2019年1月17日木曜日

日本に益なき日ロ首脳会談は中止にしろ(日々雑感)

 14日に行われた河野・ラブロフによる外相会談は事後の共同会見が行われず、ラブロフ氏と河野氏がそれぞれ記者に発表する形となりました。案の定、両者の発言はことごとくすれ違っていました。公平に見て、ラブロフ氏には偽りを述べる必要性は何もないので、彼の言うのが正しいのでしょう。
 河野氏は苦しい(虚偽の)言い訳をするしかなかったのですが、安倍首相の発言に激怒しているという相手に、先遣隊として? 対面させられたことには同情もわきます。
 
 いまやロシア側は、「日本側が第2次世界大戦の結果を認めるのが北方領土問題完結への第一歩だこの点で進展がないとほかの問題で前進は非常に難しい」、「日本は『北方領土』と呼ぶべきでない」、「歯舞、色丹の主権はロシア側にある」ことを明言しています。いわば終戦時の状況に大きく後退したわけで、これまで20数回に及んだ安倍・プーチン会談は一体何だったのでしょうか。
 
 そもそも当初 安倍首相が北方領土問題に意欲を見せたのは、アメリカの策動で国際的に孤立しているロシアに対して、この機会にその問題を持ち掛ければ有利に展開すると踏んだからでした。しかし稚拙な安倍外交のためにいまや中・朝・韓との間でも孤立してる日本は、逆にロシアから足許を見透かされているというのが実情です。
 
 そんな状況を見据えて「日々雑感」氏が、「日本に益なき日ロ首脳会談は中止にしろ」と主張しています。
 安倍首相はそれでも22日のプーチンとの会談に臨むしかない立場に追い込まれているのでしょうか。無理に会談を行っても何の益もありません。
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日本に益なき日ロ首脳会談は中止にしろ
日々雑感 2019年1月16日
 日本、ロシア両政府は15日(日本時間同日)、北方領土問題を含む平和条約締結交渉をめぐり、外務次官級協議をモスクワで開き、北方四島の主権の所在など両国で対立する論点について協議した。河野太郎外相とラブロフ外相の14日の外相会談で北方領土をめぐる立場の隔たりが浮き彫りになったばかり。日本政府は原則的立場を維持しつつ慎重に交渉を進める方針だ。
 
 次官級協議には森健良外務審議官とモルグロフ外務次官が出席し、ほかに元島民への人道的措置や共同経済活動も協議した。モルグロフ氏から両国間の査証(ビザ)制度の撤廃について提起があったという。森氏は協議後、記者団に「外相会談で白熱した論点について議論し、相当程度理解は深まった」と述べた
(以上「産経新聞」より引用)
 
 外務次官級協議をモスクワで開き、北方四島の主権の所在など両国で対立する論点について協議し、結果として「外相会談で白熱した論点について議論し、相当程度理解は深まった」(「森健良外務審議官」談話)と記者団に語ったという。
 しかし記者団から森氏に「何がどのように「相当程度」「理解」が深まったのかの質問があったのかないのか、そして森氏から回答があったのかないのかの記事はない。こんな「記事」を報じるほどの価値があるのかと疑う。まさしくトランプ氏が指摘する「フェイク・ニュースだ」と叫びたくなる。
 
 外相会談でもロシア外相は「北方領土という日本の呼称は適切でない、変更するようにとの意見に対して、日本側から返答はなかった」との記者会見に対して、河野外相は「(「北方領土」と呼称する)日本の立場を明確に伝えた」と記者会見で述べている。
 明らかに矛盾する日ロ両外相の記者会見内容だが、だから日本側が「共同記者会見」を拒否したのかと得心した。つまり河野外相が「嘘」を吐いても、相手が同席していればすぐに「嘘」がバレるため、共同記者会見を拒否したのだ、と。
 同様に、森氏が「次官級協議では相当理解が深まった」というのも「嘘」だろう。なぜならロシア外相の強硬な「ロシア領土宣言」を次官級レベルが覆せるわけがないからだ。
 
 次官級協議も「共同記者会見」がなかったとしたら、何をかいわんやだ。日ロ首脳会談のお膳立てする前に、卓袱台は既にひっくり返っている。時間と費用の無駄だから、日ロ首脳会談はドタキャンして、日本の「北方領土返還」の強い意思をロシア政府とロシア国民に示すべきだ