史上最大の戦争国家*である米国は、もはや国家間の戦争を続けるのは無理であるとして2000年頃から「対テロ戦争戦略」を構想しました。
*(15.2.28)アメリカは建国後合計222年間=93%の年間 戦争をしてきた
それによって恒常的に戦争を継続して産軍複合体の市場を維持するというもので、2001年9月11日に起こされた「ツインタワー旅客機突入事件」が対テロ戦争戦略開始の端緒になりました。
米国はアフガニスタンに侵攻してテロ組織であるアルカイダとの戦争を開始しました。米国がアフガニスタンから撤退したのは実に20年後の2021年で、米軍撤退後は直ちにアルカイダが全土を支配しました。
9・11事件については、ツインタワー倒壊の仕方が航空燃料の燃焼では説明できない(多くの動画があります)ことがベースになって、一大謀略事件という見方がいまも根強く残っています。
ところでグローバルサウスという言葉をよく聞くようになりました。西側の一員を自負する日本は、中東には一定の関心を示してきましたがアフリカに関してはこれまでほとんど関心を示して来ませんでした。
そもそもアフリカ大陸は欧州列強によって好きなように植民地化されて、第一次世界大戦前には独立国としてはリベリア共和国とエチオピア帝国を残すのみとなりました。米国が登場したのは第二次大戦後でその米国も衰亡するなかで、アフリカ諸国はもはや旧宗主国は頼りにならないとして、近年は中ロに頼る傾向を強め米国もそれを放任するしかなくなっていました。
フリーの国際情勢解説者田中宇氏が「アフリカの非米化とロシア」という記事を出しました。アフリカの今後を見通す興味深い記事です。
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アフリカの非米化とロシア
田中宇の国際ニュース解説 2023年8月13日
西アフリカのサヘル(サハラ砂漠の南縁)にあるニジェールで7月26日、軍部がクーデターを起こし、米仏と親しかったバズム政権を転覆し、新たな軍事政権を作った。この政権転覆は、ニジェールが「テロ戦争」に失敗した旧覇権国の米仏を見限り、より信頼できるロシアに頼る体制に転換するために起こされた。2021年以降、近隣のマリやブルキナファソなどが同様の趣旨でクーデターによる政権交代をしており、近隣諸国に勧められてニジェール軍部も非米化に立ち上がった。
ニジェールは、近隣のマリやブルキナファソといった他のサヘル諸国と同様、911後の2002年から米国が自作自演的な「テロ戦争」を展開してきた。米軍は、サヘル各地でイスラム教徒を扇動して過激化させ、裏から武器や資金を流し込んでテロ組織に仕立て、米仏が地元の政府をしたがえて長期の低強度戦争を展開した。
(The Wagner Group in Mali: Another Failed EU Strategy in Sahel?)
2001年の米国によるテロ戦争開始まで、サヘルにはイスラム過激派がいなかった。2002年に米軍がサヘルで広範な「テロ監視活動」を開始した後、過激派が現れた。マリの北隣のアルジェリアにいたアルカイダ(GIA)がマリ北部に移動して活動を開始し、数年かけてマリを内戦に陥れたりした。
米軍は、この動きを監視しつつ黙認した。米軍が設けた地元の下請け勢力がアルカイダをそそのかしてマリに移動させた可能性が高い。今や世界で最も強いアルカイダとISは、中東でなくサヘルにいる。
(In the Sahel, 20 Years of War on Terror Has Created More and Stronger Enemies)
(The Sahel Now Accounts for 43% of Global Terrorism Deaths)
米国のテロ戦争は、米英が作った債券金融システムが1990年代後半から世界(今の非米側)に拡大して新興諸国が発展していきそうだったので、それを防ぐために起こされた。新疆やインドネシアからサヘルまでの広大なイスラム地域を扇動して混乱させ、地政学の「敵方」である非米側の経済発展を阻害するのが目的だった。
だが実際のテロ戦争は過激にやりすぎてイスラム諸国を潰してしまい、アフガンからサヘルまでいくつも失敗国家が作られ、米国の手に負えなくなった。米覇権が低下し、事態の安定化に中露など非米側の台頭が必要になった。この「やりすぎ」は、テロ戦争で世界経済の発展を邪魔された「資本の側」が米諜報界に隠れ多極派を作ってやらせたと考えられる。
