安倍首相の私的諮問機関(安保法制懇)の北岡座長代理は24日、憲法9条1項の「国際紛争」の解釈を変更するよう、首相への報告書に盛り込む考えを明らかにしました。
9条1項は、国際紛争を解決する手段としての武力行使を永久に放棄すると定めていますが、北岡氏はこれを「日本が当事者である国際紛争」と限定的に解するべきだとして、それにより海外での国連平和維持活動(PKO)に参加する自衛隊員の武器使用について、憲法上の制約を解消しようとするものです。
この考え方は昔からあるものですが、そうすると、日本が関与しない国際紛争(現在の殆どの紛争はそうです)であれば自由に武力を行使できるという、何んとも珍妙で荒唐無稽な理論になってしまいます。
安保法制懇は次々と新規の提案をしたがっているように見えますが、これもまた戦争放棄という憲法9条の理念からはあまりにもかけ離れていて、本当に真面目に考えているのだろうかと思ってしまいます。
到底認めがたい解釈改憲の提案です。
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PKO武器使用緩和提案へ 安保法制懇、9条解釈変更
朝日新聞 2014年2月25日
安倍晋三首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の北岡伸一座長代理(国際大学長)は24日、朝日新聞のインタビューに応じ、憲法9条1項の「国際紛争」の解釈を変更するよう、首相への報告書に盛り込む考えを明らかにした。海外での国連平和維持活動(PKO)に参加する自衛隊員の武器使用について、憲法上の制約を解消する狙いがある。
9条1項は、国際紛争を解決する手段としての武力行使を永久に放棄すると定める。北岡氏はこの「国際紛争」について「『すべての国際紛争』と解釈されている」と指摘。「国際法の歴史を踏まえれば『日本が当事者である国際紛争』と(限定的に)解するべきだ」との考えを示した。
北岡氏は「国際紛争」の解釈を変えた場合、PKOでの武器使用について「日本が当事国である国際紛争を解決する手段としての武力の行使ではなくなる」と主張。国連がPKOで認める二つのタイプの武器使用のうち、「任務遂行に対する妨害を排除するための武器使用」(Bタイプ)も自衛隊に認められるとした。日本は武器使用については、9条の禁ずる武力行使にあたる恐れがあるとして「要員を防護するための武器使用」(Aタイプ)しか認めてこなかった。