戦後78年になります。
戦争は常に時の政府によって引き起こされ、マスコミは戦争開始の世論を盛り上げる役目を演じてきました。日本国憲法前文には「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」ための決意=憲法9条の精神が述べられ、「国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来」することが明記されました。
思想・信条を持たない人が政治家になることは考えにくいことですが、それはひとまず措くとして為政者が日本国憲法を蹂躙するのはあってはならないことです。そのあってはならないことがいま公然と行われています。
いまこそ日本は9条を生かした外交に積極的に取り組むべきときなのに、岸田政権がやっていることは、バイデンに迎合すべく公然と中ロを敵視する発言を続けていて、何から何まで間違っています。
しんぶん赤旗の主張を紹介します。
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主張 78回目の終戦の日 惨禍を繰り返さない原点を今
しんぶん赤旗 2023年8月15日
日本がアジア・太平洋戦争に敗北して、きょうで78年です。中国東北部への侵略(満州事変)からの15年にわたる戦争は、310万人以上の日本国民の命を奪いました。アジア・太平洋地域の各国では日本軍国主義の戦争で2000万人以上が犠牲となりました。
戦後日本は、戦争の惨禍を再び繰り返してはならないと誓って再出発しました。岸田文雄政権が推し進める敵基地攻撃能力の保有と空前の大軍拡は、戦後の国のあり方を覆す暴挙です。戦争国家づくりを企てる政治を終わらせなければなりません。その取り組みを強めることが焦眉の課題です。
戦争国家への逆流阻もう
「日本は再び戦争をする国になるのですか。戦争と平和を考える18人の声」。雑誌『通販生活』を発行する「カタログハウス」がこんなタイトルのインタビュー特集を10日からウェブサイトに掲載しています。
エッセイストの海老名香葉子さん、俳優の松尾貴史さん、歌人の馬場あき子さんら各界で活躍する人たちが、自身の戦争体験、戦争が近づきつつあるのではとの危機感、平和のためにできることなどについて語っています。「今の政治家は先の大戦の教訓から何を学んでいるのか。政治の貧困によって二度と愚かな戦争を繰り返してはいけない」(自民党元幹事長の古賀誠さん)との思いをはじめ、識者の発言はどれも重みがあり、平和への強い気持ちが伝わります。
昨年末のテレビ番組でタレントのタモリさんが今年を「新しい戦前になるんじゃないですかね」と表現したことが、注目されました。岸田政権は昨年末、安保3文書を閣議決定し、敵基地攻撃能力の保有と43兆円もの異常な大軍拡の道をひた走っています。無謀な戦争への準備に突き進んだ戦前を想起させる動きです。
敵基地攻撃能力保有の最大の狙いは、中国などの軍事的封じ込めを狙ったアメリカの軍事戦略に全面的に加担することです。自衛隊が米軍と一体となって相手国に攻め込めば、報復攻撃を受け、日本に戦火を呼び込みます。日本を再び破滅の道に導く「新しい戦前」を絶対に許してはなりません。
岸田首相が来年9月までの自民党総裁任期中の改憲を表明しているのも、戦争国家づくりと軌を一にしたものです。9条に自衛隊を明記する改憲を実現することによって9条の制約を完全に取り払おうという企てに他なりません。
日本世論調査会が行った平和に関する全国世論調査では、日本が戦争をしないために最も必要なのは「平和外交」が32%、「憲法9条を守る」が28%などとなっています(「東京」7月30日付)。大軍拡と改憲が国民の願いと相いれないことを示しています。
9条生かした平和外交を
戦争か平和かの分水嶺(れい)の中で迎えた戦後78年、憲法前文に記された「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」ための決意が今まさに問われています。
政治の責任は戦争を回避するために知恵と力を尽くすことです。軍拡競争によって東アジアの緊張を激化させてはなりません。日本は9条を生かした外交に積極的に取り組むべきです。平和の準備のために力を尽くす政治の実現が急がれます。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。