2019年1月31日木曜日

水道事業、種子法 … 安倍政権が進めた政策から見えてきたもの(適菜収氏)

 安倍晋三を強烈に批判する適菜収氏の論文が出ました。
 余りにも強烈で読むと頭がクラクラするほどです(文中の太字強調個所はすべて原文に拠っています)。
 
 論文は冒頭で、安倍応援団のネトウヨは「売国勢力」を見抜けない情報弱者だと切って捨て、安倍がどう見ても「売国(奴)」であることを、彼が対外的構造改革論者であり、2013年シンガポールで「岩盤規制を打ち破る」と述べ、同じくウォール街での演説で「規制緩和により障壁を取り除くから日本の株を買うのは」と打ち上げ、2014ダボス会議で徹底的に日本の権益を破壊する」(⇒ 電力市場の完全自由化、医療の産業化、コメの減反の廃止、法人税率の引き下げ、雇用市場の改革、外国人労働者の受け入れ、会社法の改正)と宣言したことで、戦後わが国が積み上げてきたものわずか6年で完全に崩壊させられたとしました。
 
 それだけでなく、放送法4撤廃して外資が放送局の株式20%以上保有できるようにすることを目論み、水道事業を売り飛ば、種子法廃止を押し通したりと、まさに売国の所業に徹していると述べています。
 
 国会でも外交の場でも彼は平気な顔で嘘をつき、自衛隊の日報隠蔽、裁量労働制のデータ捏造、森友事件における公文書改竄、そして政策立案などに使われる「基幹統計」もデタラメだったことが明らかになりました

 そして「なぜそんな政権が続いているのかについては、「日本を破壊したい」という悪意をもって安倍政権を支持している人間はごく一部であり、ほとんどは無知で愚鈍な、いわば思考停止した大衆が支持しているからであり、「大事なことは安倍にすら悪意がないことで、彼には記憶力もモラルもない。善悪の区別がつかない人間に悪意は発生しない。歴史を知らないから戦前に回帰しようもない。恥を知らない。言っていることは支離滅裂だが、整合性がないことは気にならない。中心は空っぽ。そこが安倍の最大の強さだ」とし、「このままでは国は滅びる」というのは認識が甘く、「日本はすでに滅びているのだ。これから日本人は、不道徳な政権を放置してきたツケを払うことになるだろう」と述べています
 
 これほど強烈な安倍晋三批判にかつて接したことはありません。以下に紹介します。
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水道事業、種子法、北方領土……。安倍政権が進めた政策から見えてきたもの
 適菜収 ハーバー・ビジネス・オンライン 2019年1月28日
 この30年にわたり、構造改革による国の解体を急激に進めてきた連中がいる。 
 彼らは政治に寄生する形で、自分達の利権を確保してきた。そして思考停止した社会の中で、複数の宗教団体や外国の力を利用しながら、日本を乗っ取ってしまった。反日勢力、売国勢力がいつも同じ衣装をまとっているわけではない。連中もそれほどバカではない。それに気づかないのがネトウヨや自称「保守」という情弱情報弱者である。 
 
安倍政権がどうみても「売国」である理由
 すでにメッキの皮は剥がれているが、安倍晋三は保守ではなくて、構造改革論者のグローバリストである。2006年9月26日の第一次政権の総理就任演説では、小泉構造改革路線を「しっかり引き継ぎ」、「むしろ加速させる」と発言
 
 2013年7月には、シンガポールで「岩盤のように固まった規制を打ち破る」ために、自分は「ドリルの刃」になると述べ、「規制改革のショーケースとなる特区も、総理大臣である私自身が進み具合を監督する『国家戦略特区』として、強い政治力を用いて、進めます」と発言。 
 同年9月にはニューヨークのウォール街で、自分が規制緩和により、障壁を取り除くから、日本を買うなら今だと訴えた。
 2014年1月の世界経済フォーラム年次会議(ダボス会議)では、徹底的に日本の権益を破壊すると宣言。電力市場の完全自由化、医療の産業化、コメの減反の廃止、法人税率の引き下げ、雇用市場の改革、外国人労働者の受け入れ、会社法の改正などを並べ立て、「そのとき社会はあたかもリセット・ボタンを押したようになって、日本の景色は一変するでしょう」と言い放った。 

 この“ファミコン脳”の言葉通り、戦後わが国が積み上げてきたものは、わずか6年で完全にリセットされた。左翼も麻原彰晃も、安倍の足下にも及ばなかった。仕舞いには安倍は「我が国がTPPを承認すれば、保護主義の蔓延を食い止める力になる」などと言いだした。
 
 外国勢力が放送を乗っ取るようにお膳立てしたのも安倍だった。放送法4条の撤廃を目指した放送制度改革で、安倍は、外資が放送局の株式を20%以上保有することを制限する規定の撤廃を目論んでいた。水道事業を売り飛ばそうとしたり、種子法廃止を押し通したり。ロシアにカネを貢いだ上、北方領土の主権を棚上げ、日韓基本条約を蒸し返して韓国に10億円を横流しした。「移民政策はとらない」と大嘘をつきながら、国の形を完全に変えてしまう移民政策を推し進めた。結果、日本はすでに世界第4位の移民大国になっている
 安倍がやっていることは、一昔前の「保守論壇」が厳しく非難してきたものばかりだ。

