2014年3月19日水曜日

ウクライナ・クリミア問題 ロシアは何も悪くない

 いまアメリカをはじめとする「自由主義国家群」は、クリミア自治共和国のロシア併合国民投票結果とそれを受け入れようとしているロシアに対して、非難攻撃することに余念がありません。日本でも「朝野を挙げて」そうした論調に染まっています。
 しかし3月3日付の「マスコミに載らない海外記事」ブログ(以下で紹介する論文はすべて同ブログ掲載のものです)に掲載された下記の記事:
 2014年3月 3ウクライナ掠奪の第二段階開始」(F.ウイリアム・エングドール
は、以下のように書き出しています。
 正当に選出されたウクライナ大統領ビクトル・ヤヌコーヴィッチは、いわゆる反政府派によるヶ月以上の暴力的抗議行動とテロ殺人の後、政権から追放され戦犯として逃亡することを強いられている。
 彼の“犯罪”とは、抗議行動指導者達によれば、即座に 150億ドルの債務救済と、ロシア・ガス輸入価格の大幅引き下げというロシアとの具体的取引を好んで、ウクライナにはほとんどうまみのない、定義の曖昧なEU加盟というEUの申し出を、彼が拒絶したことだ。アメリカ政府は、その時点で本格的に動きだし、現在の大惨事を招いた
 選挙で選ばれた政府の崩壊をもたらした、標的を狙う狙撃兵による攻撃と暴力行為では、NATOとつながっていると言われている秘密ネオナチ軍事組織が決定的な役割を演じた。 (後略)
 同ブログでは、3月に入ってからだけでも下記のような論文を載せて、ウクライナで行ってきたアメリカとNATOの一連の謀略を批判しています。
2014年3月 8日 ウクライナ掠奪開始
2014年3月14日 欧米マスコミは嘘製造工場
   2014年3月14日 ウクライナにおけるファシストの脅威。ネオナチ復興を
                             否定する欧米マスコミ
2014年3月15日 オバマ政権の偽善、世界新記録を樹立
      2014年3月15日ウクライナ新“準ファシスト”政権紳士録: アメリカとEUが
                             支援している連中のご紹介
2014年3月16日ドイツ指導部の破綻、メルケル、ワシントンに身売り
2014年3月18日アメリカ政府は世界を戦争に向かわせている
2014年3月19日二歩前進、一歩後退
 昨年11月以降ウクライナで「内戦」が開始された裏には、アメリカからの莫大な資金の投入がありました。
 前述のキエフ・クーデターのネオナチ民族主義者ら主導権を握りましたが、彼ら新政権が下した最初の決定の一つは、クリミア及びその他地域の公用語としてのロシア語の位置を奪うことでした。人々が母国語で話すのを禁止しようというわけです。
 これがアメリカが世界に呼びかけて支持しようとしている、ウクライナ=キエフ新政権の実態です。
 世界は、ロシアがオリンピック終了後直ちにクリミヤ自治共和国に侵攻したと非難していますが、事実はそうではなく、もともとロシア軍2万人ほどがクリミヤ自治共和国に常駐していたのだということです。(Paul Craig Roberts氏
 著名な米国評論家Paul Craig Roberts氏は、16日付の論文で、アメリカ政府によるキエフ・クーデターの主目的の一つは、ロシアをクリミアの黒海海軍基地から追い立てる新傀儡政権を実現することだったと述べています。そんな陰謀にロシアが服する筈もありません。
 同氏は、いまアメリカが、民族自決のためのクリミヤの国民投票を必死に否定し、ウクライナ全国民の投票を経なければ有効でないとしていることが、これまでのアメリカの実践と主張から大きく逸脱した自己矛盾であることを明解に論じています。
 以下に紹介します。
 櫻井ジャーナルの記事も併せて紹介します。
 Paul Craig Roberts
 元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。(記事より)
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アメリカ政府は世界を戦争に向かわせている
マスコミに載らない海外記事 2014年3月18日 
Paul Craig Roberts 2014年3月16日
アメリカ政府は、一体なぜこれほど、クリミア自決に反対しているのだろう? 答えは、アメリカ政府によるキエフ・クーデターの主目的の一つは、ロシアをクリミアの黒海海軍基地から追い立てる新傀儡政権を実現することだったからだ。もしクリミアがウクライナの一部でなくなれば、アメリカ政府は、自分がウクライナにしつらえた政府を、その目的に使えなくなってしまうのだ。
アメリカ政府が明々白々にしたのは、“自決”というのは、アメリカ政府が自分の狙いの為に利用する武器だということだ。もし自決がアメリカ政府の狙いに役立てば、アメリカ政府は賛成する。もし自決がアメリカ政府の狙いの推進に役立たなければ、アメリカ政府はそれに反対する。
ロシアが拒否権を行使した、アメリカ政府が提案した国連安全保障会議決議は、クリミアの国民投票、住民が要求した国民投票は、“いかなる妥当性も持ち得ず、クリミアの立場のいかなる変化の基盤とはなり得ないと偽りの声明をしている。そして、全ての国々、国際機関や、専門機関に、この国民投票を基にした、クリミアの立場のいかなる変化も認めないよう、そして、そのようないかなる立場の変更の承認と解釈されかねないいかなる行動や関係も慎むように要求している。”
