検察の特捜部は、大規模事件などの案件に集中的に取り組む機関として東京地検と大阪地検に設置されており、1996年に名古屋地検にも設置されました。
これまで特捜部の捜査方法が「人質司法」として外国などから批判されてきたのは、特捜部の描いたシナリオに沿って罪を認めない限り、被疑者をいつまでも勾留するためでした。これほどの人権侵害はありません。
経済犯であれば、被疑者は起訴されれば保釈されるのが原則ですが、罪を認めない人に対しては、検察が逃亡する惧れや証拠隠滅の惧れを言い立てて、いつまでも勾留を続けてきました。
一家の働き手がそんなことをされれば家族は生きて行けないので、無実であっても罪を認めて勾留から解放されようとします。それこそが「人質司法」の狙いとしているところで、結果的に冤罪の温床になっています。
何故そんな人権侵害が他ならぬ司法の一画である「検察」でまかり通っているのでしょうか。それは法務省を批判したり、彼らの意図に反する報道をすると、そのメディアを法務省の記者会見から締め出すことで、日本のメディアを服従させてきたからです。
この非人道的な悪弊を打破できるのは残念ながら海外からの圧力しかありません。
ゴーン被告の妻キャロルさんからの訴えを受けた国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチの日本代表は20日までに、長期勾留など「人質司法」と批判される日本の司法制度の問題点を洗い出す調査ができないか、検討を始めました。
特捜部の悪辣な事例を挙げるのは容易と思われるので、是非、そうした事例を列挙して検察と対決して欲しいものです。
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ゴーン被告勾留で人権団体 「人質司法」調査を検討
東京新聞 2019年1月21日
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)の土井香苗・日本代表は二十日までに、長期勾留など「人質司法」と批判される日本の刑事司法制度の問題点を洗い出す調査ができないか検討を始めたことを明らかにした。
日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告=会社法違反(特別背任)などの罪で起訴=の妻キャロルさんが昨年末、日本の司法制度の改革を日本政府に訴えるよう求めHRWに要請文を送付。土井氏は「キャロルさんの要請で動くわけではないが、日本の制度が国際的に注目を集めているよい機会だ。調査対象の検討リストの上位に加えた」と話した。
土井氏は日本の司法制度の問題点として、弁護士立ち会いのない取り調べや長期の身柄拘束を指摘、「国際スタンダード(基準)とかけ離れている」と強調。調査が必要と述べる一方、予算や人手の調整が必要とした。調査する場合、国内で逮捕され長期勾留などの結果、真意に反する自白をした経験者らに聞き取りを実施。途上国を含む世界各国の刑事司法制度と比較して問題点を整理、報告書にまとめ日本政府に改善を勧告するという。