2019年1月23日水曜日

虚飾の政権で沈む日本経済

 日刊ゲンダイが「虚飾の政権で沈む日本経済」を特集しました。
 ウソを吐くことに全く抵抗のない人間がトップに立てばこのありさまです。
 アベノミクスの片棒を担がされた日銀のバランスシートはいまやメチャクチャで、もしも日銀が破綻することになれば、いまでも国家としての信頼を失ってい日本は、決定的に信用を失って悲劇的な事態になります。
 安倍政権は早く退場して欲しいとしています。
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やっぱり賃金は下がっている 虚飾の政権で沈む日本経済
 日刊ゲンダイ 2019年1月21日
(阿修羅 文字起こしより 転載)
 第1次安倍政権は「消えた年金問題」が火を噴き、ブン投げ辞任の引き金となった。厚労省が15年前から基幹統計のひとつである「毎月勤労統計」のデタラメ調査を続けていた問題は、それを上回る業火となる様相である。
 雇用保険をはじめとする追加給付などにかかる必要経費は、事務費約195億円を含む計約795億円。安倍政権は財源を捻出するため、2019年度予算案の一般会計総額を修正し、異例の閣議決定し直し。6億5000万円を追加計上し、101兆4571億円に増額した。過去最大だった当初予算案はさらに膨らみ、増額分は新規国債発行で賄うという。つまり、国民へのツケ回しだ。残りはどこから調達するのかといえば、大半は労使が拠出した保険料をプールした特別会計。ズサン統計のシワ寄せが労使にも重くのしかかるのだから、フザケるにもほどがある。
 
 デタラメ調査の最大の問題は、ズルズルと不正を働いていた厚労省が昨年1月分からデータ補正を始めていたことだ。厚労省は04年から本来全数調査すべき「500人以上規模の事業所」について、都内計1464事業所のうち、3分の1程度の抽出調査しかしてこなかった。
 それが一転、調査結果を「3倍」にして全数調査に近づける不正処理を開始。そのタイミングは、安倍首相が17年10月の経済財政諮問会議で「3%の賃上げが実現するように期待する」と異例の数値目標に言及し、12月の経団連審議員会では「ズバリ3%以上の賃上げをお願いしたい」とさらに踏み込んだ直後だ。背景にはアベノミクスの“成果”で上がるべきはずの実質賃金がちっとも振るわない現実があったのではないか。
 
 17年の実質賃金指数は平均で前年比マイナス0.2%という惨憺たる数字だった。データ補正後の昨年1~11月の平均はプラス0.3%。インチキ処理によって物価変動の影響を除いた賃金の動きを示す実質賃金指数まで上昇した結果だ。17日の野党合同ヒアリングに出席した厚労省の屋敷次郎大臣官房参事官が「上昇幅はより小さくなる可能性がある」と認めていたように、実際はマイナスだった可能性が高い。「毎勤の不正処理による実質賃金指数の伸び率は03~08%程度カサ上げされたとみられます」(厚労省関係者)というから、やっぱり実質賃金の下落傾向に歯止めがかからず、下がり続けているのだ。
 
■景気動向指数、労働力調査にも疑惑
 問題はこれだけにとどまらない。他にも怪しげな数値がゴマンとあるアベノミクス効果のイカサマは今後、次々に明らかになっていく。毎勤の再集計によって、雇用報酬や可処分所得ばかりでなく、国際的な経済指標であるGDPの修正にまで追い込まれるのだ。
 
 経済評論家の斎藤満氏は言う。
「毎勤は国勢統計や国民経済計算と並ぶ56の基幹統計の1つで、政策立案や経営判断のベースになります。政策の根っことなる基幹統計がメチャクチャでは、経済実態の正確な診断ができず、適切な処置もできなくなる。毎勤の不正調査は小泉政権までさかのぼりますが、データ補正の発端は官邸に忖度した厚労省がアベノミクスの成果をデッチ上げるためだと思えてなりません。もっとも、第2次安倍政権発足以降、疑わしい統計がゴロゴロしています。15年9月に安倍首相が名目GDP600兆円の20年度達成を目標に掲げると、すぐさまGDPの算出方法を変更。研究開発費などの参入で約31兆円もカサ上げした結果、15年度の名目GDPは532兆円に膨らんだ。内閣府発表の景気動向指数も怪しい。15年春以降は明らかな下向きで、多くのエコノミストが景気後退懸念を強めているのに、〈景気後退ではない〉との大本営発表で議論さえ封じている。労働力調査にも疑問があります。総務省による最新の昨年11月調査では完全失業率2・5%、完全失業者168万人とされていますが、厚労省発表の有効求職者数は約171万人。有効求職者はハローワークに登録した求職者の総数に過ぎず、それでも少なくとも3万人のギャップが生じている」
 
