2015年7月2日木曜日

自公が安保関連法案を今月半ばに委員会採決を と

 1日、自・公両党の幹事長・国対委員長が会談し、安保法案について今週の審議を終えれば、審議時間が80時間を超える見通しであるとして今月半ばに特別委員会での採決を目指す方針を確認しました。
 
 しかしこの間の審議で安保法案への疑問は何も解明されず、法案の違憲性と矛盾だけが深まりました。国民の間では反対論が強まる一方で、賛成をダブルスコア以上で上回っています。
 
 安倍首相は安保法案の合憲性について国民に丁寧に説明するといっていますが、丁寧も何も、説明にならない説明に終始してただ時間を空費しているだけです。
 
 首相自身が「例外的」に自衛隊が出動するとしている機雷の掃海作業が、一体何故「他に適当な手段がないこと」に相当するのかと問われても回答がありません。
 また得意の「世界情勢の変化によって必要になった」という説明について、では具体的にどのような変化があったのかと聞いても、全く答えることが出来ません。
 それに限らず、聞かれたことには答えずに、関係のないことだけにひたすら多弁を弄するというのが、ここずっと国会中継での見慣れた風景というよりは、見るに耐えない風景の繰り返しになっています。このことは多くの新聞が社説などで指摘しているところです。
 
 とにかく審議時間が80時間を満たせば採決できるというのは、あまりにも審議の実態が示すものからかけ離れていて、国民を愚弄するものです。
 
 憲法の権威たちも国会で安保法案は憲法違反であると明言しています。それに対して正当性の説明が全く出来ていない中で、数を頼んで無理やり法案を通すことなどは絶対に許されません。
 
 NHKのニュースと併せて、愛媛新聞の社説「集団的自衛権決定1年 首相発言で不安と疑念が強まる」を紹介します。
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自公 安保関連法案今月半ば委員会採決を 
NHK NEWS WEB 2015年7月1日
自民・公明両党の幹事長らが会談し、安全保障関連法案を巡り、今週の審議を終えれば、審議時間が衆議院通過の目安としている80時間を超える見通しとなるなど、審議は尽くされつつあるとして、今月半ばに特別委員会での採決を目指す方針を確認しました。
 
会談には自民・公明両党の幹事長と国会対策委員長が出席しました。
この中で、自民党の谷垣幹事長は、党の勉強会で報道機関を批判する意見が相次いだ問題などについて、「大変ご迷惑をおかけしており、心からおわび申し上げる」と陳謝しました。これに対し、公明党の井上幹事長は「気を引き締め、緊張感を持って、丁寧な国会運営をしていく必要がある」と述べました。
そのうえで、両党は今週の審議を終えれば、審議時間が衆議院を通過させる目安としてきた80時間を超える見通しとなるなど、審議は尽くされつつあるとして、来週以降、中央公聴会の開催を急ぎ、今月半ばに特別委員会での採決を目指す方針を確認しました。
会談のあと、自民党の佐藤国会対策委員長は記者団に対し、「特別委員会で丁寧に審議を進めていくが、決断をするときには決断をしなければいけない」と述べました。 
  
 
社説 集団的自衛権決定1年 首相発言で不安と疑念が強まる 
愛媛新聞 2015年07月01日
 安倍政権が、集団的自衛権の行使容認を閣議決定してから、きょうで1年がたつ。 
 国会審議を経ないまま改定した日米防衛協力指針(ガイドライン)や審議中の安全保障関連法案は、この閣議決定を出発点としている。憲法9条の解釈を変更、政権の思惑で強引に武力行使に道を開こうとする姿勢がますます鮮明になってきた。国民の声に耳を貸さず、多くの憲法学者が違憲だと批判する安保政策を推し進めようとする政府への不信感は高まるばかりだ。「戦争ができる国」へと一変させかねない閣議決定の撤回をあらためて求めたい。
 
 閣議決定前の昨年5月、安倍晋三首相は集団的自衛権行使の具体例として、朝鮮半島有事の際に避難する邦人を乗せた米艦防護の必要性を強調。「お子さんやお孫さんたちが(有事の)場所にいるかもしれない」と切実に訴えた。だが、内閣法制長官はおととい、自衛隊が米艦を防護できない場合もあるとの見解を示した。首相が力説した必要論は破綻し、議論が進むにつれ、不安と疑念が強まるばかりといえる。 
 国会答弁では合理性に欠ける発言が目立つ。首相は「米国の戦争に巻き込まれることは、絶対にない」と繰り返すが、根拠を示さない。憲法が禁じる海外派兵の例外を「中東・ホルムズ海峡での機雷掃海例外になり得る。現在、他の例は念頭にない」と述べた翌日すぐ、「安全保障において『これが全て』と言うことは差し控えたい」と、例外を拡大した。粗雑な主張は議論に値しない。 
 
 本来無理なことを力ずくで進めるから、ほころびが出る。首相は、異論や慎重論に耳を貸さず、国民に約束した「丁寧な説明」を果たそうとしない。これでは議論が深まりようがない。国家の根幹を成す安保政策は国民の十分な理解と納得の上に成り立つものだ。誠実さに欠ける首相の姿勢では、国民の理解、納得は到底得られまい。 
 政府は米国と約束した「夏まで」の法案成立を目指し、国会会期を9月27日まで延長した。しかし、今の議論をいくら続けても違憲の可能性は消えない。しかも政府は衆院通過後、参院が議決しない場合は「60日ルール」で衆院で再可決し成立させる日程を想定していることは明らかで、今後日程ありきで強硬に審議を進めるとみられる。期限を切り、野党の反対を押し切る強行採決に向かうとすれば、決して容認できない。
 
 憲法解釈は、国会での議論の積み重ねで確立されたものだ。首相は「従来の憲法解釈に固執するのは政治家としての責任放棄だ」と強弁するが、一内閣の判断で解釈を百八十度転換する暴挙はそもそも許されない。 
 この1年間で、国民は法案の整合性のなさに気付いている。民意を無視した拙速な議論は、憲政史上に汚点を残す。やはり法案を撤回するか、廃案にするほかない。