2023年8月5日土曜日

マイナ 運用停止しかない 原因究明に遠い総点検

 マイナカード問題について、政府は来年秋に現在の保険証を廃止する方針を変えようとはしません。
 その理由として「6月に作ったばかりの法律なので云々」という建前論が幅を利かせているようですが、それはどう考えても間に合わないスケジュールのまま、反対を押し切って強引に成立させた法律です。そんなのに拘るのは本末転倒で「過ちては即ち改むるに憚ることなかれ」です。

 大阪府保険医協会は記者会見で、オンライン確認システムのマイナ保険証で全件の約70%でトラブルがあったと報告しました。生命にに係わる以上「間違い=0%」でなくてはならないのにこれでは話になりません。また「転居後の住所」や「転職に伴う新しい保険者番号などは日常的に迅速に反映される必要があるので、こうしたトラブルは「一過性」のものではない(今後も繰り返される)とも指摘しました。
 要するに来年秋までに仮に登録事項が完全無欠になったとしても、現在の方式ではそれを維持できる保障は何もないし、そもそも来年秋までに登録事項が「完全無欠」になっている保証も皆無です。しんぶん赤旗が報じました。

 同紙はまた、河野担当相は、「地方公共団体情報システム機構に照会する際、「氏名」「性別」「生年月日」「住所」4情報を確認すれば、別人を登録することはないと述べていますが、そんなに単純なものではなく、住民票記載の漢字氏名には外字も多く含まれているし、住所表記は自治体ごとに異なるので4情報で確認したくてもできないこともあり、4情報で照会しろと言われても、その作業自体ができないのが実情であると報じていますこ れは銀行口座なども同様です。
 河野氏はそのことを指摘されると、漢字の氏名と口座の仮名が照合できるAを活用する考えを示したそうですが、勿論それはまだ開発されていません。そんなことを軽々しく口にする前に、Iで判別できるシステムを構築するには一体どれほどの費用とどれ程の年月を要するのかをまず把握すべきでしょう。
 そうすれば来年秋に保険証を廃止するという方針がどれほど間違っているかが分かります。マイナンバーカードの運用をいったん停止し完全で確実な総点検が必要です。
 しんぶん赤旗の2つの記事を紹介します。
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マイナ保険証 トラブル7割 保険請求差し戻しも 大阪府保険医協会会見
                         しんぶん赤旗 2023年8月4日
     オンライン確認システム・マイナ保険証で
       (大阪府保険医協会のアンケート調査結果から作成)

 

トラブル「あった」

68.9%

 

トラブル内容

件数

 

 

トラブル「なかった」

31.1'%

 

他人の医療情報

3件

 

 

 

 

 

間違った医療情報

3件

 

 

 

 

 

限度額認定の誤り

10件

 

 

 

 

 

負担割合の齟齬

10件

 

 

 

 

 

名前・住所間違い

32件

 

 

 

 

 

カードリーダー不具合

53件

 

 

 

 

 

資格が「無効」

82件

 

 オンライン資格確認・「マイナ保険証」のトラブルについて、政府が総点検を要請して以降も医療現場では依然トラブルが続いていることが3日、大阪府保険医協会の調査で明らかになりました。府庁で会見した斉藤和則理事は「いったん立ち止まり、制度の見直しを」と述べました。
 アンケートは7月20日に会員医療機関にファクス送信し、225件から回答がありました。
 オンライン確認システムを運用している医療機関は196件で、6月1日以降も資格確認に関するトラブルが「あった」としたのは135件、68に上っています。
 トラブルの内容として最も多かったのは、「資格が無効」で82件。「負担割合の齟齬」「限度額認定の誤り」といった医療保険情報の根幹に関わる誤りがそれぞれ10件あり、「保険適用日の誤り」「有効期間がない」などの事例も報告されています
 誤った情報による保険請求で請求が差し戻された医療機関が30件あり、斉藤氏は「診療報酬が受け取れないという深刻な問題だ」と指摘しました。
 また「転居後の住所が反映されていない」「転職に伴う保険者番号の変更などの情報が入っていない」などの事例が日常的にあり、「紐づけ問題は一過性の問題ではない」としています。
 小林知加子理事が、病院におけるオンライン資格確認システム稼働状況記聞するアンケート結果を報告。「健康保険証の存続を求めていく」と述べました。


マイナ 運用停止しかない 原因究明に遠い総点検
コロナ並み態勢も現場任せ 個人情報の漏えいは継続中・・・
                         しんぶん赤旗 2023年8月4日
 相次ぐトラブルを受けたマイナンバー情報の総点検を行っている政府は来週にも、中間報告を公表する見通しです。6月1日に「マイナンバー情報総点検本部」の初会合を開き、岸田文雄首相が「コロナ対応並みの臨戦態勢」とぷち上げた総点検。その実態は自治体や保険者などの現場任せで、トラブルが続出した大本の原因究明にはほど遠いです。(森糸信)

 総点検の対象は、マイナンバーカード取得者向けに政府が運営する「マイナポータル」で表示される29分野の情報です。マインバーカードの発行数は9000万枚を超え、ひも付けられた29分野の個人情報は膨大な数になります。

来週にも中間報告
 総点検本部の初会合からIカ月以上が過ぎましたが、各省庁が行っている「点検」は、自治体などの現場がルール通りにマイナンバーと情報をひも付けていたかを調べているだけです。国はこれらの回答をもとに個別データの総点検が必要なケースを整理し、来週にも中間報告を行う方針です。 

●別人を登録
 中間報告を受けて、各省庁はすべてのデータの総点検が必要なケースについて、自治体などに対して、▽全データの点検 ▽ひも付けの誤りの修正 ▽情報漏えいの有無の調査-などを、原則として秋までに実施するよう求めています。
 政府は、マイナンバーをJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)に照会する際、「氏名」「性別」「生年月日」「住所」4情報を確認すれば、別人を登録することはないとしています。しかし、実態はそんなに単純ではありません
 住民票記載の漢字氏名には外字も多く含まれており、住所表記は自治体ごとに異なります。4情報で確認したくてもできないこともあり、それが同姓同名の別人を登録してしまう原因になっています。つまり、4情報で照会しろと言われても、現場はマイナンバーを照会できなくて困るだけなのです。

●口座誤登録
 公金受取□座の誤登録については、窓口の共用端末の操作ミスで発生した940件の誤登録のほかに、家族名義などと推察できる本人名義以外の口座が登録されている事案が約14万件も見つかっています。これらは戸籍の氏名が漢字で、口座に登録した氏名は振り仮名のためシステム上の照合ができないことから発生したトラブルです。河野太郎デジタル相は、漢字の氏名と口座の仮名が照合できるAIを活用する考えを示しましたが、まだ開発されていません。根本的な問題解決には、戸籍に振り仮名を追加する25年6月の改定戸籍法の施行を待たなけれなりません
 今、この瞬間も個人情報の漏えいは続いています。マイナンバーカード取得者は「マイナポータル」を開けば、自分の情報・の誤りを見けられるからです。河野太郎デジタル相は「自分で確認するのが最も早い」と]自己点検を奨励していますが、」あまりにも不見識です。しかも、自己点検では、他人の情報が自分のマイナンバーにひも付けられていることは確認できても、自分の情報が別人に誤登録されていることは確認しようがありません。
 マイナンバーカードの急速な普及やその後のトラプル対応で、自治体などの現場は疲弊しています。無理な期限を区切れぱ、現場は大混乱に陥り、再びミスの拡大につながりかねません。一方で、このままでは、個人情報の漏えいが放置されます。マイナンバーカードの運用をいったん停止し、完全・確実な総点検が必要です