 いよいよハッキリしてきたのが、今年の景気悪化と消費増税断行の狂気である。虚飾の政権の暴走によって日本経済はどん底まで沈みゆこうとしている
 
選挙イヤー対策のポイント還元予算は青天井 
 安倍政権は実質賃金の伸び率を消費増税の判断材料のひとつとしていたはずだ。「国難突破解散」と銘打った17年10月の総選挙では消費増税を巡る使途変更の是非も争点に掲げ、その前提として「4年連続の賃金アップの流れを更に力強く、持続的なものとする」と胸を張っていた。ところが実際は、第2次政権発足以降で実質賃金指数が前年比プラスになったのは16年だけで、それもわずか0.7%。15年マイナス0.8%、14年マイナス2.9%、13年マイナス1.0%だったのだ。
 
 ほとほと、信用できないペテン政権の場当たりのゴマカシを許していたら、どんどん傷口は広がっていく。10月に予定される消費増税による痛税感緩和を口実に、安倍政権はバラマキを拡大させている。統一地方選と参院選が重なる選挙イヤー対策で大盤振る舞いだ。キャッシュレス決済向けのポイント還元向けに、19年度予算案で約2800億円を計上。20年度予算などでも1000億円強の追加が必要と想定している。日経新聞(19日付朝刊)によると、企業が中小店舗から調達する仕入れも対象にするという。法大教授の小黒一正氏は勘定の甘さをこう指摘していた。
年間の家計消費300兆円の仮に50兆円分が還元対象だとしても1%あたり5000億円が必要
 ポイント還元費用が2兆~3兆円に膨らむ事態が否定できないというのだ。実際、安倍政権は還元総額の上限を定めない方針だというから、青天井の勢いである。
 
■日銀BSもメチャクチャ
 アベノミクスの片棒を担ぐ日銀のバランスシート(BS)もメチャクチャだ。国債の大量買い入れで市場にマネーを流し込む異次元緩和で円安株高を演出し、ETFの爆買いで官製相場を支え続けてきた。立大大学院特任教授の金子勝氏が日刊ゲンダイコラム(12月26日付)でこう警鐘を鳴らしていた。
〈日銀の「営業毎旬報告」(12日公表)によると、日銀は国債を約471兆円保有。これは購入価格で簿価だ。「日本銀行が保有する国債の銘柄別残高」(同日公表)は額面金額ベースで約459兆円。この差額の12兆円は何か。日銀がマイナス金利下で10年債未満の国債を額面よりも高値で引き受けることで生じたものだ。満期になれば、日銀の赤字となる。これによって、政府は国債の利払いから逃れ、日銀に赤字を付け替えることができる〉
 
 昨年7~9月期は米中貿易戦争の影響で輸出が1・8%減り、実質GDP成長率はマイナス転落。年率換算で2・5%減に後退した。米通商協議では日本経済の屋台骨である自動車分野の狙い撃ちは必至。「アメリカ・ファースト」のトランプ大統領に数量規制をねじ込まれてしまえば、GDPの0・8%が吹き飛ぶ。日本はガタガタだ。内政でどん詰まりの安倍は「戦後外交の総決算」とうそぶき、ロシアとの平和条約締結交渉に前のめり。国会をサボって訪ロし、25回目の日ロ首脳会談に臨むが、北方領土の旧島民が切望する進展は望むべくもない。
 
 経済アナリストの菊池英博氏は言う。
「安倍首相はダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)にも出かけて演説するようですが、真剣に耳を傾けるリーダーがいるのでしょうか。安倍首相のひと言をきっかけに官僚が民主主義の根幹を破壊する公文書の隠蔽・改ざんに走り、製造業では長年にわたって検査不正が横行し、果ては基幹統計もインチキだらけ。日本は国家としての信頼を失っています
 アベノミクスもイカサマ、“外交の安倍”もデタラメ。ウソで塗り固めた政権と心中なんて真っ平御免だ。第1次政権と同じ轍を踏ませなくてどうする。