2014年3月2日日曜日

韓国人慰安婦問題で再検討チームの設置を明言

 菅官房長官は28日、国会で、従軍慰安婦問題をめぐり旧日本軍の関与と強制性を認めた河野談話の作成経緯を調べるチームを政府内に新設する方針を正式に表明しました
 日本政府が検証作業を進めることを明示しことに、韓国側は「歴代内閣の歴史認識を継承すると口癖のように言っていたが、国際社会の誰も日本の言葉を信じなくなる」と批判しました。
 
 日本の従軍慰安婦制度が、女性を慰安所に拘束し、逃亡できないようにして「性奴隷として虐待・酷使」するという特異で残虐なものであったことは種々の証拠によって明らかにされ、全世界から非難を浴びているものです。その本質を否定できなくて、単に韓国人女性たちの強制連行を指示した文書が見つかっていないことを強調したり、16人の慰安婦の証言に矛盾があることを明らかにしてみても、日本の立場が良くなることはあり得ません。
 
 橋本前大阪市長は、当初は強制連行を指示した文書が見つかっていないことを、鬼の首でも取ったかのように主張しましたが、公開質問状で、問題の本質はそこではないことを指摘されると沈黙しました。
 今度の政府の行為も同じ帰趨をたどることは明らかですが、韓国の批判を押し切って強行する以上、そんなことで収まるものではありません。つくづく愚かな政権です。
 
 天木直人氏のブログ「河野談話の検証を行うと国会で明言した菅官房長官の大失敗」を中心に、関係の記事を紹介します。
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河野談話の検証を行うと国会で明言した菅官房長官の大失敗
天木直人 2014年03月01日
 いまさら書くまでもなく私は安倍政権を支持しない国民の一人である。 
 しかしこれから書くことは安倍政権のためを思って書いている。
 河野談話の検証をすると国会で明言した菅官房長官はまたもや大きな間違いを犯した。
 安倍政権を守るべきはずの菅官房長官が安倍政権の足を引っ張り続けているように思えて仕方がない。
 もちろんその最大のものは安倍首相の12月26日の靖国参拝を止められなかった事だ。
 自ら反対していたという。そしてそれは正しい判断だった。
 それにもかかわらず安倍首相の靖国参拝を止められず、いまではその正当化に明け暮れている。そして菅官房長官は再び大きな誤りを犯した。
 きのう2月28日の衆院予算委員会で河野談話の検証を行うチームを政府内につくると明言したことだ。
 これは自分で自分の首を絞める愚かな判断だ。なぜか。
 検証する以上、その結果は「河野談話は間違っていた」という結論を出さざるを得ない。
 なぜならば、もし検証して河野談話の間違いが確認されなければ、その時は河野談話を追認せざるを得ないからだ。オウンゴールとなる。
 だから検討を始める以上、河野談話は誤りだったという結論を出すしかない。しかしそれは不可能だ。
 河野談話を否定するためには慰安婦の強制性を100%否定できる証拠を自ら揃えなければいけない。これは「強制性があったことが確認されなかった」というのとはわけが違う。はるかにむつかしい作業だ。
 一つでも強制性を示す証拠があればその瞬間に河野談話が間違いだと言えなくなる。
 そして、慰安婦の強制性を100%否定することなどできるはずがない。
 すでに強制性を示す証拠はいくらでも確認されている。官僚や御用学者たちにそれを100%否定する再検証ができる能力も覚悟もあるはずがない。
 作業させられる官僚や御用学者は勘弁してくれとみな逃げるだろう。
 百歩譲って河野談話を否定する根拠が示せたとしよう。その時は河野談話を見直さざるを得ないことになる。当然だろう。それこそが再検証の目的であったはずだからだ。
 しかし、河野談話を否定して、それを見直すと言った時こそ、安倍政権が韓国のみならず米国や世界からボイコットされる時だ。安倍政権が引きずり降ろされる時だ。
 これを要するに、河野談話の再検証作業は、途方もない困難な作業であるにも関わらず、その結果が何一つ有益なものを生み出さない無駄な作業であるということだ。
 今の安倍政権には、なすべきもっと重要な政策が山ほどあるはずだ。
 それがわからない菅官房長官は安倍首相にとって最悪の女房役である(了)
 
