2014年10月15日水曜日

消費税を10%に上げれば日本経済は沈没する

 今週の赤旗日曜版に浜矩子同志社大教授の「消費税10%に上げれば経済沈没」とするインタビュー記事が掲載されました。浜教授はアベノミクスが登場したばかりの2013年1月に、「アベノミクスは浦島太郎の経済学だと、その本質を見据えた批判をしました。
               浜矩子:アベノミクスは浦島太郎の経済学だ(動画 55分)
                     https://www.youtube.com/watch?v=2CInH3eo10k
 曰く、それは公共事業を優先するバラマキで経済を活性化させ、通貨の円券を膨大に発行し円安を誘導することで輸出立国化するという、5~60年前の高度経済成長期に通用した浦島チック(時代錯誤)な政策で、成熟した日本経済には適用するものではない。そもそも「・・・ミクス」と偉そうな名前をつけるような代物でもない、と。
 正にその通りに「アベノミクス」は破綻しました。安倍首相が唯一頼りにしていた株価も、14日には15000円を割りました。
 
 今回のインタビュー記事でも、歯に絹を着せぬ厳しさで次のように述べています。
 
 日本経済海外展開する大企業のような強者が座っている部分はホットスポット、それに対して非正規雇用や中小企業、地方など弱者は、いくら加熱しても熱が伝わりにくいコールドスポットに座り続けるという、「壊れたホットプレート」状態に陥ってる
 逆進性が強い消費税の税率を10%に上げ、その一方で法人税をさらに減税しようとするのは、格差拡大・弱い者いじめ本末転倒のやり方で、弱者には「死に至る増税」となる
 安倍政権は「消費税を上げないリスク」を強調するが、それは自分たちの政権維持にとってのリスクに過ぎない。
 消費税をさらに上げることによって経済が沈没して仕舞えば、そのほうが税収も減り株も下がるし国債も下がる。
 こんな政権を野放しにするのは危険である
 
 経済学者の植草一秀氏も14日付のブログで、「消費税10%で日本経済は完全に終わる」と述べました。
 同趣旨の論述はこれまで何度も行っていますが、今回は内閣府が発表している景気ウォッチャー調査先行き判断DIが4ヵ月連続で悪化して、ついに景気判断の改善、悪化の分かれ目である50ポイントを下回ったことを挙げて、こういう状況のなかで消費税率10%への引上げを決定することは、自殺行為で日本経済にとどめを刺すことになると警告しています
    ※ DI:経済指数のうち、ヶ月前と比較して拡大している指数の数を数え、それを指数の数で割って%表示したもの
 
 植草氏のブログは大幅にカットしてありますので、公表の全文は下記のURLにアクセスしてご覧ください。
 
    「消費税10%で日本経済は完全に終わる」(植草一秀 2014年10月14日 
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消費税10%に上げれば経済沈没
日本経済「壊れたホットプレート」
 浜矩子同志社大教授 赤旗日曜版 2014年10月12日
 私は今の日本経済が「壊れたホットプレート」状態に陥ってると考えています。熱の伝わり方にムラがある。海外展開する大企業のような強者が座っている部分はホットスポット。非正規雇用や中小企業、地方など弱者は、いくら加熱しても熱が伝わりにくいコールドスポットに座り続けることを強いられてる。
 この二極化状態を放置して消費税増税を10%にすれば、コールドスポットの住人たちにとっては、「死に至る増税」となると危惧しています。
 
 本来、租税政策は所得分配で格差を是正するために行うものです。ところが、消費税は低所得層ほど負担が重い逆進性が強い税です。この税をあげていけば、格差は一段と拡大します。
 安倍政権は消費税を上げつつ、法人税をさらに減税しようとしています。租税政策を格差拡大・弱い者いじめ政策にするのは、全く本末転倒です。
 
 安倍政権は「消費税を上げないリスク」を強調しています。予定どおり消費税を上げなければ、財政再建に取り組む気があるのかと海外投資家から不信を買い、国債や株が売り込まれて暴落するという脅しです。
 株価を上げることで点数を上げてきたと思っている安倍首相としては、株価の暴落はどうしても避けたいということなのでしょう。要するに、「消費税を上げないリスク」とは、自分たちの政権維持にとってのリスクだと思いますね。
 
 財政再建に取り組むといいながら、安倍政権は、オリンピックなどのパフォー.マンスには税金を惜しみなくそそぎ、法人税減税で大企業のご機嫌取りもやっていくという。この支離滅裂さを見ると、財政再建に真剣に取り組む気があるようには見えません。
 消費税を上げることによって経済が沈没してしまったら、そのほうが税収も減り、株も下がるし国債も下がりますよ。
 
 安倍政権は、アベノミクスで生み出された「好循環」を全国津々浦々に波及させると言っています。
 しかし、大きく強いところを刺激すれば、めぐりめぐって小さいところ、弱いところにも及んでいくという彼らのロジック(論理)そのものが成り立ちません。安倍政権の経済政策は強いものをより強く、大きいものをより大きくするだけであって、弱いところには手当てもしない。そもそも「好循環」が作動するような体制になっていません。
 「強い日本を取り戻す」というスローガンも、要は強兵のための富国という「富国強兵」策です。だから強く大きいところは応援するけれども、小さく弱いところは「野となれ山となれ」という姿勢です。
 
 こんな政権を野放しにするのは危険です。集団的自衛権の行使を認める閣議決定の強行など、戦前の国家総動員的な志向を強く懸念します。安倍政権の打倒へ、私たち国民が声を上げ、しっかりした審判を下さないといけないと思います。
 
 
消費税10%で日本経済は完全に終わる
植草一秀の「知られざる真実」 2014年10月14日 
安倍政権の経済政策運営の迷走ぶりが際立ってきた。
 
安倍政権は2015年10月に予定している消費税再増税についての判断を11月17日の2014年7-9月期GDP統計速報値発表後に示す方針を明らかにしていた。
ところが、その後、11月17日の速報値ではなく、12月8日の改定値発表後にすることに変更した。
ところが、その後、こんどは12月1日の法人企業統計発表後にすることとした。
政治の思惑、政治の策略で判断しようとするから、このような迷走が生じてしまう。
  (中  略
日本経済は、2014年4月の消費税増税で文字通り撃墜された。
  (中  略
日経平均株価は9月25日に16,374円まで上昇し、昨年12月30日の高値、本年9月19日の高値を更新した。ところが、その後、日本株価は下落の動きを強め、10月10日には15,300円にまで下落した。わずか11営業日で1000円以上の値幅での下落を示したのである。
  (中  略
他方、10月3日発表の9月米国雇用統計では、米国失業率がついに6%を下回った。米国経済の回復基調は依然として続いている。FRBによる金融引締め政策実施への移行は、先送りされるにしても、時間の問題となり始めている。
 
問題は、このなかで、安倍政権が消費税再増税の方針を崩していないことだ。
現状で消費税率10%への引上げを決定することは、自殺行為である。日本経済にとどめを刺すことになる。
内閣府が発表している景気ウォッチャー調査では、先行き判断DIが4ヵ月連続で悪化して、ついに景気判断の改善、悪化の分かれ目である50ポイントを下回った。
 
現状判断DIは2ヵ月連続で50を下回った。
消費税再増税の決定はあり得ない。 (後  略

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