2019年1月27日日曜日

辺野古、設計変更へ 政府、軟弱地盤認める 

 政府はいま辺野古基地建設にむけての埋め立てを強行していますが、今春にも軟弱地盤の改良工事に向け「設計変更」に着手する予定です。
 工事区域の海底の一部のN値(地耐力)がゼロであることは昨年の段階で分かっていました。沖縄県は昨年11月、そうであれば防衛省の当初計画 総工費3500億円では収まらず2兆5000億円にも達し、工事期間も13年に大幅に延びることを指摘し反対を表明していました
 しかし国はそれらを一切無視して平然と埋め立てを始め、ここにきて設計変更を明らかにしました。設計変更といっても色々ありますが、総工費が10倍近くになるというのは尋常ではありません。
 天木直人氏は、読売新聞が21日にスクープ記事を出すと直ちに厳しく反応しました。
 同氏は、これでは国は、計画において肝要なージビリティ・スタディ(実現可能性の検討)をしないまま工事に着手したことになり、それを「設計変更」などとゴマカシて、工事を強行するのは認められないとしています。
 
 いまさら設計変更とはあまりにも姑息で、沖縄県も設計変更は認められないとしています。
 琉球新報、熊本日日新聞、天木直人氏のブログを紹介します。
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辺野古、設計変更へ 政府、軟弱地盤認める 
改良申請、沖縄県は不承認へ 3月25日、新工区に土砂
琉球新報 2019年1月22日
 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、政府が埋め立て予定海域で確認された軟弱地盤の改良工事に向け、今春にも設計変更に着手する方針であることが21日までに分かった。3月までにボーリング地質調査の結果をまとめ、年内に設計変更を県に申請する。県はこれまで軟弱地盤の存在による工事長期化などを指摘し、玉城デニー知事は計画変更を承認しない構えを見せている。新たな対立点として表面化し、県と政府の攻防が激しくなりそうだ。一方、沖縄防衛局は21日、県に対し現在の土砂投入区域に隣接する「埋め立て区域2」の土砂投入を3月25日から始めると通知した。
 
 改良工事に向けた設計変更について政府関係者が明らかにした。軟弱地盤が存在するとの指摘に対し、防衛省は調査中として、これまで言及を避けてきたが、これを認めた上で地盤改良が必要と判断した。
 設計変更が必要になるのは大浦湾側の水深のある海域で、これまで防衛省が実施したボーリング地質調査で地盤強度を示す「N値」がゼロを示す地点が複数見つかった
 防衛省は実施中の追加調査を踏まえ、地盤の強度を「総合的に判断する」と説明してきた。
 
 地質調査は本年度内に結果がまとまる予定だ。政府は調査結果を受けて改良工事に向けた設計変更の手続きに入り、準備が整い次第、県に申請する。
 軟弱地盤の存在は、県が昨年8月に埋め立て承認を撤回した際に挙げた根拠の柱の一つとなった。玉城知事は地盤改良により当初計画より工期が長引いたり工費が膨らんだりすることなどから、政府が進める辺野古移設こそが普天間飛行場の固定化につながると訴えている。
 
 
県民投票と辺野古 政府は設計変更の説明を
熊本日日新聞 2019年1月26日
 (県民投票に関する部分は割愛します)
 
 投票実施に向けて気掛かりなのは政府の対応だ。特に政府が今春にも着手する方針を固めた、埋め立て予定海域にある軟弱地盤の改良工事に向けた設計変更は、投票の重要な判断材料となるはずだ。
 軟弱地盤の存在は以前から県が指摘していた。昨年11月に行われた政府との協議でも、この問題の重要性を訴え、移設反対を重ねて伝えていた。にもかかわらず政府は、これを黙殺する形で12月に埋め立ての土砂投入を開始した
 防衛省のこれまでの説明では、辺野古移設の総工費は3500億円以上、埋め立ての工期は5年としていた。しかし、地盤改良工事が加わると、県の試算によれば費用は2兆5500億円に跳ね上がり、工期も地盤改良の5年などを合わせて施設完成までに13年かかるとしている。県は、地盤改良のための計画変更も承認しない方針だ。
 費用も工期も同じ工事とは思えないほど大きな変更なのに、政府はこうした可能性があることを明確に認めぬまま工事に着手した。工事の長期化は、普天間飛行場の早期返還のためという辺野古移設の前提も崩すことになる。政府は工事を中止し、県民投票前に設計変更に伴う費用と工期の見通しを説明すべきではないか
 28日に召集される通常国会でも、最新の情報を開示した上で、移設工事の是非について改めて徹底した論議が必要だろう。
 
 
ここまで来れば辺野古を阻止できない我々が悪いと言う事になる
天木直人のブログ 2019年1月21日
 きょう1月21日の読売新聞が一面トップで大スクープを掲載した。
 政府は辺野古埋め立て工事の設計変更に踏み切る事を決めたと。
 その理由は軟弱地盤の改良が必要であると判断したためだと。
 とんでもないスクープ記事だ。
 軟弱地盤は設計変更で対応できるものではない。工事そのものを白紙に戻さなくてはならないほどの欠陥工事なのだ。
 かつて外務官僚だった時、私は開発途上国に対する円借款、つまり日本円を開発プロジェクトに貸し付ける資金援助を長く担当した事があった。
 その時の判断基準に欠かせないのが、いわゆるフィージビリティ、つまりプロジェクトの実現可能性だった。
 その例で言えば、辺野古工事はもはやフージビリティがないことが判明したのだ。政府もそれを認めたのだ。それにもかかわらず、設計変更でごまかして強行するという。
 まさしくこれが、菅官房長官が記者会見で言い放った、「全力で」辺野古移設を進めるという事である。内閣総辞職ものだ。
 
 安倍暴政もここまでくれば、もはやそんな安倍政権を止められないわれわれこそ悪いということになる。
 我々といっても、デモや座り込みしか抵抗の手段のない一般国民を責めるのは酷だ。
 やはり、安倍政権を監視すべき立場にあるメディアと、安倍政権に解散・総選挙を迫る事の出来る野党の責任は大きい。
 それにしても、こんな重大な政府の判断を、読売新聞だけがスクープし、一面で大きく報じた。安倍政権が観測気球をあげたのだ。いい度胸だ。
 出し抜かれた他紙は怒れ。こぞって後追い記事を書いて安倍暴政を批判しなければいけない。
 そして野党だ。今度こそ、辺野古移設問題で安倍内閣を解散・総選挙に追い込め。
 そこではじめて国民は怒りの一票を投じる事ができる。
 それが出来ないメディアや野党なら、安倍政権ともども、沖縄の敵、国民の敵だということになる(了)