(How to Lose an Unwinnable War: Why Intervention in the Sahel has Failed)
(資本の論理と帝国の論理)
2009年からのオバマ政権がテロ戦争を解消しようとしたので、米軍と諜報界は解消を妨害するため、2011年に中東各地でイスラム主義を扇動して政権転覆させる「アラブの春」を起こし、シリアやリビアが内戦に陥り、オバマの解消策は失敗し、事態はテロ戦争に逆戻りした。アラブの春の影響で、サヘルも2012年にかけてテロ組織の支配地が急拡大し、マリなどは政府機能が低下して国家崩壊に至った。
オバマは、米軍をテロ戦争の泥沼にはめたくないので、サヘルの宗主国でアフリカの覇権国を気取るフランス(実は米傀儡)など欧州に軍を出させ、サヘルを安定させようとした(仏軍5000人、米軍1000人)。仏軍などはサヘルの治安を最低限守ったが、米軍が仏にやらせた戦略が(意図的に)稚拙だったらしく、依然として広大な乾燥地帯がテロ組織に占領されたまま事態はあまり好転せず、経済も治安も悪い中、人々はフランスと自国政府への不満を強めた。(Wikipedia - Islamist insurgency in the Sahel)(軍産複合体と闘うオバマ)
(2度の世界大戦で覇権が英国から米国に委譲された後、英国は旧植民地での軍事活動をほとんど停止し、その代わりに米諜報界を英国系が乗っ取って英国好みの覇権運営を米国にやらせる策略に転換した。英国と対照的にフランスは、戦後も米国とは別の覇権勢力として残ろうとしたが国力低下で旧植民地を支配できなくなった。英国は米仏より狡猾。アフリカを細かく分割したのも英国の戦略。もともと戦前のフランスの帝国拡大も、英国が世界の分割と支配を単独でやるより列強間の競争構造を意図的に作ってやった方が良いと考えて各地で対仏譲歩した結果実現した)(田中宇史観:世界帝国から多極化へ)
サヘルの行き詰まった事態は、2019年ごろからロシアの登場によって変わり始めた。
ロシアは2015年に、米軍を使いたくないオバマに頼まれてシリア内戦に軍事介入し始め、2017年ごろまでに内戦をアサド政権の勝利で事実上終わらせた。米国が壊したシリアをロシア(とイラン)が救った。安保面でロシアの信用が上がり、近隣の中東やアフリカの国々が「うちも米国に壊されているので救ってほしい」とロシアに頼み込んできた。
米国の自滅的なテロ戦争の結果、中東からアフリカにかけての諸国が、破壊的な米国を敬遠して、ロシアに覇権拡大を頼むようになった。
エジプトは、米国がカダフィを殺して壊したままになっている隣国リビアの内戦の終結をロシアに頼んだ。スーダンは、内戦の解決をロシアに頼んだ。そして、マリなどサヘル諸国も、米仏と付き合っている限り終わらない自滅的なテロ戦争を終わりにしてほしいと頼んできた。
(The Wagner Group’s Playbook in Africa: Mali)(The Wagner Group’s Growing Shadow in the Sahel: What Does It Mean for Counterterrorism in the Region?)
ロシアは、米国から頼まれたシリアには自国の正規軍を派遣したが、リビアやスーダンやサヘルでは米国が、表向き事態を改善しようとする(実は悪化させる)テロ戦争を続けている。そこにロシアが正規軍を派遣すると、米露が対立して世界大戦になりかねない。
米国のテロ戦争は表向き「テロ退治」の善行だったし、ロシアもアルカイダが入り込んだチェチェン人などによるテロと戦ってきた。テロ戦争の有事体制がロシア国内政治で諜報界出身のプーチンの立場を強化した利点もあった。そのため国連など公式な外交の場では、ロシアもテロ戦争におおむね賛成してきた。
だがその一方で、中東やアフリカの諸国が、ロシアに覇権拡大を頼み込んでいるのも事実だった。中東アフリカ諸国に頼まれて仕方なく、という姿勢をとりつつ、自滅した米国覇権の空白を無理なくロシアが埋めるには格好の機会だ。
ロシア本土からグルジア、アルメニア、トルコ、シリア、ヨルダン、イスラエル、エジプト、スーダン、リビア、アルジェリア、ニジェール、マリ、ブルキナファソまで、ずっと陸路で親露的な国々を通っていける。ロシアにとって無理のない影響圏の拡大策だった。
(Shifting sentiments in the Sahel: Anti-France or pro-Russia?)
