの解散は全くの予想外。後援会や公明の名簿も半分も回せていない。厳しい」
そんな恨み節に押されるように安倍首相は解散当日(28日夕方)、意表をついて渋谷駅前で雨の中、街頭演説に立った。
「都議選の最終日に市民団体の挑発に逆切れした秋葉原演説の二の舞いを避けるために直前まで極秘扱いだった」(官邸関係者)
自民選対幹部は含み笑いでこう話した。
「公明党の山口那津男代表と並んで東京で街頭に立った意味合いはわかるでしょ? 頼みの綱は公明。小池(百合子)さんの名前を一切、出さなかったことにも、ある種のサインが込められている」
解散直前、安倍首相と会食した政策ブレーンはそのサインをこう解説する。
「安倍さんは1年前、小池さんの要望に応じて官邸で1時間以上も会談し、“改憲勢力”として密約のような契りを交わしている。状況は大きく変わったけど、安倍さんは『今でも何となく小池さんとはつながっているんだけどなあ~』とぼやいていました」
一方で、政治ジャーナリストの角谷浩一氏は9月17日に投開票された大阪府摂津市議選の結果に言及。小池系「市民ファーストの会」候補4人が出馬したが、いずれも惨敗した。
「3候補に至っては3桁(100票)にも届かない大惨敗。小池ブランドは東京限定でしか通用しないことを証明した」(角谷氏)
自民党の塩谷立選対委員長は摂津の失敗例を盛んに引き合いに出し、「しょせんそんなもんでしょ。小池さんも十分わかっているはず」と周辺に余裕を見せるものの、「与党で過半数」という予防線を張るのも忘れてはいない。
小泉進次郎氏や菅義偉官房長官は相次いで「小池さんは出てくるのではないか」と発言した。
「実は小池さんが出馬すると戦略的に発言するよう党から指令があった。都知事を投げ出したら、批判されるので、本音では彼女は出ないと思う。非自公で過半数取れるほど候補者がいないしね」(政府筋)
日本最大の保守系右派団体「日本会議」は小池氏につくのか。会長で国際政治学者でもある田久保忠衛氏は本誌に「選挙戦にかかわりはしない」と前置きした上で、こう話した。
「安倍首相のほうが国際情勢に対する対応や志に明らかに大義がある。小池氏から現在の北朝鮮有事、超大国・米国の凋落により中国が世界的影響力を広げようとしている現状への危機意識や対応について何のビジョンも聞かれない。小池氏は頭でなく勘で勝負に出ているだけ。寄せ集めの野合集団に一体何ができるのか? テレビ向きのレベルの低い発想では馬脚を現すのは目に見えている」
自民党関係者はこう票読みする。
「期待感以上に伸びないのでは。共産党と決裂して原則対抗馬を立てられるのも痛いはず。小池氏の誤算は希望の党の代表になることを都政で連携する公明党に事前に伝えず、怒らせたこと。今回は票を回してもらえない。現在のトレンドでは小池氏出馬想定で東京、大阪、愛知、北海道は自民4対希望6(非自含む)。千葉、神奈川、埼玉3県は自民3対希望7。その他の地域は6対4で自民優勢です。ざっくり自民50議席減で公明と合わせ国会運営の主導権が握れる絶対安定多数(261議席)ギリギリというところ。希望は120~140議席になるのではないか」
小池氏が都知事の座をなげうって出馬しても自公の過半数割れ、希望の党を中心とした野党で過半数に達しなければ「野党第1党の党首に過ぎず、小池氏の女性初の首相の野望は一気にしぼむ」(自民党幹部)。
政府関係者によれば、小池氏はその場合の保険として自民党内に“分断工作”をしかけているという。
「小池さんのターゲットは石破茂元幹事長とその派閥、野田聖子さん。携帯に電話をし、直に説得しているようです。石破さんも迷っている。安倍退陣になれば党を割らなくても首相の椅子は転がり込むので、石破さんは簡単には乗らないとは思うけど……」
(本誌・村上新太郎)
※週刊朝日 2017年10月13日号