2014年3月22日土曜日

女性誌の憲法・秘密保護法特集に内閣広報が取材を要請

 本ブログでは、20日に官邸がテレビニュースや番組に露骨に介入している問題を取り上げたばかりですが、今度は同じく官邸が一女性雑誌にも干渉まがいの電話を入れたことが明らかになりました。
 
 女性ファッション誌「VERY」(光文社)が初めて憲法・秘密保護法の特集を企画したところ、まだその号が発売前であったにもかかわらず、そこの編集部に内閣広報室の職員が「うちも取材してくれませんか」と電話で依頼してきたということです。
※ 2014年3月7日「憲法身近に、学ぶ母 託児付き講座 ファッション誌も特集」 
 
 同誌編集部の当事者が20日、共同通信の取材で明らかにしました。
 
 その編集者は、「発売前なのになぜ知っているのか不気味だった」と話していますが、それが何よりも雄弁に電話の意味を語っています
 電話は、官邸がそ企画を把握していることを知らせ、政権に不利なことを書かないようにということを、暗黙のうちに伝える効果を意図したものと見られます。まさに「威迫をもって」批判を封じようとしたものです。
 
  大石 青山学院大教授は、こうした官邸の振舞いは「威圧につながりかねず、編集者が萎縮する恐れがある。表現の自由が保障されている国ではあってはならない」と、断じています。 
 国家権力の中枢にあるものが、批判を抑えるためにこうした卑劣で陰湿な行為をするのは、自由主義国家にあるまじきことです。
 
 安倍首相は国会の答弁において、野党から少しでも批判されると血相を変えて反撃すると言われています。これは首相のあり方としてまことに異様なことですが、安倍政権におけるこうした官邸のあり方はそれと軌を一にしています
 国家の機関が一私企業の活動に対して(内密な形で)ここまで干渉がましく振舞うことテレビ報道の一挙手一投足に干渉してくるのと同様に、極めて異常なことです。 
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憲法や秘密法企画の女性誌に取材要請 発売前、内閣広報室が電話
共同通信 2014年3月21日
 憲法改正や特定秘密保護法の特集を企画していた女性ファッション誌の編集部に、内閣広報室の職員が「うちも取材してくれませんか」と電話で依頼していたことが20日、分かった。当事者が取材に明らかにした。編集部は「発売前なのになぜ知っているのか不気味だった」としている。識者は「言論の自由に対する威圧につながりかねない。言語道断だ」と批判している。
 
 雑誌は光文社の女性ファッション誌「VERY(ヴェリィ)」。内閣広報室は、首相を直接補佐する内閣官房の一組織。
 
 内閣広報室は「特集をするらしいと書店から聞き、正確な情報を知ってほしいと思った。政策的な話を書くのなら取材を受けますよという趣旨で、セールスやサービスのつもりだった」と説明した。
 
 編集部によると、2月発売の3月号に掲載するため、昨年12月中旬「憲法についてまず知ろう」というテーマで弁護士やモデル、若手学者らを集めて座談会を開催。改憲や秘密保護法について話し合った。
 
 編集作業をしていた昨年末~今年1月、内閣広報室からの電話で「秘密保護法を特集するんですか。うちも取材してくれませんか。妻も読んでいるんですよ」と言われたが、担当者は「取材は終わっているし、秘密保護法は特集の一部だ」と取り合わなかった。記事には秘密保護法に批判的なコメントも盛り込み、ファッション誌としては異例の企画と話題になった。
 
  大石泰彦 (おおいし・やすひこ) 青山学院大教授(メディア倫理法制)は「秘密保護法に関しナーバスになっている政府は、くぎを刺さなければと思ったのでは。編集内容への意見や依頼は萎縮を生む恐れがある。表現の自由が保障されている国ではあってはならないことだ」と話している。