2019年1月18日金曜日

厚労省不正調査 追加費用は795億円に

 厚労省による「毎月勤労統計」の不正調査の補償費用は、雇用保険などの追加支給額にその事務費などを合わせると795億円に上るということです。実に莫大な額です。費用のほとんどを特別会計から捻出する方針ですが、一般会計にも国の負担金などとして6億5000万円を追加で計上するため、18日予算案を決定し直すことにしています。
 政府は、厚労省の鈴木俊彦事務次官ら関係者を18日にも懲戒処分する方針を固めました。
 厚労省は、弁護士ら外部有識者による「特別監察委員会」を立ち上げ、本格的な調査を始めまし。組織的な隠蔽があったのかも追及されます。
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統計不正、次官ら処分へ 正当化記述、削除認める
東京新聞 2019年1月17日
 「毎月勤労統計」の不適切調査問題を受け、政府は、厚生労働省の鈴木俊彦事務次官(59)ら関係者を十八日にも懲戒処分する方針を固めた。政府関係者が十七日に明らかにした。問題の影響で延べ約二千万人に雇用保険や労災保険の過少給付が生じ、二〇一九年度予算案の閣議決定をやり直す異例の事態になっており、幹部らの責任は重いと判断した。
 
 根本匠厚労相は十七日、不適切な一部抽出調査を正当化する記述が一五年のマニュアルからは削除されていたことを記者団に認めた。厚労省は、弁護士らによる「特別監察委員会」の初会合を開き、本格的な調査を始めた。不適切調査は厚労省が〇三年に作成したマニュアルに基づき、〇四年から始まっており、問題を巡る動機や目的、幹部を含めた歴代職員の認識が焦点となる。組織的な隠蔽(いんぺい)があったかどうかも追及する
 
 問題を巡っては、一八年一月からは抽出調査を全数調査に近づける統計上の修正処理をするなど、担当職員らは不適切な手法であることを認識していた。しかし、厚労省は同年十二月に総務省の指摘があるまで対応を怠っていた。
 また、統計結果を算定基準とする雇用保険の失業給付や育児休業給付などの支給額が減額され、追加給付費を含む関連費用は総額七百九十五億円に上っている。国民生活に与えた影響は大きく、幹部らの処分は免れないと判断した。
 
 監察委は弁護士や公認会計士など計六人で構成。委員長には労働政策研究・研修機構の樋口美雄理事長が就いた。これまで省幹部も含めた監察チームで調べてきたが、調査の中立性や客観性を明確にするため外部有識者だけで構成する第三者委員会として設置した。
 根本氏は監察委の冒頭に出席し「政府統計の信頼を毀損(きそん)する極めて重大な事案で、事実関係をしっかりと解明し国民に説明することが必要だ」と語った。菅義偉官房長官は記者会見で「原因究明と再発防止にしっかり取り組んでもらいたい」と話した。勤労統計は、従業員五百人以上の事業所は全て調べるルールだが、厚労省は〇四年から東京都分に関し一部抽出する形で実施していた。