2014年10月11日土曜日

安倍首相 一旦は胸をなで下ろしても・・・

 期待された「憲法9条」のノーベル平和賞受賞は、今回は残念ながら実現しませんでした。しかしいつかのようにとても納得できない政治家などではなくて、平和賞に相応しい人たちが選ばれたことを喜びたいと思います。
 
 憲法9条が受賞したらと真っ青になっていた安倍首相もさぞかし胸をなで下ろしたことでしょう。
 しかし首相の心配ごとはそれだけではありませんでした。日刊ゲンダイはなんと村上春樹氏のノーベル賞「落選」にも、胸をなで下ろした筈だという記事を載せました。
 
 村上氏は2011年にカタルーニャ賞を受賞した際のスピーチで、「私たち日本人は核に対する“ノー”を叫び続けるべきだった」と脱原発を訴え、尖閣問題をめぐり悪化の一途をたどる日中関係にも警鐘を鳴らました。ですから受賞したときにどんな辛口なスピーチをするのかと、安倍氏も気が気でなかった筈だということです。
 
 村上氏はいつもノーベル文学賞候補ナンバーワンに挙げられていますが、なぜかまだ選ばれません。日本ペンクラブの役員などを経験していないからというような話もありますが、まだ若い作家ですからこの先を期待したいと思います。
 「憲法9条にノーベル平和賞を」の実行委員会も、この先も受賞が実現するまでは申請を繰り返すと言っています。幸いなことに受賞者である「日本国民」はいつまで経っても老いるということはありません。
 
 この二つの可能性が達成されるまでは、安倍首相は毎年この時期になると枕を高くして眠れないということになります。
 
 日刊ゲンダイの記事と併せて社民党幹事長の談話も紹介します。
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安倍首相が胸をなで下ろした村上春樹のノーベル賞「落選」 
日刊ゲンダイ 2014年10月10日
 村上春樹氏(65)が今年もノーベル文学賞を逃した。授与が決まったのは、フランスのベストセラー作家のひとりであるパトリック・モディアノ氏(69)。ブックメーカーの英ラドブロークスの賭け率では3年連続トップにつけ、「今年こそ」と意気込んでいたハルキストはまたも肩透かしを食らった。文芸評論家の土居豊氏は、落選理由をこう分析する。
 
 「選考するスウェーデン・アカデミーは欧米出身の作家に偏らないように地域配分を考慮する方針を打ち出していますが、欧米勢の評価が高いのが現実です。村上氏は年齢的にまだ若く、まだまだ作品を発表する可能性が高い。世界的なベストセラー作家ですが、文学性や芸術性が高いツウ好みの作家とは見られていないのもネック。決め手に欠けたのでしょう」
 
 もっとも、安倍首相はホッと胸をなで下ろしたんじゃないか。村上氏といえば、安倍首相にとって耳の痛いことばかりを訴えてきたからだ。
 
■受賞なら世論は脱原発に
 2011年にカタルーニャ賞の受賞スピーチで「私たち日本人は核に対する〈ノー〉を叫び続けるべきだった」と脱原発を訴え、豪メディアの取材に「東京電力の社長とか何人か、本当に刑務所へ行くべきだと思う」と発言。尖閣問題をめぐり、悪化の一途をたどる日中関係にも警鐘を鳴らしている。12年には朝日新聞に〈領土問題が実務課題であることを超えて、「国民感情」の領域に踏み込んでくると、それは往々にして出口のない、危険な状況を出現させることになる。それは安酒の酔いに似ている〉と寄稿したのだ。
 
 物理学賞を受賞したカリフォルニア大教授の中村修二氏(60)は体験談を交えて日本の産業界のあり方を舌鋒鋭く批判しているし、きょう(10日)午後には「憲法9条」が有力候補とされる平和賞の発表を控えている。安倍首相の脳裏には「トリプルパンチ」の悪夢がよぎったに違いない。元法政大教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
 
 「安倍首相が村上さんの著書を読んでいるか怪しいものですが、村上さんが受賞すれば過去の政治的発言が再びクローズアップされるでしょうし、改めて脱原発や外交問題に言及するかもしれない。安倍首相にとって、非常に都合が悪くなったと思います」
 
 安倍首相のもくろみを封じる好機は、まだ残されている。 
 
 
「憲法9条を保持する日本国民」のノーベル平和賞落選について(談話)
社会民主党幹事長 又市征治  2014年10月10日
1.本日、ノーベル平和賞にノミネートされ、最有力候補とされていた、「憲法9条を保持する日本国民」が惜しくも受賞を逃す結果となった。ノルウェーの民間研究機関・オスロ国際平和研究所が、「原爆などで甚大な被害を受けながら、戦争を放棄し平和のうちに復興を遂げた日本の戦後約70年間の歩みに共感する人は世界に多い。世界から歓迎されるだろう」としているなど、国際的にも期待が高まっていた。戦争放棄の「憲法9条を保持する日本国民」の代表として安倍総理に授賞式に出席していただけず、残念である。「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会はじめ多くの皆さんのこれまでのご努力に敬意を表するとともに、今後の運動の高まりに期待したい。
2.「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」こと、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しよう」することを決意し、戦争の永久放棄、戦力不保持、交戦権の否認を定めた日本国憲法は、戦禍を生き延びた先人たちの「国民総意」であると同時に、戦後日本の平和と繁栄を築く指針となってきた。平和憲法、とりわけ憲法9条によって、日本が戦後70年間、戦争をせず、一人も殺さず、一人も戦死しなかったことは事実であり、貴重なことである。戦後平和憲法下の日本の歩みが、世界から賞賛され、尊敬や信頼を得ていることは誇るべきである
3.今回の受賞を逃しはしたものの、争いごとを武力ではなく話し合いで解決しようという平和憲法の理念は、「国家間の友愛関係の促進、常備軍の廃止・縮小、平和のための会議・促進に最も貢献した人物」に贈られるとしたアルフレッド・ノーベルの遺志に合致していると考える。また、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認」している平和憲法は、世界各地で今なお戦禍や貧困などを起こしている側に警告を与えており、世界に広げていく価値を有している。
4.歴代内閣が積み上げてきた憲法解釈を変更して集団的自衛権行使を容認する閣議決定を行うなど、平和憲法を破壊する「壊憲」の暴走を進めている安倍政権によって、平和憲法が国民の手から奪われようとしている。世界の平和を願い、「戦争しないでほしい、仲良くしてほしい」という素直な、素朴な平和を求める声を世界中で大きくするために、国を超えて世界中の平和を愛する人たちと手をつなごうと、1人から始まり広がってきた、「憲法9条にノーベル平和賞を」めざす、草の根運動の重要性は変わらない。社民党は、来年の受賞を期待するとともに、戦争のない未来をめざして、世界の平和を願うひとりひとりの皆さんとともに手を携えて、安倍政権による「戦争ができる国」づくりを阻止し、平和憲法を守り、いかし、世界に広げていく努力を続けていくことを改めて表明する。
以上