先般、関係者・識者たちが大反対する中で入管法の改悪案が成立しました。それは国際的に常識的とされてきたものから大きく逸脱したもので、難民たちをさらに不幸にする惧れのあるものでしたが、結果的に入管では避難者に対して予想通りの残忍な仕打ちが繰り広げられています。こうした行為は関係者以外にはほとんど知られていない中で、しんぶん赤旗が掲題の記事を出しました。
難民は日本に入国しないと難民申請できないのに、入国のための一次庇護申請が許可されないという関係にあり、本国への帰還を強制されたことを拒否すると今度は収容所に拘束されるという関係にあります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
難民追い返す“水際作戦”空港→収容施設 直行
しんぶん赤旗 2023年7月31日
出身国で身の危険を感じたため来日し、入国審査で「難民だ」と表明したら、そのまま空港で拘束された人たちがいます。やっとの思いで到着した外国人を、出入国在留管理庁が空港から収容施設に直送するという実態はほとんど知られていません。(小梶花恵)
東京入管に収容されているアフリカ出身の男性は、出身国の前大統領が率いる政党の党員です。数年前のクーデターで前大統領が失脚し、同党の政治家は次々逮捕。友人らも逮捕されて恐ろしくなった男性は国を出ました。
今年2月1日に羽田空港に到着。入国審査でパスポートを見せると帰国するように言われ、「難民なので帰れない」と答えました。職員からいくつか質問を受けたのち、「あなたが難民とは信じられない」と言われたといいます。同3日に東京入管に移送、収容されました。
まもなく収容から6カ月。EU(欧州連合)では収容の上限に定められている期間です。仮放免申請は2度却下されました。男性は「日本は難民条約に加盟しているので来た」と話し、難民認定を申請しています。
孤立する危険
2020年に来日した別の男性も、空港で審査官にパスポートを見せると別室に連れていかれました。難民だと言うと、帰るように促されたといいます。帰国を拒否すると、同様に空港から直接、収容施設に拘束されました。
入管が空港で難民を追い返すと、戻った国で迫害されても弁護士や支援者は知ることができず手を差し伸べられません。収容施設に移送された場合も支援者らに伝わりにくいため、孤立する危険があります。難民を支援する髙橋済(わたる)弁護士は「難民を追い返す水際作戦で、空港申請の闇」と指摘します。
日本の入管法の運用では、入国許可を得ないと難民認定申請ができません。入国前に難民であるとして保護を求めると「一次庇護(ひご)」を申請できます。しかし、新型コロナによる入国制限直前の19年は一次庇護申請者36人に対し、許可は1人。17年は98人の申請に対し2人でした。
第三者機関に
髙橋弁護士は指摘します。
「入国しないと難民申請できないのに、入国のための一次庇護申請が許可されない。空港で正直に申し出ると損をするのが実態です。空港で申し出る人は難民である可能性が高いというのが国際的な認識であるにもかかわらずです。一次庇護が許可されれば収容されずにすみます。人権の観点からも、一次庇護申請や難民認定申請は独立した第三者機関が判断すべきです」
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。