米国との衝突を避けるため、ロシアの正規軍は出さず、代わりにプーチン腹心のエフゲニー・プリゴジンがやっている露政府系の民兵団(傭兵団)ワグネルを出すことにした。露政府は中東アフリカ諸国の政府と軍事協定を結んで兵器支援などは行うが、派兵するのはワグネルになった。
ワグネルは、米国による政権転覆でウクライナ内戦が始まった2014年に、米傀儡のウクライナ極右政権に殺されるウクライナ・ドンバスのロシア系住民を救うための援軍・義勇軍として、それまで露軍の諜報機関の在外要員として、露企業の在外警備などをする警備隊・傭兵団を組織していたドミトリー・ウトキン(活動名ワグネル)らが軍事組織を立ち上げ、プーチンの傘下で民間企業を運営して巨額資産を築いたプリゴジンが運営費を出して作られた。
(Russia establishes a foothold in the Sahel through the Wagner group after the French pullout)
露軍が直接ドンバス(ウクライナ領)に出ていくと軍事侵攻になるので、国際政治上の配慮として、民間組織のワグネルが出ていった。ロシアの在外邦人であるドンバスの露系住民を助けるのは、ロシアとして当然の行為だった。
ロシアは翌年、米国に頼まれてシリア内戦に介入したが、正式に派兵したのは空軍が主体で、地上軍はリスクが高すぎるので出さず、正規陸軍の代わりにワグネルが派兵された(もし米国がシリアに本格派兵していたら米露戦争になった。露空軍はすぐ撤退できるが陸軍は簡単に出ていけない)。ワグネルは、ヒズボラなどイラン系民兵団と協力してアサドのシリア政府軍を助け、米育成のテロ組織(ISカイダ)と戦った。
(ヒズボラもワグネルも正規軍でないが、地元では感涙される英雄たちだ。彼らを極悪組織と歪曲して描き続ける米欧日のマスコミや専門家こそ極悪な人道犯罪者)
(The Last Domino Falls in the Sahel)
ドンバスやシリアへの派兵は露国家として必要な行為であり、対米配慮で正規軍でなくワグネルを出した。現場の派兵要員はワグネル帰属だったが、戦略立案や諜報活動、兵站など周辺機能はすべてロシアの正規軍が担当して支援してきた。そのためワグネルの技能は露軍とほぼ同じだ。
シリアでのワグネルの活動を聞きつけた中東アフリカ諸国が「うちにもワグネルをこっそり派兵してほしい」とプーチンに頼むのは自然だった。
(Macron’s Africa policy has failed, senators say)
米国側マスコミはワグネルについて、アフリカなどで虐殺や犯罪行為を頻発する無能な傭兵団だと喧伝するが、ワグネルはロシアがアフリカ諸国を傘下に入れる覇権拡大活動のために派兵されており、地元の人々に嫌われる犯罪行為をするはずがないし、無能でもない。
逆に言うと、ロシアとしては「ワグネルは無能な犯罪者集団なのでロシアの中東アフリカ支配が成功するはずがない」と米国側が思い込んでいた方が、米国に妨害されずに覇権拡大できるので好都合だ。
(Russia is making its biggest geopolitical shift for 300 years. Here’s how it’s playing out.)
6月末にプリゴジンがプーチンに反逆して大騒ぎになり、「これでワグネルを使ったロシアの中東アフリカ支配も失敗するぞ」と米側専門家たちがぬか喜びしたが、あれはプーチンが米側にそう思い込ませるための茶番劇だった可能性が高い。
さらに言うと、ワグネルは昨年から兵力不足を補うためにロシアの監獄で囚人たちに募集をかけて入隊させていると喧伝され、ワグネル自体もそれを認めているが、これも事実であってもなくても、「ワグネルは質が悪い」というロシアにとって好都合な米国側の歪曲喧伝を補強する目的があるかもしれない。(ロシアでワグネル反乱の意味)
話をサヘルに戻す。マリなどサヘルでは2019年ぐらいまでに、米仏に頼り続けても事態を好転できないのでワグネルなどロシアに頼んだ方が良いという考えが、治安担当者(軍部)の間で出てきた。
だが、サヘル各国の政府は米仏の息のかかった者たちが支配している。米仏でなくロシアと組んだ方が良いと主張する政治家が出てきても、米仏系プロパガンダに攻撃されて権力に就けない。民主的な転換の道は閉ざされている。となれば、軍部がクーデターを起こして政権転覆するしかない。
米仏は「民主化」によってアフリカ(など非米側)を支配してきたのでクーデターを容認しない。米仏の仲間が当選すれば称賛して支援するが、反米人士が当選すると難癖つけて経済制裁して潰す。ロシア(など非米諸国)は、こうした米国側の偽善策を知っていて現実主義だから、表向きクーデターを受け入れなくても事実上容認する。
(Africa in rebellion: Is a second anti-colonial liberation on the horizon?)
