2019年1月22日火曜日

22- 次の日程を決めて来るだけの日ロ首脳会談(天木直人氏)

 22日夜の安倍・プーチン会談は「悲惨」の一語に尽きるようです。
 北方4島の引き渡しを求める以上 話は4島で始めるのが当たり前ですが、そんなことをすれば交渉が暗礁に乗り上げ色丹と歯舞の引き渡しも遠のきかねない、というのが安倍政権の判断だということです。
 先日のロシア側の剣幕を思えば、安倍首相の苦衷は分からなくはありませんが、もとはといえばすべて自分が撒いた種です。
 
 一方が何も言えないというのはもはや交渉ではありません。22日の会談は、誰が考えても一旦キャンセルということにしかならないのですが、それすらも出来なかったところに安倍首相の惨めさがあります。それも自分で自分を追い詰めた結果です。安倍首相は多分、キャンセルするのも見っともないと思ったのでしょうが、それでは何をしに行くのでしょうか。
 
 天木直人氏が紹介するところによれば、なんと今回の首脳会談で、3月末4月ごろの再訪露をプーチン大統領に提案する模様(読売新聞)だということです
 面目が保てるかどうかはそんなことではなく、きちんと4島返還を主張できるかどうかですが、安倍首相にはもはやそんなことは念頭にありません。
 
「くろねこの短語」氏は、「『2島で決着』ってそんな話はしっかりと国会で議論して、国民的コンセンサスを得る努力をしてからの話だろう。そもそも、『主権』の問題はどうするんだ。~ 外交のグランドデザインがまったく描けてなくて、すべてが行き当たりバッタリのその場しのぎってことだ」と酷評しています。
 しかしその2島返還についても全く見通せないというのが現状です。
 
 安倍首相は2島返還を手柄にして地方選・参院選に臨もうという腹のようですが、そんな身勝手なことを考えるのではなく、北方領土返還交渉の場からいさぎよく退場すべきです。
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安倍政権、2島決着案を検討 北方4島返還「非現実的」
共同通信 2019年1月21日
 安倍晋三首相は北方領土問題に関し、北方四島のうち色丹島と歯舞群島の引き渡しをロシアとの間で確約できれば、日ロ平和条約を締結する方向で検討に入った。複数の政府筋が20日、明らかにした。2島引き渡しを事実上の決着と位置付ける案だ。4島の総面積の93%を占める択捉島と国後島の返還または引き渡しについて、安倍政権幹部は「現実的とは言えない」と述べた。首相はモスクワで22日、ロシアのプーチン大統領との首脳会談に臨む。
「2島決着」に傾いた背景には、択捉、国後の返還を求め続けた場合、交渉が暗礁に乗り上げ、色丹と歯舞の引き渡しも遠のきかねないとの判断がある。
 
 
次の日程を決めて来るだけで終わる今度の日ロ首脳会談
天木直人 2019年1月21日
 いよいよ日本時間で明日の夜に日ロ首脳会談が行われる。
 そのために安倍首相はきょうモスクワに出発する。
 ここまでロシアに無理難題を突きつけられて、何をいまさら首脳会談だ。
 ドタキャンして相手を慌てさせるぐらいの度胸ある外交をやってみろと私は安倍首相に助言した。
 私にとっては貴重な助言のつもりだが、安倍首相にとっては痛烈な批判と聞こえたのだろう。
 意固地になって訪ロするように私には見える。
 いいだろう。
 勝算があって訪ロするのだろう。
 とくと拝見させてもらおう。
 そう思っていたら、きょう1月21日の毎日新聞が書いた。
 ロシアの強硬姿勢をやわらげつつ、優先議題の絞り込みを進めたい考えだと。
 今回の首脳会談で、3月末ー4月ごろの再訪露をプーチン大統領に提案する模様だと。
 何のことはない。
 肝心の話は何もせずに、また訪露させてください。
 そして首脳会談の回数の記録更新をさせてください、と頼みに行くだけの訪ロに終わるのだ。
 安倍外交の「やってる感」、ここに極まれり、である(了)