2014年10月4日土曜日

消費税増税半年 景気のもたつきは鮮明

  北海道新聞が「消費税増税半年 景気のもたつき鮮明だ」とする社説を掲げました。
 
 同紙は、
 『政府は企業業績の向上が所得と消費の拡大につながる「経済の好循環」を強調するが、そのようなことはない。 
 アベノミクスが誘導した円安は、大手の外需型企業にとっては追い風になっているが、原材料を輸入に頼る多くの地方企業にとってはマイナス要因でしかない
 急激な円安進行はさらに物価を押し上げることになりかねず、家計はもちろん中小・零細企業に与える影響は深刻で、個人消費を中心とする国内需要が政府の想定以上に落ち込んでいる
 消費の落ち込みは当然生産活動に影を落とし、8月の鉱工業生産指数は在庫の積み上がりなどから2カ月ぶりに低下した。 
 このような状況のなかで、既定路線にこだわって消費税率を10%へ引き上げる愚を犯すことがあってはならない
 と述べています。
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(社説) 消費税増税半年 景気のもたつき鮮明だ
北海道新聞 2014年10月3日
 消費税が増税されて半年。景気のもたつきが鮮明となっている。 
 
 政府は企業業績の向上が所得と消費の拡大につながる「経済の好循環」を強調するが、賃金の伸びは物価上昇に追いついていない。 
 最近の急激な円安進行はさらに物価を押し上げることになりかねず、家計はもちろん中小・零細企業に与える影響は深刻だ。 
 このままでは消費者心理を一段と冷え込ませ、景気が腰折れしてしまう懸念も拭いきれない。 
 政府・日銀は足元の景気変調を過小評価すべきではない。増税と為替変動の影響を念入りに分析し、政策運営に反映させるべきだ。 
 
 日銀が発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)で景気の重い足取りが浮き彫りになった。 
 業況判断指数について、円安の恩恵を受ける大企業製造業以外は悪化を見込むなど、ほぼ総崩れと言っていい状態だ。 
 3カ月後の見通しでも、大企業製造業は横ばい、小売りや外食などの大企業非製造業もわずかな改善にとどまっている。 
 景況感が総じて後ろ向きなのは、輸出の低迷とともに、個人消費を中心とする国内需要が政府の想定以上に弱いためだ。 
 総務省の8月の家計調査を見ても、消費支出は5カ月続けて前年同月を下回ったままで、消費者の節約志向は依然強い。 
 そんな消費不振の背景にあるのが賃金の実質的な目減りである。 
 8月の毎月勤労統計(5人以上の事業所)を見ても、現金給与総額は6カ月連続して前年同月を上回っているが、物価の影響を加味した実質賃金指数は前月よりマイナス幅が拡大している。 
 百貨店やスーパーの売り上げも堅調な大都市に対し、地方は振るわない。今月から食品などが再び値上げされるが、北海道など寒冷地ではエネルギー関連の値上げも重くのしかかってこよう。 
 
 消費の伸び悩みは生産活動にも影を落とす。8月の鉱工業生産指数は在庫の積み上がりなどから2カ月ぶりに低下した。 
 円安効果も大手の外需型企業に限られ、原材料を輸入に頼る多くの地方企業にとってはマイナス要因でしかないのが実情だ。 
 政府・日銀は消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減が長引く実態を冷静に受け止めるべきだ。 
 安倍晋三首相は消費税率を10%へ引き上げるかどうかを年内に判断する予定だが、既定路線にこだわる愚を犯すことがあってはならない。