米国側から露側に転換するには、クーデターで政権転換するのが好都合だった。クーデターでできた政権は、米仏から敵視されて仕方なくロシアに頼ったことにできる。
それで、2021年5月にマリで軍部がクーデターを成功させ、新政権は米仏から敵視されるとすぐにロシアにすり寄り、ワグネルと契約を結んでテロ退治を開始した(露政府は表向きクーデター不支持を表明しているが)。
マリの転換は成功した。それを見て、マリの南隣のブルキナファソの軍部が2022年2月にクーデターを成功させ、米仏から敵視されるとすぐにロシアにすり寄ってワグネルと契約した。(How the Niger coup can shake up the balance of power in and around Africa)
さらに、マリとブルキナファソの転換が成功したのを見て、今回両国に隣接するニジェールの軍部がクーデターを成功させ、すぐにフランスと縁を切った。クーデターを非難すると露側に転向してロシアの影響圏を拡大させるばかりなので、米国は今回ニジェール新政権をあまり批判せず、説得して転覆を元に戻そうとしている。
(Poll reveals over 60% of Nigeriens consider Russia country's most reliable partner)
米国がニジェールに派遣したヌーランド国務副長官代行はネオコンで、2014年にウクライナの政権転覆を引き起こした黒幕として有名だ。ヌーランドが扇動した米露対立はロシアを潰すどころか強め、民主主義の戦士であるはずの彼女がニジェールの親露転向を防ぐためクーデターを半ば容認せざるを得ない皮肉な事態を生んでいる(この皮肉を演出するために隠れ多極派がヌーランドをニジェールに派遣したともいえる)。
いずれの国でも、国民は米仏のテロ戦争が自国を破壊したことを知っているので、国民の大半がクーデターを支持している。
(Nigeria could send thousands of troops to invade neighbor - media)
(Victoria Nuland, Washington’s ‘regime change Karen’, wants to speak to the manager in Niger)
サヘル諸国の軍隊の幹部の中には米国の軍学校(ウエストポイントなど)に留学した者が多く、彼らは米軍学校で反乱鎮圧や市街戦などのやり方と防ぎ方の軍事技能を習得したが、その技能は彼ら自身が母国でクーデターを起こす時に役立った。
米軍は、サヘルを不安定化しておくテロ戦争と並ぶ策略の一つとして意図的に、クーデターのやり方をサヘル諸国の軍幹部たちに教えた可能性がある。だが、近年サヘルで連続的に起こされたクーデターは、サヘルを不安定にするものでなく、むしろ米国をサヘルから追い出し、サヘルがロシアに頼って自分たちの地域を安定化していくためのものになっている。
(Washington’s Undemocratic Military Offspring)
軍事面の米覇権(軍事支配)を強化するはずのテロ戦争が米覇権自滅と中露台頭を招いて世界を多極化する「隠れ多極主義」になってしまった(そうなると知りつつテロ戦争が遂行された)のと同様、米軍がサヘルの軍幹部たちにクーデターのやり方を教え込んだのも隠れ多極主義的な策だったといえる。 (アフリカのクーデター頻発の意味)
サヘルを含む西アフリカはナイジェリアが地域の覇権国で、ナイジェリアが主導するECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体、15か国)はニジェールに軍事侵攻してクーデター勢力を潰し、追い出されたバズム前政権を再就任させると言っている。ECOWASは西アフリカでEUを真似た国家統合を進めようとするフランス肝いりの策なので米仏に対して従属的だ。
ECOWASのニジェール侵攻策を進めているのはナイジェリアの新任のティヌブ大統領だ。だが強気でやりすぎるとティヌブも自国の軍にクーデターを起こされて政権転覆されかねない。
多民族国家のナイジェリアで強い政治力を持つのは北部に住むハウサ人で、彼らは北隣のニジェールにも住んでいて行き来も多い。ナイジェリアのハウサ人は、自国の軍がニジェールに侵攻して同胞を殺すことに強く反対している。ECOWASはニジェールを軍事制裁しにくい。(No More Coups in West Africa, Nigeria’s Leader Vowed. Niger Called His Bluff.)
