2014年3月16日日曜日

若手弁護士の会が集団的自衛権行使への動きを批判

 安倍政権は14日の閣議で、集団的自衛権の行使容認問題に関し、法律に基づいた検討機関の設置は不要とする答弁書を決定しました。
 しかも安倍首相私的諮問機関安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会安保法制懇)よる検討で足りるし、安保法制懇での議論では、14人いるメンバー全員から行使容認に異論が出ていないとも述べているようです
 一私的諮問機関がそこである結論を出したとしても、それは一つの意見であって、尊重されるべきであるとか、何か公的な価値があるとかというものではありません。行使容認派だけを集めたメンバーの全員が容認したということにも、特別な意味などはありません。
 
 「明日の自由を守る若手弁護士の会」は、15日、ホームページに「集団的自衛権を行使するということは、戦争をするということ」とし、過去「集団的自衛権行使」があらゆる戦争の口実になっていたことを、懇切に論じるブログを発表しました。
 曰く
 『戦後、国際法上、侵略戦争は許されないけれど、「集団的自衛権行使」が名目の戦争なら許される。そんな新たな秩序が生まれました。
 だから大国は、こぞって戦争開始のタテマエを「集団的自衛権行使」にしました。
 ベトナム戦争も、アメリカは「集団的自衛権の行使」を名目に始めました。
 ソ連のチェコ侵攻も、NATOのアフガニスタン侵攻も、「集団的自衛権の行使」を理由に始められたものです。
 同盟国を助ける、そんな人情で終われる美しい話ではないのです。
 大量殺人の言い訳、なのです
 という具合です。
 
 以下に全文を紹介します。
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集団的自衛権 「検討機関は不要」答弁決定 
明日の自由を守る若手弁護士の会 2014年3月15日
 報道によると、政府は14日の閣議で、集団的自衛権の行使容認問題に関し、「法律に基づいた検討機関の設置は不要」とする答弁書を決定したとのことです。
 後掲 共同通信 「集団的自衛権で検討機関不要 政府が答弁書決定」)
 
 集団的自衛権を行使する、ということは、戦争をする、ということです。
 戦後、国際法上、侵略戦争は許されないけれど、「集団的自衛権行使」が名目の戦争なら許される。そんな新たな秩序が生まれました。
 だから大国は、こぞって戦争開始のタテマエを「集団的自衛権行使」にしました。
 ベトナム戦争も、アメリカは「集団的自衛権の行使」を名目に始めました。
 ソ連のチェコ侵攻も、NATOのアフガニスタン侵攻も、「集団的自衛権の行使」を理由に始められたものです。
 同盟国を助ける、そんな人情で終われる美しい話ではないのです。
 大量殺人の言い訳、なのです。
 
「戦争放棄、戦力不保持を宣言した9条のもとでも、集団的自衛権が行使できる」と憲法を読み替えるという作業(解釈改憲)が、私たち国民に対しても、また国際社会に対しても、どれだけのインパクトを持ったことなのか、今一度考えて頂きたいと思います。特に、与党の国会議員に。
 そして、言うまでもなく、この読み替え(解釈改憲)は、憲法9条を死文化させることです。
 1つの条文を消したいのであれば、堂々と憲法改正手続に則ればいいのです。この国を動かす主権者は国民なのに、政府が一度も国民に問いかけることすらせずに、内輪で「読み替えておくよ」と勝手に実質的な改憲をすることが、民主主義国家にあって許されるわけがありません。
 かつての自民党政権のブレーンや改憲派の憲法学者までもが、今や解釈改憲に暴走する政権を批判しています。自民党政権を内部で支えていたこれらの専門家が「見捨て」てしまうほど、現政権が論理や理屈とかけ離れた手洗い手法で国を動かしている、ということの1つの象徴でしょう。
 冒頭で触れたニュースは、その「手荒さ」の極みが表れています。
 集団的自衛権行使に向けて議論をせっせと進めているのは安倍首相の「私的」諮問機関である安保法制懇です。その「私的」諮問機関で話し合えば十分だ、と。実質的には改憲だけれど、それでいいんだ、と。
 
 集団的自衛権行使容認が、例えば選挙の争点になりましたか。
 今、政権に望む最も重要な政策は解釈改憲だと、そんな世論調査の結果が出ましたか。
 震災復興を後回しにしてでも集団的自衛権の行使容認だ!という圧倒的多数の世論が盛り上がりましたか。
 人民の人民による人民のための政治を、終わらせるわけにはいきません。
 この動きをくい止めるには、国民一人ひとりが立ち上がること。声を上げること。それしかありません。その「不断の努力」ができるかできないか、試されている時です。 
 
 
集団的自衛権で検討機関不要 政府が答弁書決定
共同通信 2014年3月14日
 政府は14日の閣議で、集団的自衛権の行使容認問題に関し、法律に基づいた検討機関の設置は不要とする答弁書を決定した。安倍晋三首相は有識者でつくる私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)を設置して行使容認に向けた議論を進めており、私的諮問機関による検討で足りるとの見解を示した形だ。
 安保法制懇での議論内容に関し「集団的自衛権を行使できるようにすべきではないといった意見は表明されていない」と明記し、14人いるメンバー全員から行使容認に異論が出ていないことも明らかにした。