アメリカ政府は、これ以上しようのないほど、クリミア人による自決に真っ向から反対していることを明らかに示した。
ウクライナの全国民が投票して、クリミア人の決定に同意しない限り、国民投票は有効ではありえないとアメリカ政府は偽って主張している。アメリカがコソボをセルビアから盗み取った際、アメリカはセルビア人の投票を認めなかったことにご留意願いたい。
しかし、アメリカ政府の全くの偽善と、虫のいい二重基準を吟味しよう。クリミアの立場のいかなる変化も、有効とするには、分離しようとしている国の国民の投票が必要だという、アメリカ政府の主張を適用しようではないか。もしこれが本当なら、クリミアは、一度たりとウクライナの一部となったことはない
アメリカ政府の国際法解釈の下では、ウクライナは依然ロシアの一部だ。フルシチョフがクリミア(ただし、セバストーポリ、黒海基地は除く)を、ウクライナに引き渡した際、ロシア人は投票させてもらえなかった。だから、アメリカ政府自身の論理によれば、クリミアをウクライナの一部として認めることはできない。これは、レーニンがウクライナに移転した、他のロシア地域にも当てはまる。アメリカ国連の論理の下では、ウクライナのかなりの部分は、ウクライナの合法的な一部ではないのだ。ロシア人は自分達のウクライナへの引き渡しについて投票が認められなかったのだから、彼らはロシア領土に居続けているのだ。かくして、アメリカ政府の論理によれば、クリミアは依然ロシアの一部なので、“ロシアがクリミアを併合する”ことに関しては、全く問題がないことになる。
ウクライナ危機が、ロシアを軍事的に弱体化させるという唯一の目的の為、危機丸ごと、アメリカ政府の立案者連中により創り出され、突如でっちあげられたものだという、これ以上の証拠がご必要だろうか?
3月14日、ネオコンがジョン・マケインの為に書いた、アメリカ政府のウクライナ侵略を、ロシアによる侵略として説明する戦争挑発の長口舌を、ニューヨーク・タイムズが掲載しても誰も驚かなかった。アメリカ政府による、ウクライナ民主主義打倒から人の目を逸らす為に、アメリカ政府が、選挙で選ばれたウクライナ政権を転覆しておいて、ロシアを“侵略し、クリミアを併合した”と非難するのだ。キエフに選挙で選ばれた政府は存在しない。キエフで政権として振る舞っている連中は、アメリカ政府がその職に就かせた傀儡だ。他に一体誰が連中を選ぶだろう?
ランド・ポールが集団ヒステリーに加わったのに驚いた人々もいる。ロシアに対するプロパガンダ暴言を、ランド・ポールがタイム紙に書き散らしたのだ。プーチンがクリミアを侵略したのは、“国際社会”を侮辱するものだ、とランド・ポールは不当にも主張している。そもそもクリミアがウクライナから分離するという決定は、クリミア住民と、選挙で選ばれた政府の判断であり、ロシアの決断ではない。だが議論の為に、ランド・ポールの嘘を真実だとしよう。“ウクライナの国家主権の甚大な侵害で、国際社会を侮辱する、ウラジーミル・プーチンのウクライナ侵略”は、アメリカ政府による、イラクとアフガニスタン侵略同様、アメリカ政府が支援したリビアやシリア侵略や、アメリカ政府が継続している、無人機による、パキスタン人やイエメン人の虐殺、そして、アメリカ政府の違法な経済制裁によるイランの主権侵害、選挙で選ばれた政権を打倒して、アメリカの傀儡を据えつけた、アメリカ政府による、ウクライナ主権侵害と同じものだろうか?
もしプーチンが、ランド・ポールが無知にも主張している通りに振る舞っているのであれば、アメリカ合州国は、クリントンがセルビアで、ブッシュがアフガニスタンとイラクで、オバマがアフガニスタン、リビア、シリアと、ウクライナで、確立した先例に続いているに過ぎない。アメリカ政府の主張は、煎じ詰めれば“我々、例外的かつ必要欠くべからざる国はそういう振る舞いができるが、他のどの国もそうできない。”ということだ。
ランド・ポールに見当外れな期待をしているアメリカ人もいるが、まさに、タイムで明らかにしている通り、彼とて、ネオコン戦争屋と軍/安保複合体に魂を売り渡したもう一人の阿呆に過ぎない。もしランド・ポールがアメリカの希望なのであれば、明らかに希望は皆無だ。
私が指摘してきた通り、アメリカ政府、そのヨーロッパ傀儡連中、ニューヨーク・タイムズ、タイムや欧米マスコミ丸ごとから流れ出るプロパガンダと嘘が、第一次世界大戦へと至った戦争への道を繰り返している。それが我々の目の前で起きているのだ。


クリミアで「民意」が示されたことを否定するため、「武力による脅しと威嚇」という新たな嘘    
櫻井ジャーナル 2014年3月18日
 ネオ・ナチが主導するクーデターで暫定政権がキエフに出現、それに反発するかのようにウクライナの東部や南部ではロシアへの復帰を望む声が高まっている。その先陣を切る形で3月16日にはクリミアで住民投票が実施された。投票率は83.1%。96.7%はロシアへの編入に賛成したという。
  アメリカ政府など「西側」がクリミアで住民投票が実施されることを嫌がった大きな理由のひとつは、ロシアへの編入に賛成する人が圧倒的に多いことが予想できていたからだろうが、今回の投票結果はそうした予想以上に賛成は多かった。非ロシア系住民の人口は41.7%だからだ。
  暫定政権ではネオ・ナチの影響力が大きく、東部の工業地帯ではオリガルヒ(一種の政商)が知事として乗り込んで略奪の準備を始めている。そうした状況に対する危機感が編入に賛成する人を増やしたと考えるのが自然だ。ウクライナ系もタタール系もネオ・ナチとオリガルヒの体制を望んでいない