今回ニジェールでクーデターが起きたら、以前にクーデターを起こしたマリやブルキナファソの軍事政権は、すぐにニジェールの新政権を支持した。マリとブルキナファソの軍は、外部勢力(ECOWAS)がニジェールの政権を元に戻すために軍事介入するなら、ニジェール新政権を助けるため自分たちも越境してECOWASと戦争すると言っている。
こうした積極的な肩入れから考えて、マリやブルキナファソの軍事政権は、サヘルから米仏を追い出そうとたくらみ、ニジェールの軍部に対して「君たちもクーデターを起こし、米仏から離れてワグネルと組むのが良い」とそそのかし、ニジェールの軍部をその気にさせたのでないか。
英国系の世論調査によると、ニジェール人の78%が今回のクーデターを支持し、60%が最も頼れる外国はロシアだと答えている。米仏が最も頼れると答えたのはそれぞれ5%未満だった。(Poll reveals over 60% of Nigeriens consider Russia country's most reliable partner)
ロシアは、ナイジェリア、アルジェリア、南アフリカといったアフリカの中の大国群が、自国周辺の地域を安定化する「極」として機能することを望んでいる。ロシアは、ナイジェリアが今のような米国覇権に従う国でなく、対米自立した国になってもらいたい。ナイジェリアの??大統領がクーデターで倒され、ニジェールやマリのように米仏と縁を切って親露な国に転換してくれた方がロシアにとって好都合だ。
(ECOWAS vs Niger: Why Russia may attempt coup in Nigeria - Adeyanju warns Tinubu govt)
ロシアはアフリカを非米化している。だが、アフリカの非米化が加速化するには、ロシアの策略だけでは足りない。世界最大の経済大国となった非米側の雄である中国の姿勢や戦略が重要だ。
中国は、ロシアより前からアフリカの非米化、欧米からの自立を支援している。中国とアフリカの定例サミットは2000年からだが、中国とロシアのサミットは2019年からだ。すでに書いたように、ロシアはシリア内戦で成功してアフリカ諸国から頼られるようになってから、中国と似た形式で3年ごとのサミット開催を始めた。
(China and Africa: In It for the Long Haul?)
中国はアフリカとの関係が経済と外交だ。米欧を刺激したくないので、軍事面はあまりやっていない(米欧が批判するジプチの中国軍基地は、アフリカ対策よりも、インド洋の自国船の航路安全確保、海賊対策が中心)。
米国がテロ戦争を自滅させてアフリカの治安を悪化させても、以前の中国はあまり対策できなかった。それだけに、近年ロシアが地元諸国に頼まれてアフリカに軍事面で進出し、米国が破壊した治安をロシアが回復してくれるのは中国にとってありがたい。ロシアのアフリカ進出は、中国にもアフリカにも感謝されている。
(10 Things to Know about the U.S.-China Rivalry in Africa)
アフリカでは全ての国(55)が参加して「アフリカ連合」を作り、アフリカ内部を安定・統合させ、国際政界でアフリカとして統一的な動きをして影響力を増そうとしている。エチオピアにあるアフリカ連合の本部ビルを援助活動として作ったのは中国だ。
多極型世界を望む資本家だったロックフェラーが戦後、ニューヨークに多極型国際組織である国連本部ビルを作って寄贈したように、中国(中共)は、アフリカを多極型世界の極の一つにするためのアフリカ連合の本部ビルを作って寄贈した。
習近平の中共は、衰退している米国覇権体制に替わる、多極型の世界体制を作ろうとしている。アフリカ連合は、国連安保理やG20の中に、自分たちの場所を設けようとしている。
アフリカは極の一つになる。そのことはプーチンも、最近のロシア・アフリカサミットの挨拶の中で宣言した。この件で、ロシアと中国は組んでいる。ロシアのアフリカ進出は、裏で中国と組んで展開している。(Putin: Africa Becoming Center of Power)(アフリカの統合)
アフリカの非米化と発展、世界の極の一つになる動きは、これから20-50年ぐらいかかりそうだ。ロックフェラー番頭キッシンジャーの訪中から今の習近平まで、中国の台頭(引っ張り上げ)に50年かかっている。アフリカも今後20年だと発展途上の感じかもしれない。その前に米国側の衰退も起きる。(世界のデザインをめぐる200年の暗闘)
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。