政府内に慰安婦問題で検討チーム 河野談話を調査、韓国反発か
東京新聞 2014年2月28日
 菅官房長官は28日の衆院予算委員会で、従軍慰安婦問題をめぐり旧日本軍の関与と強制性を認めた河野洋平官房長官談話の作成経緯を調べるチームを政府内に新設する方針を正式に表明。「秘密の中で検討チームをつくり、もう一度(経緯を)掌握する」と述べた。
 
 非公開を前提とするものの、日本政府が関与して検証作業を進めることを明示した形だ。韓国側が河野談話の見直しにつながる動きだとして反発を強める可能性がある。
 菅氏は、河野談話の根拠となった元慰安婦による証言内容の検証に関し「極めて難しいが、どんな状況だったか、秘密が保持される中でもう一度確認することが必要だ」と指摘。(共同)
 
「日本は二枚舌」=河野談話検証を批判-韓国外務省
時事通信2014年2月28日
 【ソウル時事】韓国外務省報道官は28日、菅義偉官房長官が従軍慰安婦制度への旧日本軍の関与を認めて謝罪した1993年の河野洋平官房長官談話の検証チームを設置する方針を示したことについて、「歴代内閣の歴史認識を継承すると口癖のように言っていたが、国際社会の誰も日本の言葉を信じなくなる」と批判する論評を発表した。
 
 報道官は「何かにつけてわれわれと対話を望むと言いつつ、一方で歴史を否定する言動を繰り返している」と批判し、「日本政府のこれまでの言葉がいかに虚構に満ちていたかを如実に示している」と指摘。「歴史の真実を否定すればするほど、日本は国際社会からさらに孤立し、日本政府が標ぼうする『積極的平和主義』も空虚な掛け声に終わるだろう」と主張した。 
 
慰安婦:なぜ今「河野談話検証」? 日本の魂胆は
朝鮮日報日本語版 2014年3月1日 
慰安婦の存在を歴史から消し去ろうという魂胆か
被害者の多くが死亡、法務省は当時の文書非公開
村山元首相「国際的反発もたらすだけ」
 日本政府が「河野談話検証論」を掲げてきたのは、ささいな言い掛かりをつけて、旧日本軍に強制動員された慰安婦の存在を日本の歴史から消し去ろうという意図があるためだ。安倍晋三首相は就任前から事あるごとに「日本軍が女性を銃剣で強制的に動員した証拠はない」として「慰安婦捏造(ねつぞう)説」を主張してきた。
 
 菅義偉官房長官は河野談話発表の根拠の一つだった韓国人元慰安婦16人の証言について「秘密を維持しながらもう一度確認する必要がある。政府は国会に報告する用意がある」と述べた。
 日本軍が慰安所設置・運営・慰安婦動員に組織的に関与したことを示す証言や裁判記録は数多い。それでも日本は、日本政府が日本軍に女性を慰安婦として強制動員するよう指示した公式文書が発見されていないという理由でこれを否定している。しかし、日本は1945年に降伏宣言をする直前、東京の空が真っ黒になるほど政府文書を組織的に焼却した。慰安婦の強制動員は犯罪行為だが、これを公式文書として作成しなかったという主張もある。日本政府は資料がないと言いながらも、法務省などが保管している膨大な量の非公開文書については全く調査をしていない。
 
 日本は、当時慰安婦だった女性たちが高齢になり、記憶がかなり以前のものになっているため、一部証言が矛盾している可能性があるという点を狙っているとの見方も出てくる。また、証言した元慰安婦の多くはすでに死去しているため、信ぴょう性を検証する方法もない。日本の一部メディアは証言が虚偽だと結論付けている状況だ。さらに日本の極右派は韓日政府間の密通説も流布している。日本政府は当時、韓日関係改善のために韓国政府の要求に応じて河野談話を作成、発表したというのだ。
 これに対し、韓国政府当局者は「日本軍慰安婦の強制性はすでに国際社会で十分に確認され、論議された問題。元慰安婦たちをいたわるどころか、その証言が事実かどうかを検証するためのチームを政府内に設けるというのは、多くの元慰安婦の証言を全部うそだったと考えているということ」と述べた。別の政府関係者は「普遍的人権と女性の尊厳の問題に対し、日本政府はあまりにとんでもない試みをしようとしている。これでも韓日首脳会談など関係改善をしようというのか」と語った。
 村山富市元首相は27日の記者会見で「日本軍が慰安所を設置したのは間違いない。河野談話の検証は国際的反発を招く」と述べた。 
東京= 車学峰(チャ・ハクポン)特派員