 その妥当性はともかく、村山談話・河野談話を踏襲し、 憲法九条第一、二項を残しながら、第三項を新たに設け、自衛隊の存在を明記するという意味不明の加憲論により、改憲派が積み上げてきた議論を全部ぶち壊したさらには、震災の被災者の方々に寄り添う天皇陛下のものまねをして、茶化して見せた

 安倍は、ポツダム宣言を受諾した経緯も、立憲主義も、総理大臣の権限もまったく理解しないまま、「新しい国」をつくるという。そもそも、「もはや国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去りました」などという「保守」がいるはずがない。安倍信者の中では国益や国辱にこだわる時代も過ぎ去ったのだろうか? 

 国会でも外交の場でも安倍は平気な顔で嘘をつく。漢字も読めなければ、政治の基本もわからない自衛隊の日報隠蔽、裁量労働制のデータ捏造、森友事件における公文書改竄……。政策立案などに使われる「基幹統計」もデタラメだった。
「消費や人口、学校など、いずれも私たちの生活と密接に関わる56の『基幹統計』のうち点検の結果、約4割にあたる22で間違いがあった」(「ロイター」1月25日)。 

 財務大臣の麻生太郎は「日本という国の信頼が、そういった小さなところから崩れていくのは避けなければいかん」と言っていたが、なにが「小さなところ」なのか?
要するに国家の根幹がデタラメなのである。 

安倍信者のメンタリティー
 状況を嘆いているだけでは仕方ないので、なぜこのような政権が続いているのかについて述べておく。 
 一つは現実を見たくない人が多いからだろう。「日本を破壊したい」という悪意をもって安倍政権を支持している人間はごく一部であり、ほとんどは無知で愚鈍だから支持している。左翼が誤解しているように安倍を支持しているのは右翼でも「保守」でもない。そもそも右翼が4割もいるわけがない。安倍を支持しているのは思考停止した大衆である。

 大事なことは、安倍にすら悪意がないことだ。安倍には記憶力もモラルもない。善悪の区別がつかない人間に悪意は発生しない。歴史を知らないから戦前に回帰しようもない。恥を知らない。言っていることは支離滅裂だが、整合性がないことは気にならない。中心は空っぽ。そこが安倍の最大の強さだろう。たこ八郎のノーガード戦法みたいなものだ。そして、中身がない人間は担がれやすい。 

 ナチスにも一貫したイデオロギーはなかった。情報機関は常に攻撃の対象を用意し、社会に鬱積する不満やルサンチマン(強者への怨念)をコントロールする。大衆と権力機構の直結。20世紀以降の「悪」は純粋な大衆運動として発生する。 

 空気を醸成するためのテンプレートはあらかじめ用意される。「安倍さん以外に誰がいるのか」「野党よりはマシ」「批判するなら対案を示せ」「上から目線だ」。ネトウヨがこれに飛びつき拡散させる。ちなみにネトウヨは「右翼」ではない。単に日々の生活の不満を解消するために、あらかじめ用意された「敵」を叩くことで充足している情報弱者にすぎない。 

 安倍政権が引き起こした一連の惨状を、日本特有の政治の脆弱性の問題と捉えるか、近代大衆社会が必然的に行き着く崩壊への過程と捉えるかは重要だが、私が見る限りその両方だと思う。前者は戦前戦中戦後を貫く日本人の「改革幻想」や選挙制度についての議論で説明できるし、後者は国際社会が近代の建前を放棄し、露骨な生存競争に突入したことで理解できる。 
 いずれにせよ、こうした中で、わが国は食いものにされている。 

 対米、対ロシア、対韓国、対中国、対北朝鮮……。すべて外交で失敗しているのに、安倍信者の脳内では「外交の安倍」ということになっているらしい。たしかに海外では安倍の評価は高い。当たり前だ。安倍の存在によって利益を得ている国がケチをつけるわけがない。プーチンにとってもトランプにとっても、北朝鮮にとっても中国にとっても、安倍政権が続いていたほうが都合がいいのだ。 
 結局、負けたのはわれわれ日本人である。

 北海道のある大学教授が「このままでは国は滅びる」と言っていたが、状況認識が甘い。日本はすでに滅びているのだ。これから日本人は、不道徳な政権を放置してきたツケを払うことになるだろう。 

<文/適菜収> てきなおさむ●1975年山梨県生まれ。作家。哲学者。大衆社会論から政治論まで幅広く執筆活動を展開。近著に『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか』(講談社+α新書)他、『日本をダメにしたB層の研究』『日本を救うC層の研究』(ともに講談社)『バカを治す』(フォレスト出版)など多数。山崎行太郎氏との対談本に『エセ保守が日本を滅ぼす』(K&Kプレス)も好評発売中