2015年7月9日木曜日

安倍首相の「安保法案解説」は“珍説明”のオンパレード “ニコ生”放送

 6月4日の衆院憲法審査会に参考人として出席した小林節慶大名誉教授は、後方支援が戦争行為そのものであることを、「一体化そのもの。長谷部先生が銀行強盗して、僕が車で送迎すれば、一緒に強盗したことになる」という、絶妙なたとえを示して世間をうならせました。
 「後方支援は戦争行為ではない」という、国際常識に反する政府の説明を一撃で粉砕するものでした。
 
 また6月15日に日本外国特派員協会で記者会見した際には、「安倍総理から『丁寧に説明する』という言葉だけが出ているが、丁寧に説明されたという実感は一度もない」と述べました。殆どの人はこの小林教授の言葉に「我が意を得たり」と感じた筈です。多くの地方紙も社説などで同じことを述べています。国民の80%が十分な説明がされていないと答える所以です。それは説明の出来ない法案だからなのですが・・・
 
 さすがに安倍首相もこのままでは済まされないと悟ったようで、「ニコニコ生放送」で、7日(月)から5夜連続の、「安倍さんがわかりやすくお答えします! 平和安全法制のナゼ? ナニ? ドウシテ?」を始めました。
 
 しかし第2夜段階で視聴者数は1万人を僅かに超える程度で、悲惨なことになっているようです。
 首相の親衛隊である自民党のネットサポーターズクラブの会員だけでも約1万人(公式発表)いるのにです。
 加えて番組終了後のアンケート結果も、「とても良かった」が60%に届かず、「良くなかった」が22%もいたということです。「ニコ生」はもともと視聴者の評価が甘く、「とても良かった」が70%を超えるのが普通で、90%超も珍しくないということです。
 
 放送の中身も、またまた幼稚・拙劣・的外れなたとえ話を使った突っ込みどころ満載のものでした。
 8日の国会で辻本議員などが間違いを指摘していましたが、小林節教授のような卓抜な比喩は望むべくもありませんが、あまりにも滅茶苦茶なたとえ話ではやはり人間の品性が疑われます。
 
 日刊ゲンダイが取り上げているので紹介します。
 
追記) それとは別に首相自身が月刊誌で一連の安保法制についての説明するという
  企画が登場しました。
   「総理が国民に訴える!「平和安全法制」私が丁寧にわかり易くご説明します〉
  いうもので、その掲載誌は月刊「WiLL」8月号(ワック)だということです
   「WiLL」は侵略戦争肯定や従軍慰安婦否定など歴史修正主義的主張だけでなく、
  ヘイトスピーチさながらの嫌韓・反中記事を掲載してきた極右雑誌です。
   こういうものに記事を載せるということに、何の躊躇もない点が如何にも安倍氏ら
  しいところです。
   詳細は、3日付のLITERAの記事:
   「安倍首相が安保法制の“丁寧な説明”のため雑誌に…でも選んだのはヘイト雑
  誌 「WiLL」(笑)」
  をご覧下さい。
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“身内”のネット番組で悦に…改めて分かった安倍首相の本性
日刊ゲンダイ 2015年7月8日
 “珍説明”のオンパレードである。安倍首相が6日から自民党のネット番組で始めた「安保法案」の解説。国民の間に「違憲」の声がどんどん広がり、支持率も急降下。慌てて党のネット番組を使って直接訴える手段に出たのだが、これが突っ込みどころ満載なのだ。
 
 ネット番組は「平和安全法制のナゼ? ナニ? ドウシテ?」。13日までの5夜連続で、安倍首相が「安保法案」について自ら説明。7日のテーマは「集団的自衛権って何? アメリカの言いなりに戦争するの?」で、安倍首相が例として、友達の「スガさん」や「アソウさん」の名前を挙げながら、集団的自衛権の必要性を訴えた。
 
 要するに、友達だから一緒に戦おう、助けよう─―という内容だったのだが、そこには「自分勝手に戦い始めた友達」や「ケンカに無理やり引きずり込もうとしている友達」の説明は一切なし。ケンカならケガで済むが、巻き込まれれば自分はもちろん、家族・親族も殺し合いになるという説明もなかった。
 
 初日(6日)の番組でも、安保法案の必要性について「備えあれば憂いなしだ。戸締まりをきちんとしている家には、泥棒も強盗も入らない」と持論を展開した。ところが、視聴者からは「戸締まりをきちんとすればいいなら個別的自衛権で十分」「友人(米国)と一緒に泥棒や強盗に出掛けていくのが集団的自衛権だ」と批判が続出。番組は「安倍さんが分かりやすくお答えします!」なんてPRしているが、結局は国会答弁と何ら変わらない。安倍首相が的を射ない説明を一方的にノラリクラリ話すだけなのだ。
 
 だいたいネット番組で連夜、グダグダ言う時間があるなら、NHKや民放番組に出て、違憲を訴える憲法学者の質問に真正面から答える方がよっぽどスジが通っている。安倍首相は「(テレビは)どこも呼んでくれない」なんてボヤいているらしいが、突っ込まれてボロが出るのが嫌で逃げ回っているとしか思えない。政治評論家の山口朝雄氏がこう言う。
 
「『安保法案は必要』という確たる根拠と自信があるなら、テレビでもどこでも出掛けていって、堂々と説明すればいい。それができないのは、自信のなさの裏返しでしょう。テレビに出て相手に論破されたらグウの音も出なくなりますからね」
 
 “身内”のネット番組で好き放題しゃべって悦に入っているなんて、ホント、ヘタレ総理だ。