小泉政権時代、郵政民営化政策を進めるに当たり、「IQ(知能指数)」が比較的低くかつ「構造改革に中立ないし肯定的な層=主婦と子供を中心した層、シルバー層」を含み、「具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを支持する層」を「B層」と呼び、対象をその層に絞った政策宣伝活動を強力に押し進めることで目的を達しました。安倍氏は当時官房長官などを務めていたので、そうしたことにも絡んでいたものと思われます。
歴代政権の中で、安倍内閣ほどメディアを制肘することにただならない関心を示し、それを実行している政権はありません。その中枢は官邸に置かれ、首相の覚えの目出度い人がその任に当たっているであろうことは容易に推測できます。
そして実際に、自民1強の政治情勢とマスメディア・トップの劣化の中で、いわゆる実質的な「報道管制」が傍若無人に行われてきました。
ところで早い頃に、麻生副総理が講演でナチスの政治手法(実質的改憲)に言及して物議を醸したことがありました※。
※ 2013年7月31日 麻生副総理が「ナチスの手口を参考に」と講演
2013年8月3日 ワイマール憲法下でなぜナチス独裁が実現したのか
その話は実は不正確であったのですが、何よりも西欧ではタブーとされているナチスの話が唐突に出てきたことに世間は大きな違和感を持ちました。
しかしこれだけ改憲(乃至は実質的改憲)に執念を示している安倍内閣が、大衆扇動の成功例とされているナチスの手法を学ぼうとしたとしても何の不思議もありません。実はそうしたことが背景にあったから、麻生氏がうっかり口を滑らせたのではないかという見方が当時もありました。
片山杜秀慶応大学教授によれば、自民党議員の勉強会「文化芸術懇話会」は、本来は、文化人や芸術家を自陣営に引き込むための会だった筈で、ナチスドイツはその点においてきわめて巧妙であったということです。
しかし20世紀後半になると、そうした単純な「ナチス的な手法」ではもはや通用しないと考えられるようになりました。
ところが現在は世の中があまりにも複雑化し情報が過剰になったために、相対的に人の判断力が落ち、専門家からみれば荒唐無稽なことでも、ある意図を持った人たちが力説すると、みんなが簡単に信じるようになってきたということです。
要するにナチス的手法が効を奏するという土壌が再び生まれてきたということです。
今回は安倍氏を含めた関係者があまりにも浅慮であったがために、一敗地にまみれたという感じですが、それがいずれは成功する可能性が大いに考えられるというのです。
朝日新聞の記事を紹介します。
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朝日新聞から著作権の侵害を申し立てられましたので、紙面のコピーは削除します。(15.7.15)