昨年末国民の怒りの渦のなかで強行採決された秘密保護法は、昨年12月13日に公布され、公布から1年以内に施行することが明記されています。
安倍首相は成立後、「私自身もっと丁寧に説明すべきだったと反省している」と殊勝げに述べましたが、そんな言葉に『実』は何もこもっていません。事実、成立から約10カ月が経っても、政府による恣意的な秘密指定や国民の「知る権利」侵害など多くの懸念は全く解消されていません。
この夏、秘密保護法の運用基準が僅か2回の諮問会議で決められましたが、読売新聞の渡辺恒雄氏をトップとする「情報保全諮問会議」のメンバーは安倍首相と関係の深い人が多く、自民党の総務会ですら「適切な内容になっているかどうか疑問がある」などとされて7日の了承は見送られました。
今国会でも首相は、「二重、三重の仕組みによって恣意的な不正はできない」とか、秘密指定が適切であるかのチェックについて、「首相である私がしっかりと中身を見ることができる」などと答弁していますが、特定秘密が数十万件あることなど、一体物事を少しでも分かってしゃべっているのかというのが率直な感想です。
そして6日にはついに、集団的自衛権の行使の新三要件を満たしたと判断した根拠となる情報が特定秘密に指定され、政府の監視機関に提供されない可能性があるという考えを示しました。
そういうことについて何らの問題意識も持っていないというのが、安倍首相の「真実」であり 安倍政権が行っている政治です。実に恐ろしいことです。
明日の自由を守る若手弁護士の会が、「安倍首相も認めた! 武力行使の根拠も特定秘密ですっ」とするブログを発表しました。
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安倍首相も認めた! 武力行使の根拠も特定秘密ですっ
明日の自由を守る若手弁護士の会 2014年10月7日
東京新聞の報道によると、10月6日の国会答弁で、安倍首相は、
集団的自衛権の行使に必要な3要件がそろっているかどうかを判断するための情報が「特定秘密」に指定され、政府の監視機関に提供されない可能性があるとの考えを示した、とのことです。
東京新聞「集団的自衛権 行使容認の根拠、特定秘密指定も」 (後掲)
たとえば、
「日本に対する武力攻撃があったかどうか」
「同盟国に対する武力攻撃があったか、どんな規模で、誰からの攻撃か」
「その事態が、どういう意味で日本の存立を脅かすことになるのか」
「なぜ明白な危険があるといえるのか」
などが「特定秘密」になる可能性がある、ということです。
特定秘密になったら、
国家公務員など、それを知っている人が他人に漏らすと「特定秘密の漏えいの罪」になり、
私たち市民が知ろうとして知っている人たちに働きかけると、場合によっては「特定秘密の取得の罪」や「漏えいの教唆」になったりします。
こういった情報を秘密にしていいということになれば、
攻撃があってもなくても、日本に対する影響があってもなくても、
国民に「ある」と説明してしまえば、国民が検証することはできなくなってしまいますよね。
事実上、「無制限」に集団的自衛権を使えるということになります。
それって、「要件」って言えますか?
首相「某国が攻撃を受けました。このままじゃ日本も危ない! だから自衛隊出動ですっ!」
私たち「どんな攻撃なんですか?」
首相「秘密ですっ!」
……そんなのアリ?
集団的自衛権 行使容認の根拠、特定秘密指定も
東京新聞 2014年10月6日
安倍晋三首相は六日午前の衆院予算委員会で、集団的自衛権の行使容認に関連し、行使に必要となる武力行使の新三要件を満たしたとの判断に至った根拠となる情報が、特定秘密保護法に基づく特定秘密に指定され、政府の監視機関に提供されない可能性があるとの考えを示した。
首相は、新三要件を満たすと判断する根拠となる情報について「そのような事実を含めた情勢などの情報を、国会や国民に適切に公開し、理解を得ることは極めて重要だ」と答弁。内閣府に設置する予定の特定秘密の監視機関「独立公文書管理監」に対して「十分な検証に必要な権限を付与することを検討している」と述べた。
一方で、各行政機関が管理監に、こうした情報の提供を拒む可能性に言及した。「提供を拒む場合は、管理監に理由を疎明しなければならないことを運用基準に明記することを検討している。特定秘密の漏えいがないにもかかわらず、管理監に提供されない場合は極めて限られる」と述べた。