2014年10月15日水曜日

秘密保護法 運用基準を閣議決定 拡大解釈懸念置き去り

 政府は14日午前の閣議で、特定秘密保護法の運用基準と、施行期日などを定める政令を決定しまし
 いよいよ天下の悪法である特定秘密保護法12月10日から施行されます。
 
 それでは1年近く掛けて制定された運用基準や政令で一体どのような改善が見られたのでしょうか。
 運用基準は「必要最小限の情報を必要最低限の期間に限って特定秘密として指定する」と明記し、情報の意図的な隠蔽を防ぐため内部通報制度を盛り込みました
 閣僚ら行政機関の長が指定する特定秘密の対象について、55の細目を設定して具体化しました
 特定秘密の指定や解除のルール、監視体制を具体的に定めました。
 そして「基本的人権を不当に侵害することのないように」「国民の知る権利の尊重」の努力規定を盛り込みました。
 5年後の条文見直し規定盛り込まれました。
 
 しかしただそれだけのことで、国民の知る権利を保証するものなど何もありません。
 条文の36箇所に「その他」の文言を盛り込んで、いくらでも拡大解釈の出来る曖昧さは全く解消されていません。
 運用基準「国民の知る権利の尊重」など努力規定加えられましたが、市民が罪に問われる可能性は勿論消えていません。運用基準を了承した自民党総務会でさえも、それが「どうやって担保されるのか問題になりました。
 
 報道関係者が取材源の証言を拒絶できる権利明文化されませんでした。
 拡大解釈や不適当な延長をチェックする監視機関として、「独立公文書管理監」を設置しましたが、立場は審議官級に過ぎず、とても独立性を持っているとはいえません。そもそも各省庁から派遣され機関を内閣府に置くという発想自体が不見識というしかありません。
 
 総理大臣官邸前には14日午前8時ごろ弁護士ら20人余りが集まり、特定秘密保護法の運用に関する統一基準が閣議決定されたことについて集会を開き、パブリックコメントで国民から寄せられた懸念の声を基準に反映させるべきだなどと訴えました。
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秘密法 運用基準を閣議決定 拡大解釈懸念置き去り 12月10日に施行
東京新聞 2014年10月14日
 政府は十四日、国民の「知る権利」を侵害する恐れのある特定秘密保護法の運用基準と、施行期日を十二月十日とする施行令を閣議決定した。今後、施行に向け各省庁が準備を進める。政府の意のままに特定秘密が指定され、情報に迫ろうとした市民や記者が厳罰に問われる恐れがあるなど、根本的な懸念は法成立時と変わらずに施行されることになった。
 
 特定秘密保護法は昨年十二月六日、世論の反対を押し切り成立。政府は今年一月から有識者による「情報保全諮問会議」(座長・渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長・主筆)と法律の運用基準を検討してきた。八月下旬までのパブリックコメント(意見公募)を経て、政府の素案に対し三十カ所近く修正したが、根本的な見直しはせず、閣議決定した。
 法律では、特定秘密の指定は閣僚など各行政機関の長の判断。「防衛」「外交」「特定有害活動(スパイなど)の防止」「テロの防止」の四分野が対象だが、運用基準で五十五の「細目」に分けており、政府は、意図的な拡大ができないようにしたと説明している。
 ただ、その細目も曖昧な表現が目立ち、拡大解釈の余地が残っている。閣議決定で増やすことも可能で、時の政府の判断で範囲を広げることができる。
 
 指定期間は原則三十年としながら、内閣の承認を得れば六十年まで延長可能。さらに特に七つの項目に該当すると判断すれば、六十年を超えても構わない。運用基準では、三十年超の指定は「特に慎重に行う」と促すにとどまった。
 拡大解釈や不適当な延長をチェックする監視機関として、運用基準で「独立公文書管理監」を設置したが、立場は審議官級にすぎず、行政機関の長に対応するには立場が弱い。支援する「情報保全監察室」職員も各省の寄せ集めの二十人規模で、独立性や権限に限界がある。
 法律では、特定秘密を漏らした公務員らに最高懲役十年の厳罰を科すことに加え、秘密を知ろうとした市民や記者が漏えいの「そそのかし」「あおり立て」「共謀」を行った場合も最高懲役五年の罰則が適用される。どんな行為が「そそのかし」などに当たるかは曖昧。
 運用基準では「基本的人権を不当に侵害することのないように」などと努力規定を加えたが、市民が罪に問われる可能性は消えていない。
 
◆「知る権利奪うな」市民抗議
 国の機密漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法の運用基準や施行日の閣議決定を受け、同法に反対する市民団体が十四日、官邸前で「施行をやめろ」「知る権利を奪うな」と抗議の声を上げた。 (以下省略)
 
 
特定秘密保護法 官邸前で抗議の集会
NHK NEWS WEB 10月14日 12時11分
特定秘密保護法の運用に関する統一基準が閣議決定されたことについて、総理大臣官邸前では、弁護士らが集会を開き、パブリックコメントで国民から寄せられた懸念の声を基準に反映させるべきだと訴えました。
 
総理大臣官邸前には午前8時ごろ20人余りが集まり、海渡雄一弁護士が、「統一基準には多くの課題が残されたままで、閣議決定を急ぐのは問題だ」と訴えました。統一基準について政府が実施したパブリックコメントでは、政府に都合の悪い情報が特定秘密に指定されかねないとかチェック機関の独立性を確保する具体的な仕組みが示されていないといった懸念の声も寄せられました。
このため専門家からは、特定秘密保護法の施行までに最大限の修正を検討すべきだといった指摘も出ていました。
14日の集会で、参加者は、「国民の知る権利を奪うな」とか「情報を隠すな」などと訴えていました。
参加者の1人は、「パブリックコメントで多くの意見が出たのに政府は微修正で済ませている。せめて12月の施行を延期し、国会で議論を尽くしてほしい」と話していました。