しんぶん赤旗に掲題の連載記事が載りました。
岸田政権は21年10月4日に発足しました。その際には岸田氏は「岸田ノート」を掲げながら「国民の皆さんの声をしっかり聞き…」と「聞く力」を強調しましたが、あれから1年10カ月、暴走する岸田政権によって、いま民主主義が破壊されようとしています。
国会は暴走に歯止めを掛けることが出来ていません。そのためにはきちんとした野党の存在が不可欠ですが、第1党の立民党は一向に姿勢が定まらずに絶えず右往左往しています。
いま一番勢いがある野党第2党の維新の会は、当初から自民を右側に誘導する位置にいて、最近は「第2自民党」を公言して憚りません。
国民のために唯一奮闘しているのは共産党ですが、何しろ多勢に無勢なので岸田政権の暴走に歯止めを掛けることは出来ていません。
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壊される民主主義(上) 国会軽視で暴走する政権
しんぶん赤旗 2023年8月12日
「国民の皆さんの声をしっかり聞き、協力して明日を切り開いていく約束の証しだ」。岸田文雄首相は2021年10月、総選挙第一声で「岸田ノート」と呼ばれる一冊のノートを掲げながらこう訴えていました。あれから1年9カ月 - 。暴走する岸田政権によって、いま民主主義が破壊されようとしています。壊された民主主義を立て直すためには、岸田政権の暴走に歯止めをかける国会の役割、とりわけ、きちんとした野党の存在が不可欠です。
岸田政権のもとでは、国会軽視の異常な姿勢が際立っています。
政府は昨年12月16日、「国家安全保障戦略」など安保3文書を閣議決定しました。国の姿を変える決定を、国会審議や国民の意見を聞かないまま強行したことに強い批判があがっても首相は「(決定)プロセスには問題がない」(同日の記者会見)と強弁し続けました。
民意を無視する姿勢は、安倍晋三元首相の「国葬」強行(22年9月)にもあらわれています。岸田首相は、安倍氏への追悼の辞で、安保法制=戦争法や特定秘密保護法などで大きく分かれる国民の評価を一切無視し、安倍政治を礼賛。憲法違反が明らかな「国葬」実施を国会にも諮らず、閣議決定だけで強行し、国民の間に分断を招きました。
23年6月21日に閉会した通常国会では、数の力で押し切る民主主義否定を露骨に進めました。敵基地攻撃能力保有のための大軍拡予算の成立に加え、財源捻出のための軍拡財源法や原発回帰の原発推進法、健康保険証廃止の改定マイナンバー法、さらに外国人の人権を侵害する改悪入管法などの悪法を次々と可決させました。国のあり方そのものを根本から覆す大転換にもかかわらず岸田首相は、国会で「詳細は答えられない」「具体的な内容はこれから検討」などと逃げの答弁に終始。「丁寧な説明」は一切なく、国民への真摯(しんし)な説明はいまも行われていません。
維新の役割は右からけん引
岸田政権の異常な姿勢を後押しし、ときに自民党よりさらに右の立場からけん引する役割を果たしているのが日本維新の会です。
維新は軍拡財源法に「反対」しましたが、大軍拡と軍事費の大幅な増額をあおっていたのが実態です。与党の採決日程の提案に賛成するばかりか、廃案を求める野党の行動を維新が「昭和のやり方だ」とののしるなど法案の強行に手を貸しました。
通常国会閉会を受け、自民党がまとめた「委員会別法案審議結果」でも「一部野党は審議の遅延を図るため解任案や不信任案を次々と提出した」のに対し、維新と国民民主を念頭に「与党はこれに同調しない党と共に粛々と否決し、着実に結果を出すことができた」と総括しています。
「審議結果」はさらに、憲法審査会について、3月以降ほぼ毎週定例日に開催できたとして、「各党が見解を明らかにするなど、議論を深めることができた」と強調しましだ。まさに自公とその補完勢力による民主主義と憲法の破壊が始まっていることを明らかにしています。
その後、維新の馬場伸幸代表は7月23日に出演したインターネット番組で、自党は「第2自民党」だと宣言。日本共産党は「日本からなくなぅたらいい政党だ」などと、民主主義を根本から否定する暴論まで公言しています。
政権への姿勢 揺らいだ立民
岸田政権の暴走が加速するなか、対決する野党の姿勢が問われています。ところがこの間、野党第1党・立憲民主党の政権に対する姿勢は揺らぎ続けてきました。
立民の泉健太代表は、21年11月の代表就任当初、これまでの「対決路線」から「提案路線」への転換を前面にアピール。その後、22年7月の参院週を受け、再び追及型へと路線を転換したものの、国会内では維新との連携を強めました。
しかし、9条改憲を主張し、大軍拡や新自由主義路線を突き進もうとする維新と、立民の立場は相いれません。結局、統一地方週後の23年5月、泉代表は維新を「(自民党と)対抗する姿勢が見られない」と批判し、「共闘」の解消を表明しました。(つづく)
壊される民主主義(下) 求められる野党像は
しんぶん赤旗 2023年8月13日
支配勢力に対する有効な対抗勢力が広範に存在してこそ、政権の暴走に歯止めをかけ、多様な民意を国政に反映させ、健全な民主主義をはぐくむことができます。「翼賛国会」では、社会の多様性、弱者への目配りがまったく行き届かず、分断社会がますます跋扈(ぱっこ)します。国民世論を背景に、政権与党への対決姿勢を示すことこそ野党の役割です。
維新や国民の与党補完ぶり
先の通常国会では、国民を犠牲にして大軍拡に突き進む2023年度予算や日本の進路を左右する重大な法案が「数の力」で次々に成立しました。
日本維新の会や国民民主党が悪法成立に手を貸し、政府・与党の補完勢力ぷりを発揮するなか、立憲民主党も国内軍需産業の基盤を強化する財政支援措置を盛り込んだ{軍需産業支援法」では賛成に回るなど、大軍拡そのものに反対することができません。
野党の対決姿勢が乏しい中で、日本共産党は、予算委員会で岸田政権の大軍拡の本質を暴く論戦を行い、「敵基地攻撃能力の正体とは何か」「何のために持とうとしているのか」「その結果はどうな泰か」を次々に明らかにしました。
暮らしと平和の行方を左右する重大法案については、政権・与党と正面から対峙(たいじ)する論戦で争点を国民の前に浮き彫りにすることが野党には求められています。また、草の根で大衆と結びつき、その組織化をすすめ、これらの人々の切実な要求を掲げることも野党の重要な役割です。
先の通常国会で、衆参両院で出された請願署名のうち、日本共産党議員の紹介による署名は合わせて約769万人分で、署名全休の54・8%と過半数に上りました。そのほとんどが、平和と憲法、国民の権利と暮らしを守る政治の実現を願うものです。野党が全国各地、各分野での国民運動と結び、要求実現に取り組む姿勢を見せてこそ、民主主義はより成熟したものになります。
間違った政治 きちんと対峙
さらに、間違った政治に対して、きちんと対峙し、政権交代の姿勢を示す野党こそ必要です。
日本共産党は、野党連合政権の実現を掲げ、国民的利益に立った一致点を大切にした共闘に力を尽くしてきました。政治を変えるためには野党共闘が絶対に必要です。排除型でなく、包摂型の野党共闘による政権交代こそ、進むべき道です。(おわり)
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。