国連の自由権規約人権委員会は27日、米国による無人機攻撃に懸念を表明し、見直しを勧告する報告書を発表しました。
そしてオバマ政権に対し犠牲者の遺族に対する補償を要求しました。
オバマ政権になってからは、無人機攻撃は軍隊を派遣するよりも極めて少ない経費で済み、自国の兵士には全く被害はないということから多用されるようになり、ブッシュ政権時の8倍の使用頻度に上がりました。
その犠牲者は昨年2月の段階で実に4700人※に及んでいます。
※ 2013年2月25日「米無人機攻撃による死者総数は4700人」
アムネスティ・インターナショナルなどは、無人機攻撃は大きく以下の三点で、1949年のジュネーブ諸条約および追加議定書などに違反していると批判しています。
① 無人機攻撃は対象者の敵意や武器の有無の識別が充分でない
② 仮に標的がテロリストでも、「敵対行為」を行っている最中でなければ、過去の行いを理由に攻撃できない
③ 攻撃はテロリストの捕獲が難しい場合に限る
密かに他国の上空に侵入して、目標の人物がいると思われる建物や、列車・自動車などを無差別にミサイル攻撃する方法が違法でない筈もありません。
そして、通常の建物であれば全壊させて内部の人間を圧死させ、列車であれば車輌をもろともに破壊するミサイル攻撃が、米国のいうようなピンポイント攻撃などでは決してなく、民間人を大々的に殺傷することは明らかです。
それにもかかわらずこれまで公表されてきた民間人の殺傷数が驚くほど少ないのは、米国が、殺傷された男性成人はすべて「戦闘員」として処理する(=兵士になり得る男性はすべて米国の敵)というやり方に基いています。
人権委の報告書は、無人機攻撃を見直すべきだと指摘し、
・国際人権規約の全面的順守
・攻撃の基準と標的を特定するプロセスの開示
・独立監視機関
・民間人保護の措置
・犠牲者やその家族に対する実効的な補償
などを具体的に求めているということです。
キューバにあるグアンタナモ米軍基地に設けられたテロ容疑者収容所のあり方も含めて、米国の他国(人)に対して行っている非人道的行為は、既に久しきにわたって国際的な批判を浴びているところです。
なぜ一向に改めようとしないのでしょうか。
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米の無人機攻撃 見直し勧告 国連人権委 犠牲者遺族への補償要求
しんぶん赤旗 2014年3月29日
【パリ=浅田信幸】国連の自由権規約人権委員会は27日、ジュネーブで開いた会合で、米国による無人機攻撃に懸念を表明し、見直しを勧告する報告書を発表しました。オバマ政権に対し、犠牲者の遺族に対する補償を要求。パキスタン、アフガニスタン、イエメン、ソマリアなどで行っている攻撃対象となる人物の選定基準についての情報開示も求めています。
報告書は、米国が対テロ作戦で国際テロ組織アルカイダやアフガン反政府勢力タリバンとされる人物を殺害するために無人機攻撃を行っていることについて、法的正当性を含む攻撃基準に関する透明性の欠如や、人命の損失に関する説明責任の欠如を指摘しました。
また武力紛争の定義と地理的範囲を「非常に広く」理解し、何が「差し迫った脅威」かについても明確でない解釈をしていることをあげ、「懸念」を表明しています。
その上で、無人機攻撃を見直すべきだと指摘。▽国際人権規約の全面的順守▽攻撃の基準と標的を特定するプロセスの開示▽独立監視機関▽民間人保護の措置▽犠牲者やその家族に対する実効的な補償―など具体的な対策を列挙しました。
キューバにあるグアンタナモ米軍基地に設けられたテロ容疑者収容所についても、容疑者を裁判にかけるか即時釈放するかを明確にするよう求め、収容所閉鎖の約束にもかかわらず日程表が示されていないことは「遺憾」だとしました。
自由権規約人権委員会は国連総会の補助機関で、国連総会で採択された「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」に基づき、規約の実施を監督。「国連人権委員会」とも略称されます。人権分野の専門性と地域的公平さを考慮して選出される18人の委員で構成され、年3回会議を開きます。